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華の都、貴女は蕾  作者: Onyx
学院生活編
13/17


入学してから一月は経った、昼。私は取り巻きのシルバーとハールティアの三人で食堂でご飯を食べていた。

ここの食堂ときたらすごいんだ。まず料理が高級料理店でシェフをやっていた人達がつくっているらしく、すこぶる豪華ですこぶる美味い。AからEのメニューと日替わりランチ。どれも栄養抜群。でもお高いんでしょ?いえいえ前世にしてたったの五千円!ってやかましいわ。


「リリィ様」


私はBランチのステーキを頬張っていると、Aランチのスパゲッティを食べるシルバーが声をかけてきた。


「先程どこかの噂を耳に入れたのですが、クリサンセマム専用のサロンができたんですって?」

「私も聞きましたわ。美しい華に囲まれた麗しき楽園だとか」


どっから聞いたよあんたたち。麗しきかどうかは知らんが、授業サボりで活用しお菓子を食べれるサロンは、確かに楽園だが。

ゼルダ達が「サロン作ったった」とか広めるはずはないし、毎回サロンでサボる訳でもないし。


「確かに作りましたわね。サロン」

「作りましたって、リリィ様が⁉︎」

「ええ。私と、他のクリサンセマムの二名と」

「ゼルダ様とルシッサ様と⁉︎ああ!羨ましい!」


あの二人のどこがいいのか、私には全く理解できません。顔ですか?あなた達も顔なんですか?ちくしょう。

今だ見つめあった瞬間怯えられる私、この怒りどこへぶつけようか。


「おい、リリィ」

「あら、ゼルダ」

「ゼルダ様!」


後ろから声がしたので振り向けば、いつものように澄ました顔のゼルダがいた。全く、お前が来ると女子の皆様が元気になる。麻薬かなんかか。


「クッキーがある。午後はサロンでアフタヌーンティーにしよう」

「わかったわ」


要件だけ告げると、ゼルダはどこかへ去った。ゼルダの趣味はお菓子作り。意外だろう意外だろう。ゼルダは自分がどう見られているか自覚しているらしく、そのためあからさまに趣味を公言できない(ギャップが激し過ぎてギャップ萌えどころじゃない、私が)。しかし私とルシッサには公言し、時々サロンに持って来てくれる。これがまた美味いんだ。

私のサロンの活用は、主にゼルダが作ってきたお菓子を、午後の授業を一時間程休んでアフタヌーンティーするだけだ。ゼルダとルシッサは女子に追われた時の逃げ口にもなっているようだ。ザマァ!


「ああん!私もサロンに行きたいですわ!」

「だめよハールティア。クリサンセマム専用なんだから」

「そうねっ、立場をわきまえなければリリィ様に迷惑がかかってしまうわ」


この世界の子供は本当に怖い。12歳で立場をわきまえるって、大人ですねわかります。だが私はそこに助けられている。

乙女の修羅場でよくあるのが、イケメンのそばにいる女がムカつくんでイジメちゃえ!だ。だがしかし、今私が何事もなく無事なのは、皆が立場をわきまえられる大人だからだ。私が彼らの婚約者だから、クリサンセマムだから手を出せない。出したら明日から朝日が登らない。それを理解してる。私の目が怖いってのもあるかもだけどね。




◇◇◇◇◇◇




午後の授業はアフタヌーンティーで寛ぎ、それが終われば早々次の授業のために私はサロンをあとにした。グズグズしてたら面倒くさくなって、次の授業もサボってしまいそうだからね。

もう一月経てば、中間テストだ。私は勿論首位を狙っている。前世の知識をフル活用する時が今!ここに!


「あ、リリィ様。次の授業は自習ですって」


次の授業の担当が熱で早退したそうだ。だったらサロンに戻ろっかな。いやでも勉強しないと。本番頑張ると何もしないでテストを受けて全滅した前世の記憶はいい思い出。

私は図書室に向かった。シルバー達は連れて行かない。うるさいんだもん。あの二人。




◇◇◇◇◇◇




フルール学院の図書室は恐ろしいぞ。本棚が地面から天井まで積み重なり、正に本の壁。そんな本の壁がたくさん連なるここは、とても日当たりが悪く、昼間なのに暗い。読書をするなら懐中電灯を持って行くのをお勧めする。

私は一番苦手教科の数学の参考書を適当に手に取った。いや本当、数学も恐ろしいぞ。単純な計算なら簡単に解けるが、文章問題にされるとまるでわからなくなる。あれ?これ単に私の読解力がないだけじゃ?でも数学を勉強する。すると言ったらする。


数学のドリルと参考書を広げ、私の脳内格闘は始まった。嬉しいことに、この世界の数学と、前世の数学は、全て内容が同じだったのだ。ありがたやありがたや。けれども忘れかけている部分が多い。気を抜いてうかうかしてたら、12歳に抜かされてしまう。それは嫌だ。


カリカリと、ペンと紙の擦れる音が空間を支配する。しかしその支配は消えた。


「そこの答え、間違ってるよ」


この声の主によって。

…誰だこいつ。


「攻略キャラ」


名前・ルシッサ・バレー

性別・男

階級・クリサンセマム

趣味・人間観察


優しい顔をして実は腹黒という、乙女ゲームの代表性格の持ち主。ゲームでは親にはあまり期待されていないため、ヒロインとの恋愛フラグが一番立ちやすい役だった。リアルでは兄がいたという驚きの事実。

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