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華の都、貴女は蕾  作者: Onyx
学院生活編
10/17

短いです。


その教室は、全く日が当たらないためか窓があるのに薄暗く、埃が溜まっていた。いったいここはなんの教室だろうか。部屋にあるのは二人用の赤いソファーが二つ、その真ん中に白いローテーブルが一つ、そして人一人(頑張れば二人いけるかどうか)入れるロッカーが一つ。この四点セットだけで教室は窮屈に見えた。


「……ロッカー様」


私は無意識のうちにそう呟いた。


「……懐かしい」


ああ、思い出した。このロッカー。私が前世ゲームプレイした際何度もお世話になったロッカーだ。

「花の都、貴女は蕾」は乙女ゲーと公表されているが、あれはもうアクションRPGである。なんだよ筋力って、素早さって、防御力って。スライムでも出てくんのかよオラ。

フィールドは自由に移動でき、様々な行動が取れる。走る時の速さは素早さに依存している。もしヤンデレに追われた時素早さが低かったらアボーン。しかしそんな我らを助けてくれたのが、ロッカー様なのだ!

ヒロインは見知らぬ教室に入り、ロッカーに入って身を隠す。ヤンデレはそこを素通り。ザマァ!

……このゲーム。やっていくうちに攻略キャラが嫌いになっていく、特殊なゲームであった。


「なにしてる」


私は突然の声に飛び上がった。後ろを振り向けば、ゼルダが出入り口の前に立っていた。


「え、あ…ゼルダ?じゅ、授業サボってなにしてんの?」

「てめぇもだろうが」

「…ルシッサは?」

「あいつは教室で授業を受けてる」


親友を置き去りにしてきたのかコイツ。いつも一緒に行動してるのに。

というかゼルダとルシッサには敬語など使いたくない。だから使わない。私の死亡フラグをことごとく建設していきやがって。シャーーッ!


「……ねぇ。なんで私と婚約しようとしたの?私のこと嫌いなんじゃないの?」


いまだ繊細に覚えている、ゼルダの誕生日パーティーの記憶。言われた暴言、言った暴言、狂ったような笑い。正直この二人きりという状況に冷や汗ものだ。ゼルダ、授業をサボる時は次からルシッサを連れてきなさい。


「んなもん、親父が決めたに決まってんだろ。たとえ俺が嫌だっつっても、お前に何かされようと、親父はそんなのお構いなしに縁談を進めると思うぞ。親父達が俺に要求するのは、同階級の女との国内結婚だからな」


腕を組みながらゼルダはたんたんと答えた。え?それってそんなあっさり言えることなの?それって、自分個人は親に価値がないと言われているようなものじゃないの?

そういえば、ルシッサはどうなんだろう。ルシッサにはアネッサという兄がいるから…多分結婚についてはそう積極的ではないだろう。でも、それも価値なしと言われてるようなもの…。

お金持ちって、お金がある分大切なものがない。前世庶民だった私はそう思った。悲しい。そう思った。


「なんだよ」


黙りこくった私にゼルダはそう言った。


「いや、別に…」

「ふーん。それよりこの教室、なんの教室だ?」

「知らないわ。使われてないようだけど」

「へぇ……」

「じゃ、私はもう行くわ。教科書取りにきたついでに寄ってみただけだし」

「おい」


そろそろ移動教室に行こうと思い、出入り口に近づく。それはゼルダに近づくことにもなるのだが。

しかしゼルダは帰らせる気がないらしい。逆に、なにか巻き込もうとしてるように見えた。不敵に笑うゼルダ。


「いいこと思いついたぜ。この教室、俺らの秘密基地にしよう!」

「はぁ⁉︎」


私、フラグ破壊活動とか言っといて、今のところフラグ建設活動しかしてない…。


小学生の頃トイレを「秘密基地!」とか言っていたのはいい思い出。

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