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初投稿ですが、なにとぞよろしくお願いいたします。
姿見の鏡の前に立ち、私はそこに映る6歳の女の子を見つめた。
肩まである黒すぎる髪、それをじっと見つめる紫の瞳。紫をベースとした黒レースのドレスとよく合う。全体的に顔立ちが凛々しく、可愛いというよりは、綺麗系。否、どこか怖い。
私は腕を組み、ため息を吐いた。まるで他人事のようだが、こんな6歳児は嫌だ。何が嫌だって、この気の強そうな顔もだが(美しく産んでいただき感謝はしている)、私の内面に問題がある。
私の名前はリリィ・リス。
フルクルスはクリサンセマムのご令嬢だ。フルクルスというのは、簡単に言えば家柄の階級だ。上から、王族、上流貴族、貴族、富豪、庶民、奴隷。ピアニーは国を動かす王族だから、その次のクリサンセマムはかなり上のランクだろう。
そんなお嬢様な私なのだが……
違う、違う!ちっがーう‼︎
いや、何が違うのかと聞かれても答えられないのだが。ただ、「何か」が違うのだ。
あれは4歳の時。今まで好き勝手生きてきたが、ある時ふと思った。「違う」と。
その時から私はこうして自問自答を繰り返すようになった。そのおかげで私は「無口」「堅物」「辞書」という称号を得た。わぁい。嬉しくない。
辞書というのは、私は記憶力がいいらしい。そのため一度読んだ本の内容や習ったことは忘れない。ある時暇で、書斎で辞書を片っ端から読破した。あとは、言わなくてもわかるだろう。他人に「○○ってなに?」「それはあれでこれでそれで」と、答えられる自信しかない。
でも、もうすこしで思い出せそうなんだけどなぁ……ん?思い出す?何を?
「リリィお嬢様」
コンコン。と自室の扉を叩かれた。ハッと我に帰り返事をする。
「……なにかしら?」
「ステレナ様がお見えに慣れました」
「そう、今行くわ」
ステレナ様とは、私の家庭教師だ。ステレナは私の記憶力を非常に絶賛してくれる。そりゃ教え子が有能なのは嬉しいに越したことはないが。
さて、自問自答もそろそろにして、自室からでますか。
◇◇◇◇◇◇
成る程成る程。外交とは色気で落とすものなのかってバカヤロウ。途中まで小難しい用語やらその流れやら説明された最後、女の武器とやらを教えてもらった。いや、てか6歳児になんてことを教えてんだよ。
ステレナは帰り、私はまた部屋にこもる。
なんか引きこもりみたいだな私。
因みに私が家庭教師に教わるのは勉学だけではない。元々はそれだけのはずだったのだが、覚えが良い私の両親がさらなる期待し、ステレナに将来のためのあれこれを教わっているのだ。今のように仕事のこととか、料理とか、手芸とか、立ち振る舞いとか…。
なんか花嫁修業だな。
さて、ステレナが来る前の思考に戻ろう。
私が違うと感じるこの「何か」について…
「リリィお嬢様」
コンコン。とまたしても自室の扉を叩かれた。
そんなに私に自問自答をさせたくないのか。
「今度は何かしら?」
「ローデリヒ様がお呼びです」
「お父様が?」
ローデリヒ・リス。私のお父様だ。
お父様はあまり家には帰らない。なぜなら仕事で王宮に出向いているからだ。
なので、今お父様が家に帰られているなんて、今の今まで知らなかった。そのお父様が私に何の用なのかしら。
受験生なので、不定期更新です。
半笑いして踊りながら、気長にお付き合いください。