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天国へのカウントダウン

作者: 翔愛

「雄介、お待たせ!」


今日は私達が付き合い始めてから5年の記念日。



「よし、行くぞ。」


なんか素敵な所に連れていってくれるらしい。




「あれ、バイクなの?」


「昨日、メールで言ったじゃん。」


「あ・・よく読んでなかったかも」



「じゃあヘルメット忘れた?」


「うん・・



 あ、でも大丈夫!

 私ヘルメットいらないから!」



「ん。

  じゃあ今日はいつも以上に安全運転でいくわ。笑」




今日はお互い

早く目的地に着きたかった。



「じゃあ出発ー!」


私達を乗せたバイクは前へと進んだ。




それから数十分バイクに乗り、




「あと30分くらいで着くかな?」


そんくらいの時だった。





「・・あ、れ?」


いきなり戸惑い始めた雄介。


「雄介どうかした?」




「・・・」


1回黙り込んで深呼吸したと思ったら


「舞、コレ被って。」


雄介はそう言いながら自分のつけていたヘルメットを私に渡した。




「・・なんで?」


「いいから。」



雄介に言われるがまま、


とりあえず私はヘルメットを被った。









「・・ねぇ、舞。


  俺に『好き』って言って?」



「どうしたの、急に?」



いきなりは・・照れるじゃん。




「早く・・」


なんか雄介が真剣そうに言うから



「・・大好きに決まってんじゃん。」


よりギュっと雄介を抱きしめながら私は言った。





「俺も。

 舞が大好きだ。」



「だーかーら、

  急にどうしたのって!」



私がそう言い終わる前に







ガシャーン





私達の乗っていたバイクは


近くの木に勢いよくぶつかった。





え・・?




意識が遠のく。







「ま・・い」



雄介のそんな小さな声が聞こえた。










翌日のニュース。




「昨日、○○湖に向かう途中の道でバイクが木に衝突し


  乗っていた男性は即死。

  女性は病院に運ばれましたが、まもなく死亡しました。


   原因はブレーキの故障。

   警察の調査の結果、事故として処理されました。」











この2人が向かっていた先には、○○湖と言われる大きな湖があって


そこで結婚を誓い合ったカップルは一生幸せになれるという伝説があったそうだ。




・・男性のカバンの中には結婚指輪と思われる物が入っていた。




ここからは、あくまで私の推測だが



男性はブレーキがきかなくなった事が分かった途端。


一重に「死」という文字が浮かんだことだろう。



せめて、彼女は救いたい。


そう思った結果、男性は女性にヘルメットを渡したのだろうと思う。




なぜ、あそこでブレーキが壊れていることを彼女に言わなかったのか。


それは・・きっと。




死ぬ直前は、

焦った表情ではなく、穏やかな笑顔で大切な彼女の前から逝きたかったのだろう。






事故の5年後。


このエッセイが記された。

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