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グータラヒーロー(改訂版)

作者: 龍急

──ガチャ


「…………む?」


 下駄箱を開けてその中には手紙があった。

 はて?下駄箱を間違えたかな?


――バタン、ガチャ


 う~む、やっぱり俺の下駄箱だ、それだとやっぱり俺への手紙か?

 まぁ、中身を見れば早いな。

 俺は手紙を開けて中の紙を見る。


『屋上に来てください』


 …………なんというか、すごいな淡白だな。

 今から屋上に行かないと駄目かな………うん、やっぱダルイから無視しよ♪

 俺は手紙をゴミ箱に捨ててさっさと下校した。



――翌日――



 俺はいつも通り授業を終えて下駄箱を開けるとそこには手紙があった、しかも二枚。

 書いてあった内容は昨日と変わらず『屋上に来てください』と書いてあった、二枚とも。


「何故に二枚? 同じこと書いてあるなら一枚でもいいじゃん。

 ……あ、昨日はそれで駄目だったからか」


 なんとなく自己完結をして屋上に行くか迷う。

 流石に行かないとかわいそうかなとか思ったけど、ウチの学校六階建てだから上るのめんどくさいなー、とか考えるとやっぱダルイという結論になる。

 俺は手紙を隣の下駄箱に入れて下校した。


―――さらに次の日―――


 いやがらせ?

 第一感想はまさにそれだった、下駄箱の中には溢れんばかり大量の手紙が入っている。

 その中で一枚開けてみると『屋上に来てください』と書いてあった、もうちょっと変化をつけようよ。

 どんだけ直球が好きなんだよ、普通は量より質でしょ、なんで量をとるんだよ。

 よし、屋上へ行こう

 …………だってこれ以上無視すると、なんか怖いじゃん


――ガチャ

 屋上のドアを開けるとそこには女性がいた。それもただの女性じゃない。

 振った男性は星の数ほど、ファンクラブは学園全体で100人を越すとか越さないとか

 そう、そこにいたのは学園一の美少女として名高い氷室。


「あ、あの、こ、ここ、小金井くん、お、お、お話が、あ、あり、あります。」


 何を動揺しているんだこの娘は、

 ………あ、ちなみ小金井こがねいって俺の苗字ね。


「わ、わわ、わた」

「綿?」

「わ、わた、私とお付き合いしてください!!」

「あ、いいよ別に」


「…………」

「…………」


 え?何、この沈黙は、俺、早く帰って寝たいんだけど。


「じゃ、俺はこれで」

「あ、まっ『ガチャ』」


 氷室は屋上で何か言ってるみたいだけど無視無視、何故俺に告白したとか考えるのもめんどくせぇ、まぁなるようになるさ。

 どうせ二週間くらいで飽きて振られるんだろ。

 そんな感じで俺は軽い気持ちで屋上を出た。



―――二週間後―――



「…………死ぬ」


 死ぬ、忙しくて死ぬ、今までの人生でたぶん一番忙しい、だから死ぬ。

 そう、俺は超平凡グータラダラダラ生活をエンジョイしてたはずだ、

 なのに、なのに! あの悪魔のせいで………。


「小金井くーん、一緒に帰ろ♪」


 俺の背中に何者かが抱きつく………いや、ほんとはわかってるけどさ誰が抱きついているなんて。


「出たな、悪魔め!!」

「もー、悪魔じゃなくて恋人だよ、こ・い・び・と♪」


 そう、俺に抱きついているのは一週間前に恋人となった氷室。

 屋上であったときとは明らかにキャラが違う。

 ていうかこいつのせいで俺のグータラダラダラ生活は危機を迎えている。

 ん?何故かって、前も言ったけどこいつのファンクラブ人口は100人を越すとまで言われている。

 そしてこいつは場所とか考えずに抱きついてくる。

 はい、もうお解かりでしょ


「貴様ぁぁあああ!!我が天使に触れておるんだぁぁああ!!!」

「皆の衆!あやつを潰すのじゃぁぁぁああああ!!」

「縛れ!吊るせ!!燃やせぇぇぇええええ!!!」

「「「「おおぉぉぉ!!!!!」」」」


 こういうことになる、簡単に言うとこいつらは嫉妬しているわけです。

 ぶっちゃけ俺のグータラダラダラ生活を壊しています。

 そして一番の問題点が……


「小金井くんって友達が多いね♪」


 元凶である氷室こいつがまったく気づいてないことなんですよ!!!!!


「死ねぇぇえええ!!小金井ぃぃぃいいいい!!!」


「ぎゃーーー!!!」


 俺は全力疾走で逃げる、だってみんな目がマジなんだもん。



―――三時間後―――



「はぁはぁ………疲れた」

 俺はなんとかファンクラブ連中から逃げ切った、

 そこで携帯のバイブがなっていることに気づき、携帯を見てみると友人Aからの電話だった。


「ったく、なんだよ『ピッ』、もしもし」

『もしもし!お、おお落ち着いて聞けよ!!』

「お前が落ち着けよ友人A」

『おお、すまん。スーハー、スーハー………って友人A!?』

「いいから、要件を話せ」

『お、おう、いいかよく聞け………氷室さんがさらわれた』

「へー、だから?」

『…………』


 何故に無言、俺には全く関係ないじゃん。


『だからってなんだよ………氷室さんはお前の彼女だろ!!』

「………あー、そういえばそうだったな」

『てめーふざけるのもいい加減にしろ! 氷室さんをさらったのはこの町の不良を仕切っている鬼兵族とかいう暴走族だ!! あいつらは山奥の古い工場にいる!!! わかったな!!!!』

 ―プツン― ツーツー


 一方的に切りやがったなあいつ……。

 にしても、あいつって本当にお人よしだよなー、本名忘れたけど。


「はぁ、めんどくさいけど行くか」


 一応あいつは俺の彼女だしな


 俺は友人Aが言っていた工場へ走った、時速300kmくらいで……

 へ、なんでそんなに早く走れるかって? いや、実際はそんなに早く走ってないよ。

 そのぐらいのスピードで走るくらいの気持ちってことだよ。


 さてと、工場に着いてドアを開けたのはいいんだけどさ。

 開けてみたらびっくり40人近く人がいるじゃあーりませんか、ぶっちゃけ予想外。


「あぁん!?なんだてめぇは?」

「あの~、ここに氷室っていますか?」

「氷室?あぁ~、今から犯そうとしてた女かぁ?」


 不良の目線をたどってみるとそこには両手を縄で縛られた氷室がいた。

 どうやらまだ何もされてないようだ。


「あ~、それです、それ、そいつって一応俺の彼女なんで返してくれませんか?」


 いつもどおりの口調で喋っていると突然腹に重い感触。

 俺はその場で倒れて、それが不良の蹴りのものだと始めて気づく。


「はぁ?マジで笑えるわこいつぅ、正義の味方気どりかよバーカ」


 不良は倒れこんだ俺に何発も蹴りを入れて罵る。

 …………いいかげん、うざいなこいつら



       潰すか



「ヒャハハばぁ!?」


 俺は不良のウザイ口を俺の手で塞ぎそのまま……


『バキッ!』


 顎を潰した、不良たちがなんか喚いているが俺はもう止まらない。

 というか止まる気がない


「正義なんて糞くらえ、悪なんて糞以下だ! 

 そう、俺は正義でも悪でもない、

 平凡と大事な人をダラダラと守り、

 誰よりも暇を愛し、誰よりも道楽に尽くす

 ただの偽善者ヒーローだ!!!」


俺は高らかに叫びながら不良集団の中に突っ込んだ。


―――三時間後―――


 俺は氷室さんを背負いながら山道を降りてく、どうやら氷室さんは不良に捕まえられた時に足を挫いて

しまったらしい、迷惑以外のなんでもない。


「ねぇ小金井君、私と付き合っていて困ってない?」


 何を言い出すんだこいつは。


「してるよ、かなり」

「………バッサリ言うね」

「俺だからな」

「………小金井君、私達わか「でもな」れぇ?」

「お前は俺の彼女だ、大事な人だ、困っていようが困っていなかろうが関係ねぇよ、それに今の生活も楽しいからな。」


 あー、恥ずかしい、こんなセリフなんて二度と言いたくねー。


「………やさしいね」

「だろ」


 俺達は適当に喋りながら山を下った。



…………下ったのはいいんだけどさ、何これ?


「貴様ぁぁあああ!!我が天使をおんぶしておるんだぁぁああ!!!」

「皆の衆!あやつを潰すのじゃぁぁぁああああ!!」

「縛れ!吊るせ!!燃やせぇぇぇええええ!!!」

「「「「おおぉぉぉ!!!!!」」」」


 え?デジャブ?

 山を降りてふもとにいたのは氷室ファンクラブの皆さん、延べ100人くらい。


「てか、なんでお前らがここにいんだよ!」

「だまらっしゃい!!謎の友人Aとか言う奴が教えてくれたんじゃい!!!」


 …………アイツ、ゼッタイコロス


「おしゃべりは終わりだ!そこで死んどけぇぇぇええええ!!!」

「ぬお!」


 隊長っぽい奴の一声あげると、全員で一斉に襲い掛かってくる。


「というか氷室、離れろや!!」

「zzz」

「寝てるんかい!!」


俺は氷室を背負ったまま逃げる!とにかく逃げる!

           



         誰か俺に平穏をください!!!

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