表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
きっと、それは  作者: 篠宮 楓
第5章 手を伸ばして、君が求めたものは。
114/153

17

「どっちとも付き合っていません!」


即答してくるりと踵を返す。

今、そーいう冗談は聞きたくないんですがっ。

まったくと息巻きながら、手に持ったままだった台布巾をウッドテーブルに置いた。

「あんまりそーいう事、言わないで下さい。二人から敬遠されちゃったらどーするんですか」

「えー、そんなことないでしょ。っていうか、遠野先生。付き合ってるんじゃないの?」

不思議そうに問いかけてくる溝口先生を、圭介さんは何も言わずにただ笑みを浮かべる。

溝口先生はそれじゃあと、翔太を見た。

「翔太の方?」

「俺は、それを望む!」

元気いっぱい手を上げる翔太に、思わず肩から力が抜けた。


今日は翔太に助けられてるなぁ、色々と。

本人、気付いてないだろうけど。


「翔太ってば、可愛いこと言ってくれるんだから」

「またそれかよー」

ぽんぽんと頭を叩くと、アパートの駐車場に一台の車が入ってきた。


少し大きめのその車の助手席から、工藤主任の姿が見える。


「あ、皆が来た」


翔太から手を離して車に体ごと向くと、伝えておいた空いている駐車スペースに車がゆっくりと停まった。

「おー、あれがゆいさんの会社の人」

溝口先生が手の埃を払いながら、腰を上げた。

「あ、溝口先生、どうぞ」

手拭を渡すと、溝口先生が気付いたようにそうだと呟いた。

「溝口先生はやめない?」

「え?」

「だってさー、仕事してるみたいなんだよね。こいつもいるし」

そう言って、がしりと翔太の頭を掴む。

「こいつって何!」

「それにほら、こっちもいるでしょ?」

翔太の叫びを無視して、空いている右手で圭介さんを指す。


「遠野先生、お互い先生つけるのやめません? 俺も圭介って呼んでいいですかね。タメ口でいいから」

ゆいさんもさ、と。


圭介さんは少し逡巡しながら、ふむ、と呟いた。

「……なんだか複雑な気持ちですが、そうしますか。さすがにプライベートで敬語に尊称付けは面倒な気がします」

圭介さんは是と返しながら、しかし……と難しい顔をした。


「大変な問題が、一つあります」


「あ? やっぱ年上に敬語はきついか?」

きょとんとした溝口先生に、圭介さんはそれはまったくと頭を振った。




「溝口先生の名前、知らない」




しーん



静まり返った瞬間、翔太まで知らないと言い出した。




「まじで!? 六年も隣の席に座っといて、先輩教師の名前しらねぇってか!」

「え、ホントに? 圭介さん、冗談でしょ?」

さすがにそれはないよね、という目で見上げれば、思いっきり真面目な表情で否定された。



「至極、朧げ」

「端的に言うなよ、文系教師! 俺泣くぞ?!」



ちょっと泣きそうな溝口先生が、大変面白い。

うん、圭介さん達が苛めて遊ぶ気持ちが分かった気がする。


1話分の文字数、少ないですかね。

少し前まで3000文字前後で更新してたんですけど、読みにくいかなと思って、今は1200~1500文字位にしてるんですが……。

今度は少なすぎだろうか……。

なんとなく、今の悩み。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ