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第5話 女神様は俺と一緒に遊びたいらしい①

「う~ん、どうしたものかな……」


 俺はベッドの上でそうつぶやく。

 昨日がサイン会だったので、ベッドに入った瞬間からすんなりと寝れた。

 現在は朝の7時30分。

 待ち合わせの時間まであと1時間である。


「それにしても……凄い話だよな。俺がまさか……遊びに誘われるなんて……それも女子に」


 未だに信じられない。

 俺はポケットから携帯を取り出し、ラインを確認する。

 これは昨日の帰りになにかあったら困るから一応交換おきますねと言われ、交換しておいたものだ。


『咲です。よろしくお願いします! (^^♪』


『よろ』


『明日の予定ですけど、駅前に午前8時集合でお願いします。特に持ち物は必要ないので手ぶらでも大丈夫です』


『わかった。それで、どんな事をするんだ?』


『それは……秘密です。ついてからのお楽しみということで』


『そうか。なら、着いたら連絡くれ』


『はい。お願いします』


 これで会話は終わった。

 いや、しかし、何度見ても誘われているのに驚きだ。


 俺がいくら好きな小説の作家だからっていってもいきなり誘ったりするか普通。

 あの人の考えは理解できない。

 だからこそ、怖いものがある。


「はぁ……どんな服着ていこうか迷う」


 俺はベッドから飛び起き、クローゼットの中を見る。


 相手は女神様だ。俺が隣にいるせいで、なにあの人。なんであんなに美人な人と一緒に遊んでいるだよ、うぜぇとか思われたりするかもしれない。

 きちんとした服を着ていかないと。

 

 俺はクローゼットにある、服を全部取り出し、ベッドの上に置く。

 

「う~ん……やべ、全然服がない」


 だった5着しかない。

 まずは夏用と冬用の制服。それと適当なパジャマ服。

 そして、遊び用の服だった。


 そのうちの一つは3年前から着ているもので、生地が小さすぎてきれられない。

 つまり、残りのこの服しか着るものがないという事だ。


「うわ……微妙な服すぎるだろ、これ。そもそも友達とかいないし、遊びにいくこととかないから服なんて買ってないんだよな。……いまから買いに行ったら完全に間に合わないし……詰みだ」 


 仕方なく、残っていた服を着て、残りをクローゼットの中に戻し、部屋を出る。

 顔を洗い、小さな鞄を肩にかけ、家をでる。

 ここから駅までは約10分。

 時間までには余裕でつきそうだ。


「ふう到着」


 そうして何事もなく、淡々と歩いて、予定の20分前に着いた。

 

「流石にまだ来てないよな。なにせ20分前だし」


 いないだろうと思いつつも顔を動かし、周りを見る。


「あ……いた」


 その中に圧倒的なオーラを放つ女性がいた。

 近くにいた男はその場で立ち止まり、それを凝視する。

 女でさえ、二度見するほどの美女。

 まるでそこだけは別次元に隔離されているのように感じ取れる。

 何故だろう。同じ人間だっていうのに。


 俺がそれに見とれていると、彼女の方が気づいてこちらに来る。

 周りの人間全員が目を俺の方に向けられる。

 痛々しい視線が届いてきて、思わず、胸が苦しくなった。


「あれ、意外と早かったですね。勝手に桜木君はもっと遅くに来ると思ってました」


「お、おう」


 笑顔のまま言われたせいでろくに会話にならなかった。

 可愛すぎるのが悪い。

 俺は悪くない。


「しかもなんですか、その服装。どんなファッションセンスです? 今どきの中学生でももう少しマシな服を着てきますよ。」


「……仕方ないだろ。いきなり遊ぶって言われてもこれしかなかったんだから」


「まあ、そうですよね。学校でほとんど一人でいる陰キャ君ですもんね!」


「ほっとけ」


「冗談は置いておいて。これからどこに行くのか話しますね」


 冗談って言えばなんでも許してもらえるとか思っていませんかね?

 まあ、怖くてなにも言い返せないし、その分可愛いから許しちゃうんだけど。

 ……いや、許しちゃうのかよ、俺。


「今日は……秋葉原に行きます」


「え、秋葉!?」


「そうです、秋葉原です」


 嘘だろ、信じられない。 

 いままでの人生の中で一番びっくりしたかもしれない。

 福岡さんから秋葉原の文字を聞くなんて思わなかった。


「どうして、そんなに驚いているんですか?」


 不思議そうにこちらを見つめて来る。

 俺は言い訳するように若干、たじろぎながら言う。


「いやだってさ、福岡さんって陽キャじゃん。そういうのあんまり行かなそうだなって」


「……決めつけないでくださいよ。私だって秋葉原くらい一人で行きますよ。第一、桜木君のファンだって言っていたし、秋葉原に行くくらい想定できるじゃないですか」


「言われてみれば……それはそうなんだけど……見た目と全くそぐわないなって」


「はぁ……これだから、桜木君って人は……」


 少しあきれたようにため息を漏らす。

 そして、続けて言ってくる。


「いいですか、桜木君。クイズです。この世の中で最もモテない人種は誰でしょうか?」


 人差し指を出し、質問してきた。

 急にして来たので、返答に困る。


 いきなりなんだよ、この質問。いまの話と全く関係ないし、俺がそんなこと知るわけないだろ。適当に言ってみるか。


「……陰キャとか?」


「ぶぶ、不正解です」


「じゃあ、なにが正解なんだよ?」


「簡単ですよ。それは……人や物事を自分の主観的な意見だけで判断して、行動してします人のことです」


 意味がわからず、首をかしげる。


「そうですね、例として、目の前にかわいい子がいたとします。モテる人は自分からグイグイと来て、逆にモテない人は全く行動を起こしません。なぜなら、彼女が可愛すぎて、俺と釣り合わないと勝手に解釈してしまうからです。まさに、桜木君ですね」


「………………」


 なるほど、福岡さんの意見には一理あるな。

 勝手に判断するやつはモテる可能性が低くなるのは事実っぽい。

 

 でも、それはあくまで性格の話だ。

 顔が違ったら話は別になる。

 結局、モテる奴は顔と金なのだ。

 ていうか、自分が可愛いってこと自覚してたんだな。

 まあ、それもそうか。毎日あれだけの数の男を相手にしているんだもんな。 


「……だから、私みたいな可愛い子にもいろんな種類がいるんですよ。勝手にあなたの理想を押し付けたりすると、後々痛い目に会いますよ」


「……まるで体験したような言い方だな」


 そういうと、ニコリと笑う。

 どことなく、いつもの笑顔とは似ても似つかない感じがした。


「あ、それはそうと、こうしてたらいつの間にか時間になってました」


「ほんとだ、もう7時57分か。ほぼ8時だ」


「そうですね。それでは、秋葉原に行きましょう!」


 今日の福岡さんはどうやら少しテンションが高いらしい。


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