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第九話  帝王は何処か 中編

前編からの続きです。


前編をご覧になられてない方はそちらからお読みください。


(≧▽≦)

 皆様、大変お待たせいたしました。ヌイヴェルでございます。話が長くなっておりましたので休憩を挟みましたが、お話を続けさせていただきます。

 さて、アルベルト様からの迎えが参りまして、私とアゾットはチェンニー伯爵家のアリーシャ嬢と執事見習いのマルコが監禁されております、郊外のとある屋敷にやって参りました。

 その二人は別々の部屋に閉じ込められておりました。

 アリーシャ嬢は屋敷の一室を宛がわれ、そこで寝泊まりしておりました。昼夜を問わず見張り役がおり、部屋から一歩もでないように鍵がかけられていました。

 マルコの方は地下にございます牢獄に入れられておりました。

 どちらも縛られたり、拷問を受けた様子はなく、閉じ込められたせいで少しやつれた程度でありました。

 ただ、目を引くのが、なんと言っても美男美女であったということです。監視用ののぞき窓から二人を確認いたしますと、神の精密なる造形を恩寵としてその身に宿したかのごとく、見目麗しい二人の咎人でございました。

 なるほど、ジョルジュ様が自身の娘に情欲いたしましたのも、ある意味で頷けるというもの。

 まあ、その二人をこれからいたぶり尽くすのでありますから、妙な気を起こさないかと私自身の心配をしてしまいそうになります。

 まず、アリーシャ嬢を拷問部屋へとお連れします。特に道具を使ってあれこれというわけではありませんが、ずらりと並ぶ拷問道具の数々に肝が冷えていただければ幸いでございます。

 一方のマルコは地下室の最奥の部屋に移動させまして、そこにて尋問を執り行うつもりです。

 二人の移動が終わりますと、私は拷問部屋へと足を運びました。ずらりと並ぶ拷問道具に囲まれて、その中央に椅子と机が用意されており、それにアリーシャ嬢は座らされ、逃げないようにと手枷足枷をはめられておりました。

 部屋の隅には見張り役でもあります看守がおりました。怪しげな仮面を身に付け、それ以外は上半身裸で、鍛え上げられた筋肉と傷跡をみせつけていました。

 ちなみに、私の出で立ちは漆黒の長衣トーガに妙な飾りのついた錫杖バストーネ、さらに頭巾カプーチョと言った具合に、怪しげな魔女に扮してございます。まあ、実際、魔女なのでございますが、これも雰囲気作りでございます。

 部屋に入ってきた私を見て、アリーシャ嬢は目を丸くして驚いた様子でしたが、すぐに元通りの顔に戻り、そして、こちらを睨みつけて参りました。ああ、睨みつけてくる顔もまた愛らしいですこと。

 私はもったいぶったようにゆっくりと歩み寄り、机を挟んで手を差し出しました。


「お初にお目にかかります、アリーシャ嬢。今日はあなた様からお話を聞くように仰せつかって参りました者でございます。名前は・・・、そうですね、娼婦プッターナと名乗っておきましょうか。どうぞよしなに」


 差し出されました私の白い手は握手を求め、アリーシャ嬢の目の前をで止まりましたが、握手に応じてはくれません。まあ、それもそうでございましょう。なにしろ、アリーシャ嬢は枷をはめられている状態。手を握ることは適いますまい。

 そんな分かりきったことをするのは、位置付けをはっきりさせるためでございます。声をかけたり、握手を求めたりするのは“目上”の者がすることです。私から話しかけ、握手を求めるとはそういうこと。どちらが上なのかを、しっかり認識させるためです。

 そして、目上の誘いを無視した目下の者をなじる理由付けにもなります。握手にも応じず、返事もなく、ただ睨みつけるだけ。ああ、それは礼儀知らずにも程がありますわ。

 私は持っていた杖をゆっくりと振り下ろし、アリーシャ嬢の頭頂部に一撃を入れました。まあ、軽く小突く程度ですから、そこまで痛くはありません。


「あいさつは大事なことでございますよ。『はじめに言葉があり、言葉は神と共にあり、言葉は神であった』と聖書にも書かれております。言葉を交わすことが、まず始まりでありましょう。挨拶も握手もなしとは嘆かわしい。一体、どのように躾けられましたらこのような礼を弁えぬ娘ができるのでありましょうか、小一時間問い詰めたくなりますわ」


 などと説教くさく言いましたが、あくまでこれは方便です。そんな文言は聖書には出てきませんので。

 根源アルケーとはロゴスなり。神こそ根源であり、世界そのもの。言葉など、その含意の内に過ぎません。ロゴスに内包する意味も、あるいは神、あるいは法則、あるいは心理、あるいは論理、様々でございます。

 重要なのは誰が言ったのか、いつ言ったのか、どういう意味合いで言ったのか、でございます。先程のあいさつを例に出しますれば、目上が目下に声をかけるのは当然でありますが、断りもなく目下が目上にいきなり話しかけるのはよくないということです。同じ“あいさつ”であっても、意味合いがこうも違ってくるのでございます。

 おおっと、話が逸れてしまいましたわ。大変失礼いたしました。

 私は持っていた杖を看守に向かって放り投げ、アリーシャ嬢の腰かける椅子の裏手に回り、両手を相手の方に乗せました。締め付けない程度に首に手を回し、そして少し屈んで耳元に私の口を近付けました。


「さて、それではお話しいたしましょうか、アリーシャ嬢。大切な宝物が入った箱の鍵、どこにしまわれたのか、お教え願いませんか?」


 回り道など不要。いきなり本題でございます。ササっと聞き出して、ササっと帰らせていただきます。そもそも、今日は安息日でございます。神に祈りを捧げる大切な日だというのに、拷問部屋でお話合いなど、神に対しての冒涜以外の何物でもございません。

 そして、私の魔術が発現いたします。触れ合った相手から情報を抜き取る《全てを見通す鑑定眼ヴァルタジオーネ・コンプレータ》という魔術、口を閉ざそうとも無駄でございますよ。

 しかし、これとて万能に非ず。真に心を閉ざした者の情報を盗み出すのは、骨の折れる作業でございます。詰まった水道管からこぼれる水滴など高が知れておりますし、望みの情報が漏れ出すのは期待薄でございます。

 ならば、魔女ではなく、本職たる娼婦の手管にて口を開かせて差し上げましょう。

 私は右手をアリーシャ嬢の服の中に滑り込ませ、程よく膨らんだ乳房を丁寧に愛撫いたしました。我慢はしているようですが、口から僅かばかりの吐息が漏れ始めました。


「齢は十四と聞いていたが、なかなかどうして、良き果実を実らせておるのう。思わずもいで食したくなる」


 逃れようとジタバタ動いておりますが、枷が邪魔をして動けないご様子。私はニヤニヤ笑いながら愛撫を続け、さらに舌先を相手の耳をなぞるように動かします。

 ビクリと体を震わせて、いやぁ、と弱々しい声が漏れて参りました。


「ホホッ、顔の真ん中に空いておる穴は、単なる飾りではなかったのう。随分と愛らし声で鳴く小鳥ではないか。よいぞよいぞ。どうじゃ、洗いざらい話した後は、私の店に来ぬか? お主ならば、直ぐに人気も出てこよう。なあに、必要な手練手管は教えて差し上げるゆえ、心配はいらぬぞ」


 なんという悪役の台詞。我ながら恥ずかしくなるほどの字句を並べるものだと、意識して抑え込まねば顔が赤くなるところでございます。

 ですが、効果はありました。鞭やなんやらで引っ叩かれるのかと思いきや、娼婦が出てきてモミモミとは思ってもいなかったでしょう。隙間ができて、多少は漏れ出た情報をいただきました。

 やはり、と思いましたのは、アリーシャ嬢が父親であるジョルノ様より辱めを受け、処女を散らしてしまわれたということです。いくら私も認めるほど可憐な少女であろうとも、実の娘に対して行うことではありません。この点では、全面的にアリーシャ嬢に同情いたします。

 先程、私の愛撫を震えながら嫌がったのも、父親にされたことが脳裏に浮かんで来たからでしょう。傷口に塩を塗り込むやり方はさすがに効いてくるはず。

 もう一点は、アリーシャ嬢は執事見習いのマルコに恋心を抱いていたということ。まあ、身近にあれほどの好青年がおりますれば、心惹かれることもありましょう。

 ですが、肝心の鍵の行方はまだ出てこない。余程、心の奥底に沈めたか、あるいは“知らない”か。どちらにせよ、まだ少し調べてみねばなりません。

 そこに扉を叩く音が響きます。私はアリーシャ嬢の服の中から手を出し、扉に向かって姿勢を正しました。

 扉が開き、中に入ってきたのはアゾットでございます。ただ、白衣を着込んではおりますが、無数の返り血を浴びたかのように、無数の飛沫が赤くこびりついております。

 もちろん、これは事前に染料を付けておいたもの。これも小賢しい小道具でございます。


「ご苦労であった。そちらの首尾はいかかであるか?」


「あの執事見習い、中々に口が固うございましたが、ようやく話す気になりました」


「重畳重畳。では、そちらから片付けて、あとでこのお嬢様を始末するとしましょう」


 私は満足そうに頷くと、アゾットの方へと足を進めました。


「ま、待って!」


 アリーシャ嬢からの呼び止める声。私は優雅に体を向き直し、縛られたお嬢様を見つめました。


「ま、マルコに、マルコに何をしたの!?」


 驚き、慌てるお嬢様。まあ、いきなり血だらけの男が現れて、執事見習いに言及しましたら、血の気も引いて参りましょう。


「口が開かぬ病気ゆえ、お話ししていただけるようにこの男が治療を施しただけのこと。詳しく説明して差し上げなさい」


 促されるままに、アゾットは事前に考えておいた拷問風景をアリーシャ嬢に聞かせました。あまりに生々しく、あまりに凄惨な情景の説明にアリーシャ嬢はガタガタと震えだし、涙を流し始めました。

 まあ、恋心を抱く青年が無惨な姿に成り果てたと聞けば、悲観に暮れるのも当然のこと。アゾットの血に汚れた衣装がそれを際立たせております。


「もうよいぞ、もうよいぞ。十分じゃ」


 虐めるのが目的ではありません。あくまで、必要な情報を聞き出すか、盗み取るのが目的です。ここまで揺さぶってやれば、もう一息と言ったところてしょうか。


「お願い! マルコを、マルコを殺さないで!」


「嫌でございます」


 私は顔をアリーシャ嬢に近付けまして、にこやかな笑みを向けます。ああ、泣き顔も可愛らしい。本当に店に連れて帰って、仕込みたくなるくらいに。


「あなたの大好きなマルコは、今や私の手の中。握り潰すも、捻り上げるも、私の思うまま。ああ、哀れなマルコ。神の恩寵受けし雅な顔立ちも、今や墓場を這う屍人(グール)と変わらぬ姿になってしまいました。もう、愛しのアリーシャを抱き締めることも叶いますまい」


 まあ、マルコにはまだ何もやっていませんけどね。移動先で見張りの看守と待機中。

 ですが、アリーシャ嬢にはそれが分からない。分からないから、惑わされる。見えているのは、血まみれのアゾットの姿だけでございますから。


「呪われなさい、娼婦(プッターナ)! 地獄(ゲヘナ)に堕ちなさい、悪魔の手先め!」


「そうそう、その通りですわよ。ですから、私がいつ地獄(ゲヘナ)に落ちても良いよう、執事に掃除でもしていてもらおうかと。ああ、あなた方二人はもちろん地獄行きよ。父親殺し、主人殺しなのですから、当然でございましょう」


 私は高らかな笑い声と共に部屋を出ていきました。いささか品のない笑い方にございますが、まあこれも演技の内と言い聞かせて、気にしないことにしました。

 背中からいくつも罵声を浴びせてきましたが、言い回しが良くありません。普段、ここまで罵声を浴びせることがなく、言い慣れていないのでしょう。まあ、罵声を言い慣れているお嬢様というのは、それはそれで問題ではありましょうが。

 そんな叫び声を聞きながら、マルコのいる部屋へと向かいました。



                ***



 マルコが連れ込まれた部屋は、先程の賑やかな調度品が並ぶアリーシャ嬢の部屋とは打って変わり、何もない殺風景な部屋でございます。机と椅子だけが置かれ、その椅子にマルコが座らされていいます。

 マルコは逃げられないように枷をはめられ、さらに屈強な看守が横に立っております。

 いやはや、この執事見習いは本当にいい男でございますね。数多の殿方のお相手をしてまいりましたが、その中で間違いなく五指に入るほどの眉目秀麗なる好青年。側に寄り添わば、顔を赤らめぬ女子はいないことでございましょう。


「初めまして、色男。本日のお相手を務めさせていただきます、そうですね・・・、魔女ステレーガとでも名乗っておきましょうか」


 やり方は先程と同じ。握手を求めて手を差し出しました。まあ、娼婦から魔女に変わっておりますが、特に意味はございません。単なる気まぐれにございます。

 当然でございますが、枷がはめられている以上、握手はできません。


「あらあら、二人揃って礼儀がなっておりませんわね。まったく、チェンニー伯爵家ではどのような躾をしておいでなのか、逆に興味が湧いてきますわ」


 私はマルコの横に立ち、手でその頬を撫で回しました。魔術によって情報が流れ込んできましたが、やはり情報の出が悪いです。心が閉じている上に、噴き出してくるのは怒り、怒り、怒りでございます。

 その僅かな隙間には、別の甘美な匂いもして参りました。そう、恋慕という甘い蜜の匂いが。やはり、この色男はお嬢様に恋心を抱いているのは間違いありません。

 更に怒りに混じって苦い思いが少しずつ漏れて参りました。

 ですが、それの正体は掴みきれません。やはり、心が閉じた状態では読み取るのは難しく、揺さぶって差し上げる必要がありそうです。

 私は少し身を屈めまして、相手の耳に口を近付けました。そして、軽く息を一吹き。マルコは少し身悶えしましたが、明らかにこちらに敵意と警戒を向けてきました。


「ああ、見れば見るほど、本当に整った顔立ちですこと。どうじゃ、洗いざらい喋って楽にならんかえ。そうすれば私の男娼として“飼って”やるぞ」


 私が“娼婦(プッターナ)”として殿方のお相手をするのがお仕事でありましたらば、その逆に御婦人のお相手をする“男娼(ウォモ・プッターナ)”なるものもございます。

 美食に緩んだだらしない腹の旦那様よりも、鍛え上げられた肉体を持つ若い美男子に抱かれたい。そう考える御婦人はいくらでもおりまして、旦那の目を盗んでは男娼の元へ出かけるのでございます。

 かつての大帝国時代には剣闘士(グラディアトーレ)が人気であり、数多の御婦人がその鍛え抜かれたその肉体を貪ったのだとか。

 結局、男も女も考えることもやっていることも一緒だということでございます。


「あのようなただ可愛いだけの小娘よりも、もっと楽しいことをしようではないか。ああ、今から楽しみにでならんわ」


 わざとらしく音を立てながら舌を舐めずり。艶かしく、妖しく、男を誘惑する奸婦の演技をするのも楽ではありません。普段の私でしたらば、かような過剰演技に頼ることなく、さりげなくお誘いするのですが、今は悪役に徹せねばなりませんゆえ、致し方ございません。


「奸婦め! 誰がそんな提案に乗るか! おおかた、俺のことを消しに来たのだが、そうはいかぬぞ! 俺を殺せば、お宝が手に入らなくなるからな!」


 こちらを睨み、叫ぶマルコでございましたが、一つの重要な情報が出てまいりました。それは“消す”という言葉。

 この場面でその言葉は不自然。咎人を処刑するのであれば、出てくるのは“殺す”という言葉。しかし、出てきたのは“消す”という言葉。

 つまりは“口封じ”。用済みの駒が余計なことを喋る前に“消す”という意味合いがございます。

 これは深く調べねばならぬと、私は少し衣服をはだけさせ、見え始めた乳房をマルコに押し当て、顔を埋めさせました。


「ほれ、どうじゃ、わらわの胸の感触は。あの小娘よりもよりも大きいぞ。人生、楽しまねばならんぞ。ほれ! ほれ!」


 マルコは必死に逃れようと足掻きますが、枷が邪魔して逃げることはできません。さあさあ、心が乱れて参りましたわよ。

 それと看守。何を鼻の下を伸ばしておるか。生唾を飲む音がこちらまで聞こえておるぞ。おぬしを相手する義理はないゆえ、この乳房に触れたければ、ちゃんと金子を用意するのじゃぞ。

 そうこうしておりますと、扉を叩く音が響いてまいりました。そして、現れ出ましたのは、アゾットでございます。こちらも先程と同じ、赤い染料で汚しました白衣を身に付け、部屋に入って参りました。


「娘の方の取り調べは終わりました。あそこまでの強情者は初めてでありましたので、もう“使い物”にはなりませぬが、ようやく口を割りました」


 返り血に染まる男が淡々と喋る衝撃の内容。マルコの表情からは怒りと焦りがにじみ出してございます。そうそう、これを見ねば、悪役をこなしているとは言えませんわ。


「あ、アリーシャに何をした!?」


 焦るマルコからまた情報が漏れ出ました。この場合、“お嬢様”もしくは“様付け”で呼ぶのが執事として当然でありましょうが、それを名前の呼び捨て。それが許されるほど、二人の間は親密であるということです。まあ、人目がないところ限定でありましょうが、うっかり焦って口にしてしまったのでしょう。揺さぶる材料としては最適でございます。


「“拷問官(トルトラトーレ)"よ、おぬしやり過ぎじゃぞ。せっかく事が終わったら、看守の皆さんにお裾分けしようと思うておったのに」


 そう言って、私はアゾットが持っておりました金属製の“梨”を取り上げました。微妙に錆びた禍々しい雰囲気を持つ食べられない果実をマルコの眼前に突き出し、それを見せつけました。


「さて、これはどういう玩具か分かるかえ?」


 質問に対し、マルコはそっぽを向いて応じました。まあ、強がっておられるのも今の内よ。


「これはのう、“苦悩の梨アングリッシュペアー”という物じゃ。形が梨に似ておるじゃろう? で、こここにあるネジを回すと・・・」


 梨に取り付けられたネジを回しますと、梨がゆっくりと開いていきました。さながら、花が蕾から開花するかの如く。


「こうな、中の仕掛けがネジに連動しておって、ゆっくり開く仕掛けなのじゃ。さて、この梨、口に入れたまま開いたらどうなるであろうな?」


 ようやく意味を悟ったマルコはジタバタと暴れ始めましたが、どうすることもできませんよ。看守の方に顔を向け、手招きをしました。


「看守、この間抜けの顔をしっかりと掴んで、固定しなさい」


 先程、私の艶やかな姿を拝んだのじゃ。きっちりと働いてもらいますわよ。

 そして、看守は屈強な腕でマルコの顔を挟み込み、そっぽを向こうとするのを無理やり私の方へと向けてくれました。

 しかし、マルコは必死で口を閉じ、梨を口の中へと入れさせまいとしました。


「よいぞよいぞ、抵抗してみせよ。足掻けば足掻くほど、私は楽しいですからね。でも、依頼主からさっさとしろと言われておりますので、お遊びも終わりにいたしましょうか」


 私は空いた手でマルコの鼻を摘まみ、鼻孔を塞いでしまいました。さて、これで息苦しくなりますわよ。口を開けなば窒息死でございます。

 そして、耐えれなくなったマルコは口を開けまして、空気を求めてもがいておりますが、そこへ梨を差し入れました。


「さて、何回ネジを回せば、顎が外れましょうか。楽しみでございます。それと、お味はいかが?」


 私は一回二回と回し始めますと、マルコがさらに暴れ始めましたが、看守がそれを抑えつけ、無理やり止めてしまいました。


「あ、そうそう。先程、使い物にならなくなったというのは、この拷問官(トルトラトーレ)がアリーシャ嬢に使ったからなのですよ。もっとも、差し込んだのは“下の口”でありますが。あなたの大好きなお嬢様の血肉を喰らった怖い怖い梨の果実にございます。さあさあ、たくさん頬張て下さいな」


 我ながら見事な悪役の演技。お話の中だけの悪い魔女になった気分にございます。

 脅しの意味を悟ったマルコは、今度は泣き出してしまいました。まあ、今差し込まれている梨が花開くときどうなるか、想像するのは難しくありませぬ。お嬢様の股座またぐらに大穴を開けられ、血の海に沈む情景でも思い浮かべているのでしょう。


「ああ、退屈でございますわ。足掻くからこそ楽しいのに、そう泣かれては興覚めですわ」


 ネジを巻いて梨を元に戻し、それを口から引っこ抜きました。


「さて、話す気になりましたか? 箱の鍵を探しておりますので、大人しくお話しいただければ、“あなた”にはもう何もいたしませんわ」


 二人の待遇に差を付ける。これぞ、疑心暗鬼の呼び水でございます。もっとも、どちらに対してもまだお遊び程度でありますから、余裕と言えば余裕でございましょう。互いの姿を見ることができないのが、こちらの有利な点でありますから。


「だ、誰が話すか、この魔女め! どうせ、話したらすぐに始末するつもりだろうが!」


「まあ、そういう考えもありますが、このまま苦痛と苦悩の喜劇コメーディアをお続けになるのでしたらそれでも良いかと。痛みが長続きするだけですわよ」


 二人して強情でございますね。まあ、それだけ違いに信頼しているか、愛しているかなのでしょうが、どちらに転んでも死が待っているのですよ。楽に死んだ方がマシでありましょうに。


「看守さん、少し席を外していただけませんか?」


 私が看守を見ながらお願いしますと、看守は首を横に振って拒絶しました。監視もかねているのですから、当然と言えば当然でありましょう。


「今日は安息日ゆえ、早く帰って懺悔をせねばならないのです。ですから、普段は使わない強力な秘術を使おうかと考えております。しかし、これは他人に見せたくないのでございますから、それで退席を願っているわけです。どうせ、ここは窓もなければ扉はそこの一つだけ。逃げることはできませんわ」


 私の説得に、看守は渋々ながらアゾットと共に部屋を出ていきました。と言っても、扉越しの気配から、聞き耳を立てているのは確実。見えていないとはいえ、滅多な話はできません。

 ならばと、私は懐に潜ませて降りました、紙と筆を取り出しました。筆と申してもインクは必要ありません。木の棒に黒鉛を詰めた物で、“鉛筆”と言うのでございます。煩わしいインク壺を持ち歩かなくて済むので、意外と重宝しております。

 もっとも、これの利便性に気付いている方はまだ少ないです。

 私はスラスラと

紙に字を書いていきました。そして、それをマルコに見せ付けます。


“お芝居開始、苦痛に呻きながら叫んで”


 これを見るなり、マルコは目を丸くして驚き、私と紙を交互に何度も見ました。まあ、いきなりこういう手で来るとは考えていなかったようで、頭が混乱するのも無理ありません。

 私はジッとマルコを見つめ、マルコもまた頷いて応じてきました。


「う、えがぇあ、や、やめ、やめろ!」


 少々わざとらしくも感じましたが、まあ良しとしましょう。演劇の俳優でもないわけですから、いきなりの小芝居に熱演を求めるのも無理でございましょう。

 それに、こちらの誘いに乗ってきたのが重要。さらにササッと追加で紙に書き込みました。


“あなたは南方出身か否か、是ならば叫べ、否ならばうなだれよ”


「うわぁ! やめろ、やめろ!」


 よしよし。これでおおよそ見えてきた。私の考えが正しければ、マルコはジェノヴェーゼ公爵派、ないしヴォイヤー公爵派の用意した工作員。それも、自らの意志によって動いてしまった愚かな駒。これは骨の折れるお芝居になりそうです。


“アリーシャ嬢を愛しているのか、是ならばその名を叫べ、否ならばただ叫べ”


「アリーシャお嬢様の期待には背けぬ!」


 つまり、マルコは何らかの理由でチェンニー伯爵家に執事見習いとして入り込み、そこでアリーシャ嬢と出会って意気投合。任務を放って、イチャイチャしていた、と。

 笑うべきか、憐れむべきか、判断に悩みます。


“私のことを信用して。上手くすれば解放される。私の指示に従うのであれば前に屈み、拒否ならばそっぽを向け”


 マルコを頭を垂れて前に屈みました。これでよし。私はマルコの顔を両手で掴み、そして、情報を吸い上げました。先程のアリーシャ嬢とは打って変わって、凄まじい量の情報でございます。どうやら、本当にこちらを信じてくれたのでしょう。まあ、助かる当てもないから、せめてもの賭けに出たのかもしれませんが。

 よしよし、事件の裏側をある程度ですが知ることができました。そうなりますと、作戦変更でございます。二人の絆を断つよりも、懐柔する方がよさそうですわ。

 ならば、次はお嬢様の篭絡です。


“任せなさい。看守は敵と考え、拷問官(トルトラトーレ)は私の従者です。アリーシャ嬢はこちらでなんとかいたします”


 マルコは拷問官トルトラトーレが従者だと知り、安堵したご様子。アリーシャ嬢を潰したのが嘘だと分かったからです。まあ、私の主導で尋問している間はどうとでもなりましょうが、他の人間が横槍を入れてくるとなると話は変わってきます。

 急がねばと思いつつも、証拠などは残しませぬ。揺らめく蝋燭の火に紙を差し出しまして、筆談の痕跡はこれに消滅。


「では、ごきげんよう」


 私は前屈みのままのマルコの頭をポンと叩き、それから部屋を出ました。扉の側にはアゾットと看守がおりました。


「色々吐いてくれましたが、本命はお嬢様の方でしたわ。鍵はあちらが知っているそうです。アゾット、マルコを介抱してあげなさい」


 私は使う必要のなくなった“梨”をアゾットに手渡しますと、従者は恭しく頭を下げてマルコのいる部屋に入っていきました。看守もまたそれに続き、部屋の中へと消えていきました。


「さて、もう一芝居、頑張りましょうか」


 私は再びアリーシャ嬢のいる拷問部屋へと戻りました。



              ***



 アリーシャ嬢のいる拷問部屋に戻ってきますと、あれこれ理由を付けて再び看守を追い出しました。そして、魔女と美少女が禍々しい陳列物に囲まれながらの二人きり。

 先程のこともありますので、虚勢を張りつつ睨んで参りました。健気なふるまいには愛らしささえ感じてしまいます。

 私はマルコから盗み取った情報をまた紙に書き込んでいきました。それはマルコの過去の経歴。当人の口から出なければ知りようのない情報の数々。

 アリーシャは驚き、同時に恐怖に震え、次いで私を睨んでまいりました。無理やりに吐かせたのだろう、愛しい彼にひどいことをしたのだろう、そういう雰囲気がひしひしと伝わって参ります。

 ですが、そこまでひどいことはしておりませよ。せいぜい、あなたを出汁にして、少しばかりからかっただけでございます。

 私は再び筆を手に取り、紙に書きました。


“彼は無事。こちらに協力してくれただけ。上手くすれば無事に出られるかもしれない”


 当然、反応は困惑。真贋を確かめるすべなど持ち合わせていませんし、目の前の《魔女娼婦ステレーガ・プッターナ》を信用する気にはならないからでありましょう。

 マルコからの情報も、協力によって得た情報なのか、無理やり吐かせたものなのか、判断が付きにくいというのもあるでしょう。

 ですが、そこは三枚舌と詐術を得意としますこの私。さらなる一撃を加えます。


“彼を信じて協力するならば、彼の名を叫べ。彼を信じず協力を拒むならば、ただ叫べ”


 そう書いた紙を彼女の前に置き、そして私は彼女の後ろに回り込む。縛り付けられている椅子越しに彼女の顔に両手を回し、指先で優しく撫で回します。頬に、口に、顎に、首に、私の白い手が、指が走ります。天使の指先か、はたまた白蛇の舌先か、感じ方は人それぞれにございますが、さてさて、アリーシャ嬢にはどうでありましょうか。

 困惑、恐怖、葛藤、憤怒、そして、何よりも強い思慕。伝わって参りますのは、彼女の心の内より漏れ出す感情。ですが、情報はまだ少量。隙間はできておりますが、まだまだ不十分。

 私は少し屈みまして、口を彼女の耳元に添え、軽くフッと息を吹きかけました。考え事に耽っていた彼女はそれで正気を取り戻し、ピクリと体を震わせました。


「さあ、お話しなさい。そして、叫びなさい。彼を信じるのですか? それとも信じないのですか?」


 小声でボソリと彼女の耳に魔女の囁きを入れました。少々狡いやり方でございましょう。鍵の在処を教えるのかどうかではなく、愛しい彼を信じるのかどうかなのですから。

 二人の絆が思いの外に強かったので、断ち切るのではなく、逆に縛り上げる。強ければ強いほど、断ち切られた時の喪失感は増し、そこに恐怖と苦悩が生じた隙間に流れ込む。

 さあさあ、隙間は生まれました。父親に辱めを受け、想い人との密やかなる逢瀬を潰され、心が壊れたことにありましょう。ですが、私は魔女。開いた傷口に塩を塗り込むことくらいはやりますわよ。

 成就か、離別か、決断するのはあなたでございますよ、アリーシャ嬢。たとえ押し付けられた状況であろうとも、どちらの道を選ぶかは、あなた次第でございます。


「・・・ま、マルコぉ!」


 部屋の外まで響き渡る大きな声で、想い人の名を叫びました。すぐ近くで囁いておりましたので、私も思わずのけぞりかけてしまいますが、そこは堪えました。冷笑する魔女の体を崩しては、今後の評判に関わります。微動だにせず、氷のごとき冷たく見下す視線、これも私のまとう漆黒の長衣トーガの一部にございますれば。

 おっと、言質は頂きましたので、筆談の痕跡は消しておかねばと、蝋燭の火で紙を焼きました。


「よくご決断くださいました。デウスはあなたの勇敢な決断に対して、祝福を与えることにございましょう。信じた彼に会わせて差し上げましょう。・・・看守、入ってきなさい!」


 私の呼びかけに看守は扉を開けて、拷問部屋に入ってきました。


「お嬢様がそれはそれは素直になられましたわ。デウスの恩寵に感謝いたしましょう。それで、このお嬢様をもう一人の所へ移動させますので、枷を外してくださいな」


「え、ですが、しかし・・・」


 まあ、上からは二人を合わせないように注意しろとでも言われているのでしょう。職務に忠実なのは結構でございますが、ときには現場での高度な柔軟性も必要でありますわよ。臨機応変に対応してくださいな。


「今日は安息日。こういう面倒な仕事は早めに切り上げたいのでございます。そちらも鍵の在処を聞き出すのが優先事項と聞いているでしょうから、それを達成するのになんのはばかりがありましょうか。鍵の在処が知れるのであればよいではありませんか」


 強引に押して看守に枷を外させ、私はアリーシャ嬢と腕を組んで歩きました。


「さあさあ、色男がお待ちですわよ、お嬢様」


 グイグイ引っ張る私にアリーシャ嬢は面食らっておりますが、それでも私への不信感は拭いきれておらぬご様子。まあ、愛しい男性の無事な姿を拝むまでは、真に安堵はできますまい。

 そして、廊下を進み、マルコのおります最奥部の部屋にやって参りました。部屋の扉の前にはアゾットと看守がおりまして、すぐに扉が開かれます。部屋の中には先程と変わらぬ姿のマルコが椅子に腰かけておりました。


「マルコ!」


「アリーシャ!」


 私の腕からアリーシャ嬢はマルコの方へと駆け出し、しっかりとその腕で彼を抱きしめました。抱き返してやるのが良いのでしょうが、残念ながら彼にはまだ枷が付いたまま。今少しご辛抱ください。


「感動の対面に水を差すようですが、アリーシャ嬢、こちらの約は果たしました。そちらの約を果たしていただきましょうか」


 さあさあ、早く鍵の在処を吐くのです。そうすれば、こんな辛気臭い場所とはおさらばですわ。


「・・・屋敷の父の執務室。そこの暖炉のレンガの一つが外れるようになっているわ。そこに鍵が隠されています」


 鍵の在処を聞き出しますと、私は看守の方を向きまして、アルベルト様に報告するようにと指示しますと、一人が急いで駆け出していきました。


「さて、肝心の物が見つかるまでは、この場にて引き続きご逗留いただきますが、その辺はご勘弁くださいまし。二人ご一緒でございますから、まあ、退屈と孤独とはおさらばできましょう」


「な、なら、彼の枷を外してあげて」


 状況が好転したらすぐに要求でございますか。まあ、あの姿では抱きしめても貰えませぬゆえ、その要求は当然でありましょう。


「看守、男の方も枷を外してあげて」


「それはさすがに無理です」


「ちゃんと鍵の在処は吐かせたであろう。私に恥をかかせるでないぞ。それとも、私の魔術をその身に受けてみるかえ? 頑なに拒んでおったこやつらが、すんなり従順になるほどの魔術ですよ。一生、私の首輪に繋がれて、四つん這いで過ごす生活がお望みですか?」 

 

 看守はビクつき、マルコに付けられていた枷を外していきました。まったく、見た目は筋肉で覆われた偉丈夫だというのに、中身はいささか小心者でありますな。


「マルコ、よかったぁ」


「アリーシャ、無事でなによりだ」


 二人はしっかりと抱き合い、互いの無事をしっかりと確認しあいました。殺風景な部屋では絵になりませぬが、まあ、二人が満足ならそれでよいでしょう。


「さて、お二方、これにてごきげんよう。“火炙り”が始まる僅かな時間ではありますが、この世に未練なきようお過ごしください」


 私とアゾットはわざとらしく頭を垂れまして、言葉の意味を理解しました二人は、目を丸くして驚きました。まあ、助かったと思ったところからの死刑宣告では、心が暗転することでしょう。


「な、何を言っているの!? ちゃんと話したでしょ!」


「はい、鍵の在処は確かにお伺いしました。なので、あなた方は用済みというわけです」


 愚かなことですわね。鍵の在処が分からないからこそ、誰もあなた方を殺せなかったというのに、その手札を捨ててしまえばどうなるか、少し考えればわかるでしょうに。アリーシャお嬢様、むやみやたらと人を信じてはなりませんよ。対等になれるのは、対等になれる“条件”を持っている者だけなのですよ。


「約束は!? 助けるって約束はどうなのですか!?」


「上手くすれば無事に出られる“かも”しれない、と言ったのですよ。残念ですが、看守が二人とも上役の所へ行くものかと思っていまして、その隙に逃がして差し上げようかと思いましたが、なんということでしょう。片方が残留したままとは。いやはや、残念残念。上手くはいかないものですね」


 まあ、これも嘘でありますけどね。いくら探していた鍵の在処が知れたからといって、見張り全員で報告に行くなどというのはありえません。

 あと、筆談していた紙はすべて焼却済み。これで外部に話していた内容は知られることはありません。そう、防諜はしっかりとしませんとね。


「おのれ、謀ったな! 謀ったな、魔女め!」


「謀ったなどとは心外でございますわ。あなた方を助けるためにできる限りの努力はいたしましたが、それが実らなかっただけにございます」


「たばかりやがって!」


 マルコは抱き着いていたアリーシャを払い除け、私に飛び掛かって参りました。しかし、アゾットが素早く割って入り、マルコの一撃をかわしつつ、水月みぞおちに拳を撃ち込みました。


「がぁああ」


 マルコの体が前屈みに倒れ込み、腹を押さえながらビクビクと痙攣しております。アゾットも強くなったのう。マルコよ、しばらくは動かぬ方がよいぞ。


「マルコ!」


 アリーシャ嬢は慌てて駆け寄り、倒れたままのマルコを介抱しようとあたふたしております。それに対して、私はきっぱりと言い放ちます。


「はっきり申し上げれば、“魔女”との口約束などを信じる方がどうかしておりますわ」


 そうですよ、お嬢様。人と約束する時は、ちゃんと契約書なりを用意しておくことをお勧めいたしますわ。人の記憶は曖昧でございますれば、ほんの少し前のことですら都合よく記憶を書き換えてしまうものなのでございますから。

 まあ、せめてもの情けに、ささやかな置き土産を差し上げましょう。


「では、お嬢様、執事見習い、ごきげんよう。今日は安息日。神に祈りを捧げ、平穏を願い、心に安らぎを与えたもう喜ばしき日です。最後の晩餐とは参りませんが、最後の逢瀬をお楽しみあれ。それくらいの時間はデウスもお待ちいただけましょう。懺悔はそれからでも遅くはございますまい」


 私はきびすを返して扉の方へと歩み、アゾットと看守もそれに続きます。そして、背後から涙声のアリーシャ嬢の声が響き渡ります。


「魔女め! 地獄ゲヘナへ落ちなさい! 裏切りの十二使徒イスカリオテ・ユダと一緒に氷漬けにでもなりなさい!」


 とんと分からぬ。私はそこまでひどい裏切り行為を行ったのかと首を傾げますが、やはり思い当たる事が何一つございませぬ。言いがかりも甚だしい限りでございます。


「監禁生活で気をやってやってしまったのかもしれません」


「そうじゃのう。アゾットの申す通りじゃ。看守、二人はこのままここの部屋に閉じ込めておきなさい。気狂いを一人で移送するのは大変でございましょう。どうせ地下の最奥部。扉をしかと閉めておけば、どうあがこうとも逃げられはしませんわ」


 さて、これにてお仕事終了。早速アルベルト様とご一緒に、めったにお目にかかれぬ秘宝を拝むとしましょうか。ああ、麗しの“帝王カエサル”に早くお会いしたいですわ。

 ですが、残念。私も少々語りつかれて参りましたので、再び休憩とさせていただきます。喉を潤しましたらばすぐに再開いたしますゆえ、なにとぞご容赦くださいまし。

 では、皆様方、しばしのお別れにございます。



               ~ 後編に続く ~

後編に続きます。


ヾ(*´∀`*)ノ

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