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AI屋台 第2話「癌の特効薬」

作者: エドゴン

【1.序章】


美咲「私は美咲。普通のOL。おばあちゃんが癌にかかり、余命1ヶ月だと言われています。最近は看病に明け暮れる日々を過ごしています。おばあちゃんには昔はよく遊びに連れて行ってもらい、可愛がられていました。それも懐かしい思い出。」


ある日、看病疲れからか頭がぼーっとしてきた美咲。熱を測ると39.0度もあった。


美咲「仕事と看病で疲れていたんだわ。」


食料品を買い物に行った帰り道、美咲はAI屋台を発見した。美咲は頭がぼーっとする中、そのAI屋台に引き寄せられるかのように入っていった。


店主「いらっしゃいませ。エドゴンと申します。ここはAI屋台。あなたの体をAIスキャンすれば今のあなたに必要なアイテムが作り出されます。AIスキャンはいかがですか?」


美咲「AIスキャンはいくらですか?」


エドゴン「無料でございます。」


美咲「じゃあ、お願いします。」


美咲は最新のAIを搭載した屋台に期待してみた。


びろろろろーん!!


わずか3分ほどでAIスキャンは終わった。


【2.風邪の特効薬】


エドゴン「おお、これは!風邪の特効薬でございます。」


美咲「今はちょうど風邪をひいていたんです。いくらですか?」


エドゴン「1,000円でございます。」


美咲「それをください。はい、1,000円。」


エドゴン「お買い上げ、ありがとうございます。」


美咲「どれくらい効くかしら。」


美咲は自宅に帰り購入した風邪の特効薬を飲んで眠った。そして次の朝。


美咲「あ〜あ、よく寝た。熱は・・・36.0度。一気に熱が下がったわ。あの風邪の特効薬のおかげかしら。これなら会社に出社できそうだわ。」


美咲は仕事をしながらあのAI屋台のことが気になっていた。


美咲「AIスキャンをすることで今の私に必要な商品が出てくるなんてすごいわ。また現れないかしら。」


そして美咲は今日も仕事の帰りにおばあちゃんのお見舞いに行った。


美咲「先生!おばあちゃんの余命はあとどれくらいですか?」


先生「癌も大きくなりさらに進行しています。前回は1ヶ月ほどと言いましたが、もってあと2週間ほどでしょう。骨にも癌が転移してかなりの痛みがあるはずです。」


美咲「そんな。」


美咲は病室に行った。


おばあちゃん「美咲。こんなに立派になって。嬉しいよ。」


美咲「おばあちゃん。体は痛まない?」


おばあちゃん「全然。美咲の顔を見たら痛みもなくなったわい。」


美咲はおばあちゃんの痩せ細った体を見て切ない気持ちになった反面、元気そうな顔をみて少しほっとした。


【3.癌の特効薬】


病院からの帰り道、美咲はAI屋台を発見した。


美咲「あったわ!」


美咲はAI屋台に急ぐように入って行った。


エドゴン「いらっしゃいませ。」


美咲「前回の風邪の特効薬は素晴らしかったです。あっという間に風邪が治りました。」


エドゴン「それは良かったですね。またAIスキャンをしていきますか?」


美咲「AIスキャンをまたやってもいいんですか?」


エドゴン「このAI屋台は必要としている人をAIにより察知して見つけることができます。ここにあなたが引き寄せられたということは、あなたにはAIスキャンが必要だということなのです。」


美咲「お願いします。」


びろろろろーん!!


わずか3分ほどでAIスキャンは終わった。


エドゴン「これは!癌の特効薬でございます。」


美咲「癌の特効薬ですって!私のおばあちゃんが今癌で苦しんでいてそれが欲しかったんです。ありがとうございます!いくらなんですか?」


エドゴン「1,000万円でございます。」


美咲「1,000万円!そんな・・・そんな大金はないです。値引きはないんですか?」


エドゴン「ございません。」


美咲「お金を集めてくるので取っておいてもらってもいいですか?」


エドゴン「わかりました。またのご来店をお待ちしております。」


美咲は癌の特効薬を手に入れおばあちゃんを助けるためにお金を借りることを決意した。


美咲「1,000万円くらい集めてみせるわ。貯金しておけばよかった・・・」


【4.お金集め】


美咲は自宅に帰り両親に相談をした。


父親「そうなのか。なるほどな。本当にその癌の特効薬が効くのか怪しいけどな。」


美咲「大丈夫よ。私の風邪もあっという間に治ったんだから。」


母親「風邪と癌は違うでしょ。」


美咲「でも本当に信用できるのよ、そのAI屋台は。」


美咲の粘りに押し倒され両親は500万円を美咲に貸してやった。


母親「これでおばあちゃんが治るなら安いものね。でも500万円が限界よ。」


美咲「お父さん、お母さん、ありがとう。残り500万円。どうやって集めようかしら。」


美咲はクレジットカードでキャッシング枠があったことを思い出した。


美咲「仕方がないわ。キャッシングでお金を借りて、あとは・・・サラ金ね。」


美咲はOLとして働いていたことで300万円を借りることに成功した。そして残りの200万円はコツコツと貯めていた自分の全財産である貯金200万円をあてた。


美咲「1,000万円集めたわ。すごい!まさか本当に集められるなんて思わなかった。」


美咲は早速AI屋台を発見した。


エドゴン「いらっしゃいませ。」


美咲「エドゴンさん。前にあった癌の特効薬は取ってありますか?」


エドゴン「こちらでございます。」


美咲「1,000万円あります。それをください。」


エドゴン「お買い上げありがとうございます。」


【5.おばあちゃん】


美咲「おばあちゃん、痛みはどう?」


おばあちゃん「大丈夫よ。少し背中が痛むわね。」


美咲「癌の特効薬を手に入れたの。1,000万円もしたんだから。これを点滴すれば癌が治るわ。きっと。点滴するよね?」


おばあちゃん「私にはもったいないわよ。そんな大層なものは。」


美咲「そんなことないわ。おばあちゃんに使って欲しくて買ってきたの。痛みもきっとなくなるわ。」


おばあちゃん「もう私は十分に生きた。おじいさんも亡くなったし早くおじいさんのところに行きたいわ。」


美咲「そんなことを言っているとおじいちゃんが悲しむわよ。もっと生きなさいって。」


おばあちゃん「もう90歳を超えた私が長生きしても仕方がないでしょ。あとは死ぬだけなんだから。美咲の顔が見れなくなるのが心残りかな。」


美咲「だったら長生きしようよ。もっとおばあちゃんとお話ししたいし。」


おばあちゃん「私はもういいのよ。90過ぎまで生きてこられて楽しかった。美咲の顔を見れただけで幸せだった。こんなに立派になって、私のためにここまでしてくれるんだから、きっと優しい心を持ったんだね。優しい人は良い旦那さんを見つけてきっと幸せなれる。私はそう思うよ。そのお薬は美咲が将来に使いなさい。まだ美咲は若いし、美咲が癌になった時のために、もしくは美咲の子供に使ってあげなさい。その方が私は嬉しいよ。長生きするんだよ、美咲。」


美咲「そんな。こと言わないでよ。」


美咲の顔は涙で溢れた。数日後、おばあちゃんは息を引き取った。美咲は癌の特効薬を手に入れたが使い道はなかった。そして借金だけが残った。

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