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悪魔吸血鬼のSCP生活録  作者: 零央
第一章ーSCP収容所へようこそ!
7/7

血を吸う者達や魂を喰らう者とDクラス職員

今回はかなりグロ表現や残酷表現ありです。

苦手な方は読まない事を推奨します。

 クラロ達が部屋に来てから……一週間くらいか。その間にクラロはしっかりとトカゲに会ったみたいだ。まあ、大人しくついてくるのと引き換えに会わせる約束だったからな。トカゲには悪りぃが、こうでもしねぇとクラロって素直に着いてこないからな。……ルマやレイルは一体どうやってクラロを扱っているのやら。

 そんな事を考えつつ、今日も部屋で大人しく過ごしていると、オレンジ色の服を着た人間が複数人、部屋に入って来た。

 ……Dクラス職員だ。

 前にクラロがこの服を着た人間を壊した時、優斗は何も言わなかった為、気になってその日優斗に聞いてみたのだ。

 優斗曰く、オレンジ色の服を着た人間は、“Dクラス職員”と言って、人権?とやらが一切無いらしい。俺は人権?とやらがよく分からなかったので、もう少し簡単に言ってくれと言うと、優斗は苦笑しつつもっと簡単に説明してくれた。

 Dクラス職員は、元死刑囚の犯罪者がなるクラスで、SCP財団の実験体――モルモット――のような扱いを受けているとの事。基本的にDクラス職員は、危険な業務にしかつけないんだとよ。……人間って、こう言うところ冷酷だよな……。

 やっぱ人間は冷酷な面も持っているんだなと俺は優斗の説明を聞いて再認識をした。

 で、「Dクラス職員は好きにしていいのか?」と俺が優斗に聞くと、優斗は肩をすくめ、遠くを見つめるような目をして、言った。「好きにしていい」と。だがそう言った優斗の目は、悲しそうだった。

 まだ、割り切れてないんだろうな。……悪りぃ事を聞いちまった。

 悪いと思った俺は、魔界では美味いと評判の菓子を魔法で創って近くのテーブルに置いた。

 そのままその日は寝ちまったんだっけな。

 ま、以上が俺らの部屋に入って来たオレンジ色の服を着た人間――Dクラス職員に関する、優斗からの説明だ。ほんと、最後は悪りぃ事を聞いちまったよな……。

 とか俺がDクラス職員に関する知識を復習していると、Dクラスの一人がこんな事を言い始めた。


「ここには悪魔のSCPがいるらしいが、悪魔なんていねぇだろ」


 と。

 正直、SCPと言う存在をコイツは侮りすぎだろうと思った。

 だが、周りのDクラスは、同調していく。


「そうですよ。悪魔なんてそんな存在、いるわけないです」

「そうだそうだ。馬鹿馬鹿しいよな、悪魔の性質解明の為に奮闘するなんてよ」


 同調している一人が、こんな事を言った。


「この部屋……悪魔以外にも獣人のSCPが二人住んでるらしいですよ」


 と。

 恐らくクラロ達の事だ。まあ、側から見れば確かに獣人だな。

 すると、他の二人がやる気を出し始めた。

 どうやら入って来たDクラス職員は三人らしいな。


「獣人だと?なんの獣人だ?」

「猫と狼です。どちらも性別は女……らしいですよ」


 そう言ったDクラス職員の言葉に、ピクッと耳を動かし、ルマが反応する。

 ルマからはまたか、と言った感じの呆れの感情が読み取れた。……よくあることのようだ。


「猫と狼かぁ……好きにしてやろうぜ、どうせ弱いだろうしよ」


 そう言ったDクラスは、いやらしく舌で唇を舐める。

 ……ぜってぇよからぬ事を考えているだろうな、コイツ。

 ルマがまた耳を動かし、反応する。……今回は、怒りだ。

 あーあ、コイツ終わったなと思いつつ、残りの二人を見ると……


「ねーねー、君達は壊してもいいオモチャなんだよね?」


 暗黒笑みを浮かべ、背中からコウモリの羽を出しているクラロが、残りのDクラスの近くにいた。

 その残っているDクラスはと言うと……ガクガクと震えて、動けないでいるようだった。

 そんなDクラス達を見て、クラロは暗黒笑みを浮かべながら、こう言った。


「ねぇ凰牙〜、たまには魂喰べないとだよ?」


 そう言ってクラロの近くにいたDクラスの一人が、俺の近くにテレポートする。

 これは、クラロが自分の獲物を分けてくれたと言う事だ。……確かにクラロの言う通り、ここ最近、数百年ぐらいか?人間の魂なんざ喰らっていなかった。

 俺の近くにテレポートさせられたDクラスは、ガクガクと震え、目には涙が溜まっていた。

 俺はそんなDクラスは気にせず、一応かけていた認識変換を解除する。すると……


「ヒィッ!あ、悪魔だぁっ!」


 と、悲鳴を上げて地面に尻餅をついた。何故なら、認識変換を解除した俺には、吸血鬼の羽を禍々しくしたような羽を背中に生やし、可愛い悪魔のしっぽがお尻の上の辺りから生えているからだ。

 普段からこの姿なんだけどな。色々面倒だから、人間に見えるように魔法で認識を変えてんだ。まあ、幻覚魔法の方が楽……かもしれねぇけどな。

 俺の姿を見て怯えるDクラスを横目に、俺はルマの方を見る。

 まあ案の定だが、ルマやクラロの事を弱いだろうし好きにすると言ったDクラスが、ボコボコにされていた。外傷は複数箇所にある切り傷や火傷、凍傷に加えて腕や足、脇腹には矢が刺さっている。当たり前だが、切り傷や矢が刺さっているところからは血が出ていた。

 ルマはそんな状態のDクラスを、獲物を見つめる目で見ていた。その目は、人間からしたら恐怖でしかないだろうな。

 俺は、ルマが吸血する気なんだと分かった。まあ、自業自得だな。

 俺はルマの方を見るのをやめ、クラロの方を見る。

 こっちも案の定、Dクラスはボロボロだ。右腕は無いし、身体の至る所から出血している。全身には剣でつけられたであろう切り傷があり、所々火傷もあった。

 そんなDクラスを見て、嬉しそうにしながら追加でDクラスに攻撃をしていくクラロ。

 ……いつも通りだな、としか感想が出ない辺り、俺も感覚麻痺してんだなぁ。

 Dクラス二人がこんな状況になっても、この様子を監視室?みたいな所から見ている優斗が止めに入ったり止めようとする様子は無い。……本当に、Dクラスは優斗の説明通りの扱いを受けているわけだ。……ならば。

 俺はクラロの方を見るのをやめ、俺の近くにいるDクラスに目を向ける。

 変わらず尻餅をついたまま動けないDクラスに、俺は近づき、手を(かざ)す。

 ……久しぶりの、俺の本来の飯だ。

 俺が手を(かざ)したDクラスは、すぐに生気が無くなった。魂を抜き取ったのだから、当たり前だ。抜き取られたDクラスの魂は、俺の手に吸収されて消えた。そして、俺の味覚に久しぶりの魂の味が伝えられる。非常に甘くて(とろけ)ちまいそうな味だ。その甘さは十数秒口の中に残った。

 ……あー、美味かった。久しぶりに喰ったが、やっぱ人間の魂は美味いな。今回は特に美味かった。まあ、周りの状況が状況だからな……恐怖している人間の魂の方が、悪魔的には美味なんだよな。

 んで……魂は喰らったが、なぁんか物足りねぇと感じるのは俺が吸血鬼でもあるからだろうな。

 俺は生気が無くなったDクラスの体に近づき……プスリと、首筋に歯を刺す。

 生気はないが、魂を抜き取ってから十分ぐらいは、まだ人間の身体って動いてんだよ。

 首筋に刺した歯が血を吸い上げて血に触れ、歯がジンッとする。その感覚はとても心地がいいモノだ。歯がジンッとしてすぐに、血液が口の中一杯に広がる。その味はとても甘美で、蕩ちまいそうなぐらいに美味い。恐怖する人間の魂とはまた違う美味さだ。まだ血液は温かく、命の味がする。口一杯に広がった血液は、喉を通って胃に落ちる。一滴、また一滴と喉を血液が通っていく。その度に、俺は命を喰らっているのだと実感する。魂を喰らうのとは、また違う感覚。魂を喰らうことだって、命を喰らっている。けれど、魂を喰らうのは、血液と違って一瞬だ。……やっぱり、吸血鬼の特徴を()()()()()正解だったな。

 ……とか考えていたら、血液が出なくなった。

 俺は首筋から歯を抜く。……久しぶりに、満足いくまで人間を喰らったな。

 俺は人間を喰らえた事に満足しつつ、ルマの方を見た。

 ルマの横にはDクラスが横たわっていて、ルマはとても満足そうに目をトロンとさせている。Dクラスは命の気配が無かった。……血を全部ルマに吸われたようだ。

 ルマが満足そうで何よりだと思いつつ、俺はルマの方から視線を外し、クラロの方を見る。

 こっちも、クラロの横に損傷がなく血の気の無いDクラスが横たわっており、クラロは満足そうに目をトロンとさせ、眠そうにウトウトしていた。今にも眠ってしまいそうだ。

 俺も……久しぶりに、眠いな。

 俺睡眠必要……ないんだけど、な……。

 そんな事を考えつつ、背中から生えてる羽に包まる形で、俺は寝た。

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