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引っ越し

よろしくお願いします。

「さぁ、宮橋みやばしさんからお話があるとの事ですが」




「はい!この後9時から私が出演する『僕と君の夢の果てに』が放送されます。是非ご覧ください!」




「はい!いやー17歳でヒロインなんて凄いですね!」




「いえいえ、こんな大役をいただけるのもスタッフ、ファンの皆さんのおかげです。本当にありがとうございます!」




「これで17歳とは思えないぐらい大人ですね!『僕と君の夢の果てに』はこの後9時から放送となります」




宮橋みやばし ゆい、今日本を代表とする人気女優。15歳の時に女優デビューし、その見た目の可愛さと圧倒的な演技力により瞬く間にテレビに引っ張りだこの人気者。




そんな彼女をテレビ越しに眺める俺、瀬川せがわ 悠太ゆうたも彼女を応援している人の1人だ。




だが俺の応援しているという気持ちは、他のの人達とは少し違うと思う。




その理由はーーー




「あれ、もう始まっちゃった『ぼくきみ』?」




「いや、まだだ。」




「良かった〜、宮橋ちゃんが出るんだもん1秒たりとも見逃さないようにしないと」




この俺の双子の妹、瀬田せだ 希美子きみこが大きく関わる。




双子といっても二卵性で全く似ておらず、先に俺が生まれたからとりあえず俺が兄、希美子が妹となっている。




「あっ、始まった!ーー宮橋ちゃん可愛いなあー」




「それ、遠回しに自分の事言ってるのか?」




「ち、違うよ!確かに私の顔結構似てるけど、全然可愛さが違うの」




そう、妹と宮橋 結が似ているのだ。




いや、似ているどころの話では無い。




身長から声もほとんど同じく、違う部分といったら性格くらいしか無いほど似ている。恐らく、2人が目の前にいたら見分けがつかない自信がある。




「いいなぁー、一回でいいから会ってみたいなぁー」




「俺はいつも会ってるような感じだがな」




「やめてよお兄ちゃん、全然似てないから!」




「ほらあんた達、今日は早く寝なさい。明日は引っ越しで色々と大変なんだから」




「「はーい」」




俺達が生まれて間もない頃、父と母は離婚した。それ以来、母は一人で俺達を育ててくれた。





あまり裕福とは言えなかった生活だったが、つい最近大手企業の社長と再婚し、明日新しい父親が用意した新居に引っ越すのだ。




今まではリビングと3人で寝る寝室だけだったから、新居にある夢の一人部屋は俺にとってはとても夢が膨らむものだ。




まだ新しい父親の顔は見ていないが、母の事を幸せにしてほしい。そう思いながら母の嬉しそうな寝顔を見て、俺も横になった。




☆☆☆




「ーーーんあー!」




大体いつも俺が一番最初に起きる。母は仕事が忙しいから、家事全般は俺がやっている。




この景色も、今日で見納めか。なんて独り言を言いながら、この家で食べる最後の食事を作る。




「今日は和食にするか」




昔からの和食の王道、秋刀魚さんまとご飯、味噌汁、たくあんをさらっと作り上げると、次に二人を起こしにいく。




「ほら、朝だぞ。今日は忙しくなるんだろう」




「「ーーんはーい」」




若干寝ぼけている妹と、母と早々に朝食を食べさせ、家事諸々終わらせた頃には、2人ともぱっちり目を覚ましていた。




「さぁ、ひと段落したし始めるか」




「引っ越しの業者は、何時に来るの?」




「11時よ」




「11時って・・・あと2時間しかないじゃん!2人とも急いで準備するんだ!」




「えっ、わ、わかった!」




普段なら、こんなことにはならないのに。こんな状況でも顔がニヤついてる母を見て、よほど嬉しいのだろうと思った。




それにしても2時間は短すぎる!





俺達はとにかく急いで、引っ越しの準備をした。




☆☆☆




俺達が住んでいる家から車で3時間で新しい家には着いた。




新しい家は、都内の一等地にある超高級マンション。4LDKで、一部屋一部屋が前のアパートとは比じゃないくらい広い。




「う、うわ」




「す、凄い」




初めて開いた口が塞がらなくなった。




「2人ともこっちへおいで、お父さんが来たわよ」




母の呼び声の方へ行くと、背の高い男の人がいた。




「君達が清子さんの子供かい?私が新しいお父さんになる瀬田せだ 利勝としかつだ。丁度、上の名前は同じだから変わることは無いよ。よろしくね!」




とても優しく、話しやすい人だ。どんな人かと思ったけど、とてもいい人そうで安心した。




「はいこちらこそよろしくお願いします!」




「そんなかしこまらなくていいよ、悠太君だっけ?」




「はっ、う、うんそうだよ」




「じゃあよろしくな悠太」




「うん」




あまり感じたことの無い気持ち。この日初めて父親の愛情を感じた。




「そして・・・」




「き、希美子です。よ、よろしくお、お父さん!」




「うん、よろしく。本名は希美子って言うんだね」



「え?」




「女優の宮橋結だよね?」




確かに初対面の人は彼女と必ず間違える。



 前の学校でも入学した時は、大騒ぎになったった。宮橋結が生放送で出演するまで、信じてくれない程だったからもちろん間違えないはずがない。




ーーここは、兄として誤解をとかねば。




「顔はそっくりだけど、全然の別人なんで宮橋結じゃないよ」



「そうなんだね、ごめんね間違えちゃって」



「ううん、大丈夫」




父は驚いた顔をしていたが、とりあえずすんなり納得してくれてよかった。




「さて、とりあえず私と清子さんでリビングの整理するから、最初に2人でお隣さんに挨拶してくれる

かな。後から私達も行くから」




「「はーい」」




そう言われてお隣さんに渡す物を持って、俺達は左隣、右隣の順に挨拶に行った。




「左隣の佐藤さん夫婦2人だけだったけど、とても優しそうだね」




「そうだな、次は右隣の宮原みやはらさんだ」




家のインターホンを押すものの、なかなか出てこない。




「あれ、留守かな?」




「もう一回押してみよう」




再度インターホンを押すも反応がない。




「後でまた来ようお兄ちゃん」




「いや三度目の正直だ!」




ここまでくると3回目を押したくなり、押す。



「さっきからうるさいんですけど、警備の人呼びますよ」



ようやく3回目にして反応してくれた。




「あのー隣に引っ越しで来た瀬田です、ご挨拶をしに来ました」



「あー、はいはいちょっと待って」



 声からして、同い年くらいに感じた。

だけどその声はどこかで聞いたことのある声でもあった。




そんな事を考えているうちに、玄関が開いた。



「はーい」



俺は驚いた、そして希美子はもっと驚いただろう。さらに言うならば俺達より、宮原さんの方が驚いただろう。




まさか、俺達の目の前に女優の宮橋結が現れた事ということに。

















読んでいただきありがとうございます。

誤字脱字がありましたらよろしくお願いします。

評価や感想など、素人の私ににはとても勉強になる事が多く有難いものなので、是非よろしくお願いします。

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