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いいかげん、着きません?

楽しんで頂ければ幸いです。

むかしむかしのお話です。






数年前に突然現れた魔王は次々と国を侵略しては壊し、滅ぼしていました。

人々は嘆き、悲しみ、このまま人類は終わりを迎えるのだろうと皆思っていました。




あるところに一人の王子さまがいました。

まぁ 、王子さまって言っても、国は魔王に侵略されてしまった元王子さまでしたが。こほん。



煌めく金の髪に澄んだ青の瞳を持つ王子さまはそれはそれは美しく、また心優しき人だったので他国からも評判の王子さまでした。

王子さまは自国を魔王に侵略され、悲しみました。

瞳からポロポロと涙を流し、自分の無力さを嘆きます。

王子さまは言いました。

『ああ、どうして私は無力なのか。私に力があれば魔王を倒せるやも知れぬのに』



そんな王子さまの前に一人の少女が現れました。

黒髪に黒い瞳を持った美しい少女でした。

そして、驚くことに彼女は背中に6枚の羽根を持つ、精霊国のお姫さまでした。


『泣かないで、王子さま。私があなたの力になります。あなたの盾となり、矛となって、魔王を討ちましょう』


そう言ってお姫さまは精霊の力を王子さまに分け与えました。



そうして精霊のお姫さまと王子さまは手を取り、魔王討伐の旅へ出ました。

力を貸してくれる、信頼できる仲間も増えていきました。


旅は決して楽ではなく、むしろ辛く、苦しいものでしたが、その道中でお姫さまと王子さまは恋を知り、2人は愛を育みました。



数々の困難を仲間たちと超え、遂に王子さま達は魔王を討つことが出来ました。

喜びに溢れる仲間と王子さまでしたが、お姫さまはただ一人、これで終わりではないと知っていました。


お姫さまは言いました。

『王子さま、皆さん、今までありがとうございました。そしてごめんなさい。』



不思議がる皆にお姫さまは続けてこう言いました。

『魔王の正体は私の、精霊の国の王だった人です。王様は世界の穢れに触れてしまい、魔王となってしまったのです。王子さまや皆の国を私の父が滅茶苦茶にしてしまい、ごめんなさい。

それを今まで黙っていて本当にごめんなさい。』



頭を下げるお姫さまに王子さまも仲間たちも驚きましたが、お姫さまが悪いわけではないと言い、王子さまは手を差し出します。




けれど、お姫さまはその手を取ることはありませんでした。




『ありがとう、王子さま。でも、身内のことは私が後をつけなければいけません。世界の穢れを外に出してはいけないのです。』


そういってお姫さまは魔王の亡骸に近づき、封印の儀を執り行います。

世界の穢れを二度と外へ出さぬよう、同じことを起こさぬよう、魔王の体ごと封印しなければいけません。

しかし、それはお姫さまごと、術者ごと封印をするという儀式でした。



それに気づいた仲間たちと王子さまは止めようとしますが、既に儀式は始まってしまっていて止めることはできません。



王子さまは必死に止めようとします。

『行かないでくれ、側にいてくれ。それがダメならば俺も連れて行ってくれ。』



お姫さまはそんな王子さまを見て笑顔でこう言います。

その笑顔は二人が出会った頃と同じ笑顔でした。


『あなたはこれから、この世界を救った英雄として、世界の平和を盤石のものにしなければいけません。

だから、連れてはいけない。

でもありがとう。あなたのおかげで私はこんな幸せな気持ちで眠りにつけるのだから。だからどうか、私のことは忘れて下さい。どうか幸せにーーーー』



そうして光の中にお姫さまは消えて行きました。




かくして世界は平和になりました。

王子さまは故郷へ戻り、荒れ果てた国を再建し、そうしてここ、ラクサの国が出来たのです。


おしまい。

<ラクサの国の昔語より>




馬車に乗っているのも飽きてきたから久しぶりに持ってきた本をよんでいたけども。


いやー、これ、よくよく読むとお姫さま美化され過ぎじゃないですか?

お姫さま、割とフツーの人だったと思いますよ?

なのに挿絵は可愛いですし、美しい少女とか書かれちゃってますし。

この本を読むたびにいつも恥ずかしくなるんですよね。

っと、紹介が遅れました。

私、フユキ・アシュト・レーデルと言うものです。

人間の女子をやってます。

一応貴族ですが、まあ辺境伯ですので、あまり気にしないでください。



さて、何故この昔話にちょくちょくツッコミを入れていたかというと、答えは簡単、この妖精の国のお姫さまっていうのが私だったからなのです。

大丈夫?とかうっそ、こいつ何言ってんのとか病院を勧めなくても大丈夫ですよ、私至って健康なので。

私も驚きましたが、実は前世の記憶というヤツを持っているようなのです。

いやぁ、ビックリもんですよね。


幼い頃に誰もが必ず読む、国の昔話を読んでもらっている時、毎回ここは違うよね、とかこの場面ではお姫さまこんなことしてたよねとか違和感を感じていたのですが、ある時ふと、あ、これ、お姫さまって私じゃんって思い出したんです。

あー、この子イタイ子だっていうのは違いますからね。

何故かというと、私、前世が精霊の国のお姫さまのせいか、精霊が見聞きできるので。



本来精霊というものは、人間には見えません。大気のように地球を巡り、精々が感じることができる程度です。

昔は、人間にも精霊を見える人がたくさんいたそうですが、今はほとんどいません。

でも私は見ることもできますし、もちろん会話もできます。

おっはー!明日の天気教えてちょ!

明日?雨を降らせるって上司が言ってたーみたいにね。

実際はもうちょっと頭良さそうな会話ですけど。



ちなみにこの事は家族と一部の方々しか知らない秘密です。

精霊を認知できて会話できるっていうのは知られるととても面倒な事になってしまうので。

大気を巡る精霊ですが、この精霊、魔法を使うのにとても重要な存在なのです。

魔法を使うにあたって、人は自分の体内に存在する生気、いわゆるエネルギーを代価に精霊に呼びかけます。

精霊は生気を代価として力を貸す、つまり魔法を起こす、というサイクルですね。

これを精霊魔法といい、精霊魔法を使う人たちをまとめて魔法士といいます。

精霊を見ることが出来る人は今はほとんどいないですが、魔法士は精霊を見ることができますし、会話ができます。


あれ?そしたら私、秘密にすることなんてないじゃんと思われるやもしれませんが、そこは違うんです。

魔法士は確かに精霊と会話できますが、パートナーとなった精霊としか会話できません。

パートナーとは魔法士が一生に一度だけ契約することができる、精霊のことを指します。



そしてそのパートナーとなった精霊と魔法士は固い絆で結ばれるので、会話できるということです。


なのでまぁ、私が色々な精霊と話せることは秘密なのです。

ふー、説明長くてごめんなさい。




ひとまずこんなところ、でしょうか。

馬車に乗っている間の時間つぶしとしてラクサの昔話を読んでいましたが、けっこう時間がたっていたようです。

ツッコミを入れながら丁寧に読んでたからかな。

窓を開けると、遠くに大きな街が見えてきました。

そろそろ目的地のようです。


いえーい!長旅だったけどようやく王都に着きそうだぜ!と、失礼しました。

一応貴族令嬢ですので、外での言葉遣いは綺麗でなくてはいけません。

丁寧な言葉は淑女のたしなみですからね。


今現在、私の誕生日が近づいていることもあり、父や兄弟が住むラクサの王都へ向かっている途中です。

私と母以外は皆、王都に住んでいます。

父と兄、姉は王都に勤めていますから。

成人を迎える18才、節目の誕生日ということで、いつもは領地で迎える誕生日のところ、特別に父に許可をもらって王都へやってきました。



初めての王都なのでワックワクのドッキドキです。一応私、今をときめく年頃の乙女ってやつですからね。前世の年を合わせたらオバちゃんとかそういうのは考えません。

ガイドブックも事前に買って読了済ですので、バッチリです。向かう所敵なしです。

よし、遊びつくすぞー!!








今思えば、私が王都へ来たこと自体が間違いだったのかもしれません。

いえ、かもしれないではないですね。

来なければよかった。


でもこの時の私は、そんな考えなど全くなかったのです。

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