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アルゼミュート  作者: tkm
1/5

手違いで殺しちゃった。ゴメンネ!

 どーも皆さま初めまして。

 日比内 旭沙です。

 こないだまで女子高生してました。

 今?

 今はねぇ…

 ジェシカって名前の12歳やってまーす!


 …いや、どうしてこんな事になったし。

 女子高生だったアタシの持つ最期の記憶は不本意ながら不鮮明で。

 下校途中いつものメンバーで古典のセンセーがムカツクだの、サッカー部の赤羽根先輩がカッコイイだの、駄弁りながら歩いてたハズ。

 それでなんか後ろの方から急に悲鳴とか聞こえて。


 そこでブラックアウト。

 別に神様が登場して、手違いで殺しちゃった。ゴメンネ!

 みたいなイベントはなかった訳で。

 何だこれ。

 まぁクトゥルフ的な発想だと理解しちゃたら幼いながらに発狂すること間違いなしの状況なので、前世での記憶とか知識は12歳児である自分の壮大な夢と妄想、少し早目に訪れた思春期特有の思考回路だったのだ、と思う事にしてる。



 さてさて、そんな今生のアタシのスペックは結構いや、かなり恵まれちゃってるんじゃなかろうか?

 まず、生まれはこの世界である『アルゼミュート』で三本の指に入る大国フランクベルク、その国を統治している7大侯爵が一つヴィオレー家。

 その中でもお父様に盛大に猫可愛がりをして貰ってる末娘なのだ!

 そして肝心の顔面偏差値は夢の中だったら子役しちゃっても違和感のない幼いながらも整った顔立ち。

 キリッとした瞼にタイガーズアイの様な赤銅色の瞳。

 前世で憧れてた痛んでいないキラキラとした金色の髪。

 余分な脂肪は一切付いていないスラリとした手足。

 厚過ぎず薄過ぎず、程良いバランスの朱い唇。

 うん、パッと見は悪役っぽいけど美形には違いないから問題ないよね!

 間違ってもネット小説に溢れてた乙女ゲーの悪役に転生とかしちゃってないよね!?

 ネット小説は嗜んではいたけど乙女ゲーとか全然なんだってば!

 知らずに進んでヤンデレの地雷踏んじゃうとかホントにヤダかんね!?



 …失礼、取り乱したようです。

 まぁ何が一番嬉しいってなんたって魔法っぽいのがあるとこだよね。

 異能って言うんだけど何種類かに区分されてて、それを使える人間が存在してるんだよね。

 スゴい人になってくると単身で巨人とかドラゴンとかをやっつけるらしい。

 つまりこの世界ならアタシだって勇者になれるかもしれない!

 あの夢であったゲームのカッコイイ技を自分で使えちゃったりするかもしれないアタシの異能に対するモチベーションはハンパなかった。

 でその業前は、お父様曰く兄妹の中でも一番スゴかったフレデリカお姉さまが12歳だった頃よりスゴいらしい。

 お父様の贔屓目なのかもしれないけど、それでも一つ上のシダスお兄様がメッチャ怒られてる家庭教師のセンセー達の課題は一回で出来て、尚且つお褒めの言葉を頂いちゃう辺り本当かもしれない。

 まぁその所為でシダスお兄様を始めとした歳の近いお兄様とお姉さまからのヘイトで若干ポンポンペインだったけど…

 まぁ、そのお兄様たちも去年から全寮制の異能を学ぶ学校に入学したから問題なかったんだよねー

 けど、一年経ったって事は私も明日、国立異能者育成学校アルカンシエルの入学式が迫ってる訳で。

 学年が違う訳だしそれほど絡む機会は無いハズだから胃がキリキリする事はないでしょ。

 嘆いてても仕方ないし、そろそろ寝よう。

 アルカンシエルのある首都レインボーロッジはヴィオレーの領地から馬車で3時間ほどかかるらしい。

 入学式は昼からとはいえ、ギリギリでは混雑する。

 その日から寮で生活する事も考えれば早めに行って損はないハズ。

 お母様たちも寂しがりながらも賛成して下さった訳だし肝心のアタシが寝坊しては話にならない。




 出発の朝は快晴に恵まれて、先程の余韻に浸っているアタシは普段はあれこれと煩わしいお父様の雑談も気にならない。

 お母様、執事のジュドーだけではなく政務で忙しいヨハンお兄様まで見送りに来て下さったのだから。

 ヨハンお兄様は28歳にして領地経営をお父様に一任されているアタシのストライクゾーンど真ん中の超カッコイイデキるお人だ。

 一時期は何故ヨハンお兄様と兄妹なのかとお父様を本気で恨んだものだがお兄様の結婚を機になんとか割り切れた。

 云わば初恋の人だ。

 そんな人に見送ってもらえて嬉しいに決まってる!

 ちなみにお父様が何故一緒なのかと言うと長期休暇を終え首都に一緒に戻るついでに一緒に乗せてもらったのだ。


 アルゼミュートでの交通手段は乗り合いの馬車や貸し出しのコモンホースがメイン。

 コモンホースとは気性の大人しい4足歩行の魔物で夢に出てきた馬そのものと違いはないかな。

 けどそれは、あくまで一般的な物であり私たちのような国を代表するレベルの貴族は違う。

 騎竜や竜車、牽引するのはレッサードレイクという家畜として飼育されている竜なのだ!

 ドレイクという4足歩行の竜を人馴れをさせ、その繁殖と小型化に成功したのが元なのである。

 当然、体格も牽引力や移動速度もホースより優れてる。

 その分、普通に牽引したら揺れが酷そうだけど魔道具っていう貴重な異能の産物で全く揺れを感じない。

 前に一度だけ馬車にも乗ったけどむしろあっちの方が揺れてるんじゃないかな?

 馬車だと3時間かかってしまう道中も竜車で街道が空いていれば1時間で済んでしまうらしい、流石ドラゴンだと思う。

 さてさて、思ったよりも短い道中でお父様が在学されていた頃の思い出話を旅の共に竜車は進んでいく。

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