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戦場に吹く風

作者: 4869

私が見た夢が元となっているためハチャメチャな設定です。不快に思われた方は、即ページを閉じてください。

錆びた鉄の匂い。乾いた血の臭いが立ち込める戦場を駆け抜ける影がぽつり。


滅びた地球から移住してきてから約300年。ここは緑豊かなそれはそれは美しい星だった。人々は小さな世界で幸せに暮らしていた。しかし、突如としてその世界が崩れ去った。100年戦争...。再び繰り返された大きな過ち。そして小さな幸せを取り戻そうと戦場を駆ける......。



「あぁーーーーーーーっ!!」私の叫びも虚しく書類がバサバサと落ちた。またあいつだ。昼間っから仕事もしないで惰眠をむさぼる私の相棒。「ハインリヒっ!!!!!起きろ馬鹿者!」「ん~...伊織?もう...ちょっと...」寝ぼけたまま間抜けな返答をした彼がハインリヒ。起きているのを見かけることは奇跡と言っていいほど寝ている。「あーあ。ハインリヒは全く困ったねぇ。」絶対困ってない!劉晋さんはニコニコしているけど、助けてくれたことは一度もない。私が困っているのを見て楽しんでいる。いわゆるドS。私の先輩。私の働くこの組織の第5班は20年ほど前に世界大戦を収束させるためにできた組織の一部。どの国にも属さない。どの国にも従わない。己の信念を元に動く組織。名前はない。私たちの目的はただひとつ。小さな幸せを取り戻すこと......。


『バンッ!』大きな音をたてて第5班室のドアがあいた。「おーおー。また楽しそうだな。ハインリヒ!いい加減にしろっ。」ハインリヒが班長にゲンコツ食らってる。ザマーないわね。それにしても支部長はドアを丁寧に開けられないのかな...。「まぁ。それはおいといてだ。仕事だ。お前ら。」班室に緊張が走る。私にとっての初仕事。気を引き締めて...「おっと。それから伊織。お前は来るな。」どういうこと?「班長!何でですか!?」「いいから来るな!酷すぎる。」酷すぎる?なんで?私だって5班のメンバーだよ。戦場に行く覚悟は出来てる。「班長。私だって覚悟しています。行かせてください」ハインリヒも劉晋さんも班長も渋い顔をしている。長い沈黙のあと、ハインリヒが口を開いた。「伊織。本当にいいんだな?」劉晋さんも。「伊織ちゃん。後悔しない?」「はい。」私は後悔はしない。この大戦で失われて行く小さな幸せなを私は守りたい。



今回は大国ロゼルがドランに攻めこんでいる最前線『ライネ』においての両国の停戦協定が目標。最前線ということは、一触即発の状態のままのところへ行くということ。私達はいかに両国を納得させ、停戦に持っていくか...そこが一番難しいんだけど...「おい!聞いてんのか?伊織。」「え?は?は、はい!すみません。」「はっ。ボーッとしてんなよ。」くっ。ムカつく。ハインリヒに言われるなんて!「行くぞ。いざ、ライネへ!」『『はい!!!』』


............


ライネには想像を絶する光景が広がっていた。美しかったであろう赤レンガの町並みも今は影も形もない。私は涙が止まらなくなった。私記憶を引きずり出すこの光景に涙が止まらなかった。流石の5班も固まっている。「班長...これって...」「俺もみたことない...」「僕もここまでとは...酷すぎる。」「ひでぇ。虐殺じゃねぇか。ロゼルのやつらめ。」その時、私の足になにかがぶつかった。下に目を向けると、小さな女の子が私の足にしがみついていた。「お姉ちゃん!お姉ちゃんは『へいわいじぐん』の人だよね?お願い。おばあちゃんが苦しいって言うの!助けて!お願い!」小さな女の子の必死さに胸が締め付けられる。なんとかしてあげたいと私は思った。「伊織。残念だが、時間がないよ。お嬢さん。ごめんね。お兄さんたちは...」「分かった!おばあちゃんを助けてあげればいいのね?」「「「伊織!!!」」」皆には悪いけど私にはこの子のお願いがとても重い。「ごめんなさい!行かせてください!」「伊織!!いい加減にしろ!」「そうだよ。伊織ちゃん。」「ごめんなさい!劉晋さん。ハインリヒ。私行かなきゃ!」私は女の子の手を引いて歩き出した。「おい!伊織!」どうせ止められる。でも私は...!「班長。申し訳ないですが行かせてくだ...」「俺も行こう!」「「班長!!??」」なんで?止められと思ったのに...班長は...「いいか?俺達は小さな幸せを取り戻すために動くんだぜ?小さな幸せが集まりゃ幸せが自然と大きく包み込んでくれるのさ。国がなんだ?俺が動くのはお嬢ちゃん。君のためだ。さぁ案内してくれな。」「班長が言うなら…俺も行く。」「はぁ。僕も行きますよ。」なんだかんだ言って結局みんな来てくれた。


女の子に案内されてやって来たのは7班が担当している私達の組織の病院だった。ロゼルの兵士、ドラン兵士、ライネ市民も関係なく収容されていた。今まで戦い、傷つき、傷つけ合っていたもの同士が同じ所にいるのにとても穏やかに院内の時間は流れていた。その一角に女の子はパタパタと音をたてて走っていった。「おばあちゃん!『へいわいじぐん』のお姉ちゃんが来てくれたよ!お話があるんでしょ?」そこに行くともう息も絶え絶えのおばあさんが笑顔で私を迎えてくれた。「わざわざ...ありが...とう。私の家に...伝わる詞を聞いて...下さる......かしら? 」「はい。もちろんです!」私の後ろに立つ劉晋さん、ハインリヒ、班長もその歌を聞こうとしゃがんだ。『~Hätte ich flügel würde ich zu dir fliegen~~』どこの国の言葉なんだろう。「もし私に翼があったなら、あなたのもとへ飛んでいけるだろうに...という意味なのよ。地球にあったうちの...ひとつの言葉...なの......。忘れないで下さる...かしら?」「はい!もちろんです!」私はおばあさんの手を握った。すると、おばあさんは満足そうに笑って息を引き取った。「お姉ちゃん。おばあちゃんは?眠っているの?」私が黙っていると劉晋さんが「君は何も心配しなくていいよ。おばあちゃんは遠くへ行くんだこれから。」女の子は不思議そうな顔をしたままうなずき、病院の中へ消えていった。


私達は再び停戦協定の締結するための会議場に向かうときだった。『パンッ!、パンッ!、パンッ!』乾いた音が三発した。赤い水溜まりが地面に広がる。気がつくと私は地面に向かって倒れて行った。『平和を求めても叶うわけがないだろ!馬鹿どもめ!』そんな叫び声と笑い声が遠くに聞こえる...「伊織!しっしろ!」「伊織ちゃん!」「おい!!!伊織!」3人の声も聞こえる。でも...もうダメみたい......結局、何もできなかったな...悔しい。もっとやりたいことあったのに...。皆ごめんね。もう何も聞こえないや...ありがとう.........。


............



この狙撃事件のあと、停戦協定は締結され、彼女か望んだ世界に向けて少しずつ進んでいく。


錆びた鉄の匂いと乾いた血の匂いが立ち込める戦場を駆けた彼らの存在は今はもう歴史書の隅にu小さく記されているだけで謎につつまれている。


END



閲覧していただきありがとうございました!

また、できたら投稿したいと思います!

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