第六日[てんやわんやな後祭]
梨「た、助けてくれ」
雷「あえてスルー」
矢「うっけっながす〜」
「後半戦を始めるその前にお昼ご飯の時間だお〜」
ドゥーンの掛け声と共に一斉に生徒達が各々で集まって食事を取り始める……一部男子を除いて。
「えーと、なんで俺達だけ飯を持って来ちゃいけないんすか?」
谷津冶が不満げな顔でドゥーンに質問した。
「それはだね…日頃の感謝や労いを込めて、君達に昼ご飯をプレゼントするためだお〜」
「マジっすか!めっずらしー。」
小鷹が分かりやすく喜んだ。
「どうせうみゃい棒一本とかじゃないのか?」
「私もそう思う…」
隆次と名似何は分かりやすく疑った。
「そんなケチ臭い事はしないお〜…今から持ってくるお。」
「嫌な予感しかしないぜ…」
「「「「「同感」」」」」
男6人…谷津冶、隆次、名似何、小鷹、蒲生、小康はこの後、何が起こるか不安になった。
暫くして、ドゥーンが大きな盆の上に6つの大きな物体を持って現れた。
「ただ単にお昼ご飯を御馳走するのもつまらないからゲーム感覚で御馳走するお。」
盆が机に置かれた瞬間、6人はどんなゲームをやらされるか確信した。
「…ロシアンルーレットすか。」
「ヤッツー当たりだおー」
…そこにはサッカーボール並に大きなおにぎりが6つ置かれていた。
「これってもしかして『1つだけ中には牛乳に浸して3日間常温放置した雑巾が入ってま〜す』とかだったり…」
「んな訳無いだろ。」
蒲生のよく分からないボケに隆次が即答した。
「ヒッコー当たりだおー。よく分かったねー」
「……マジかよ…。」
一同驚愕。
つまり、男6人の中で1人だけ入院しなければならないのだ。
「冗談じゃねぇ!そんなん食えるか!」
「雷堂君、男らしく無いですよ。」
隆次の叫びに答えたのはもう1人の女王『九蓮 瑠美子』
戸舘 美毅と大変仲が良く、自称THE STEGO準スタッフを名乗っている。
「そーだそーだ!」
その美毅も声高らかに賛同した。
「…ぐ……」
「流石の隆次も女王2人がかりと周りの空気には勝てなかったか…。」
「矢手弓、お前よくそんな冷静でいられるよな…」
小鷹が名似何に、半ば呆れながら言った。
「だって、どう足掻こうと一個は選ばなきゃいけない雰囲気じゃん。」「……だな。」
「畜生!みんな何でそんな期待した目でこっちを見てるんだよ!」
小鷹が諦めた直後に谷津冶が悲痛な声をあげた。
「取り敢えず、早く選ぶんだお」
ドゥーンの一言により一同渋々選ぶ事になった。
「ん?そういえば、牛乳に浸した雑巾だったら臭いを嗅げば分かるんじゃね?」
「ファブ○ーズしてあるから無駄だお」
「希望もへったくれもねぇ!!」
「どんだけ入院させてぇんだよ…」
谷津冶と隆次も肩を落としながら選び始めた。
男6人がおにぎりを選び始めてから、その不幸を後ろから見ていた少女2人が話を始めた。
「涅月さんはどれが雑巾入りだと思いますか?」
「分からないし、興味も無い。」
「そーですか…。因みに私は1番右上のおにぎりだと思います!」
「……テンション上がってる?」
「えへへ…割と…。」
「でかした!高上!!1番右上は安全牌だ!!」
隆次がすかさず1番右上のおにぎりを選んだ。
「あっ!!畜生、取られた…」
「これで少なくとも隆次は入院せずに済みそうだね。」
谷津冶は残念そうに手を引っ込めた。名似何もその光景を見て呟いた。
「…何で安全なんだ?」
下級生の事をよく知らない小康は名似何に尋ねた。
「まぁ、高上だからね…。」
「高上だからな…。」
「あの高上だからな。」
「高上さん…だからねー…。」
「カガミンだから仕方ないお…」
名似何だけでなく小鷹、谷津冶、蒲生、ドゥーンまでもが頷いた。
「皆さん酷いデス…。」
「諦めろ。お前はそういうキャラなんだ。」
「雷堂先輩まで!?」
落ち込んだ高上に更に追い打ちをかけた為、半泣きになってしまった。
「雷堂君酷いですよ!可愛い女の子を泣かせるなんて!」
「そうだそうだ!!罰として3人分アイス奢れ!」
女王2人が一斉に隆次を責めた。
その周りの生徒も責める様な視線を隆次に向けた。
「ちょ、待て!俺だけのせいか!?明らかにこいつらも悪いだろ!って、お前ら無視すんn…」
「雷堂…。」
隆次の言葉を遮り、涅月がドスの聞いた声で隆次を呼んだ。
「…な、なんだ?」
『…表出ろ。』
…入院より恐ろしい事になってしまった。と、この時隆次は思った。
「さて、皆選び終わった所で、食べるんだお〜」
「まだ隆次が戻って来てないっすよ?」
「リュージは…多分大丈夫だお」
「今頃、鉄拳制裁だな…」
「取り敢えず、リュージは普通のおにぎりだから大丈夫だお」
「やっぱりっすか。」
「それじゃ、ヒッコーから順に食べるんだお」
「それじゃ早速……うん。このシャケはノルウェー産のシャケですか?」
蒲生は……セーフだったようだ。
「一応国産だお。次はリクだお」
「いただきます……うん!シャケ多いね。」
小鷹もセーフだったようだ。
「一つに半匹くらい入ってるお。次はヤスの番だお」
「俺、これ食ったらぐっすり寝るんだ……んぐんぐ…これ結構高そうだね。」
小康も以下省略
「THE STEGOの経費で落としたから大丈夫だお。残るはヤッツーとユーミンだけだお」
「マジかよ……。」「正直、逃げたいです。」
2人とも追い詰められた顔をしていた。
「最後は同時に食べるんだお」
「では、いただきます。」
「ちょっおまっ!早っ!」
「もぐもぐ……うん。普通でした。」
「うぉおおおおお!!」
谷津冶が叫んだ。
「俺は今から雑巾を食う事確定じゃねぇか…」
「大丈夫!梨田君なら雑巾の一枚や二枚食べても大丈夫だって!」
ここに来て柳垣 真夕が谷津冶を励まし始めた。
「ヤッツー…こっちとしても時間とか段取りとかがあるんだお…早く食べないとビリビリの刑にしておにぎりを口に詰め込むお?」
「あんた鬼だな!」
「5秒数える内に食べるお。5〜4〜3〜2〜」
「分かった分かった!食うから!食えばええんやろ!」
………そして谷津冶は(以下省略
「じゃあ、後半戦始めるおー」
「結構、人数減ったな…」
「ヤッツーは食中毒で病院に運ばれたお。マユマユはそれに着いて行ったお。ツッキーはリュージと一緒に表に出てるお。」
昼食が終わった現在の参加者は、小鷹チーム(小鷹、名似何、蒲生)、女王2人チーム、涅月チーム(高上、小康)である。
「後半戦は、宝探しだお〜。カードに書かれた文を頼りにTHE STEGO周辺のどこかにある宝箱を見つけて持ってくるんだお」
後半戦の内容は毎年、スタッフがランダムに決める。今年はどうやらアウトドアをテーマにしたようだ。
「体力勝負ですね…涅月さんがいれば楽勝だったんですけど…」
高上が呟いた。
「梨田チームがいなくて良かった…」
名似何も呟いた。
「それじゃ文を引くんだお。」
まず、女王2人のチームが宝の場所が書かれた英文を引く。
『Yeah! Let's go to Kyoto!』
(そうだ、京都に行こう!)
「…何これ…。」
「…京都行けって事ですか?」
「ノーヒントだお」
「ヒント無いんですか…?」
「…ノーヒンt…」
「ヒ・ン・ト・は?」
「『そうだ、京都に行こう!』って書かれたポスターのあるところだお!」
「ありがとうございます〜」
瑠美子が笑顔で微笑んでスタート地点に立った。
「お…おっかなかったお…次はリクチームだお」
「リクチームとリクルートって似てないかな?」
「似てねーよ…」
蒲生のボケにツッコミながら小鷹が文を引いた。
『It's me ! ○ario!!』
「よし!マンホールだ!マンホールを探すのだぁ!!」
「マンホールじゃなくて土管だけどね。」
「マジか…本当に潜るのか…」
蒲生は意気揚々と、名似何は無表情で、小鷹が肩を落としてスタート地点に立った。
「それじゃ次は私達ですね…って小康先輩寝てるし…」
最後に高上が文を引いた。
『Apparently, it seems to be near.
But,in fact, it is in the distance.』
(一見、近い様に見えるが、実は遠くです。)
「何で私だけこんな抽象的で難しい奴なんですか!!」
「まぁ…カガミンだから…」
「今日6回目ですよ!!」
高上も己の不幸を呪いながらスタート地点に立った。
「それじゃあ…よーい、スタート!」
ドゥーンの合図と共に7人がTHE STEGOを飛び出した。
…入口付近で上がった1人の男の悲鳴を余所に…。
蒲生、名似何、小鷹の3人はすぐ近くのマンホール外しに取り掛かった。
「か…かてぇ…」
「フハハハハ!ここは俺の黄金の右手の出番だな!」
「厨二乙。」
そこには男3人がマンホールを全力で開けようと頑張る滑稽な光景があった…。
一方、涅月チームの高上は近くの公園で、近そうで遠い所を探していた。
「何で私だけ…しかも小康先輩いませんし…。」
因みに小康はスタート地点の上で寝ている。
女王2人チームの美毅と瑠美子は駅でポスターを探していた。
「ここなら一枚くらいはあるでしょ。」
「だよねー。無かったら何やってんだよって感じだよねー。それよりアイス食べない?」
「いいね!熱いし。」
…始まり早々、女王2人はアイスを探し始めた。
「うーん…あの子達、大丈夫かな?」
THE STEGO現最高責任者は酷く心配しながらドゥーンに尋ねた。
「大丈夫だと思うお…無事に帰って来てくれればいいんだけど…」
その数十分後…
「あったよー!」
「見つけて来ましたよー!」
女王2人チームが宝箱を持ってやって来た。
「はぁ…何とか…見つけましたよ…。」
間もなくして、高上も帰ってきた。
「おおお!3人ともよく帰って来たお!…ところでリクチームの3人はどうしたお?」
ドゥーンが聞いても3人とも知らないようだった。
「まぁいいや。優勝は戸舘 美毅&九蓮 瑠美子のチームだおー!」
「嬉しいです〜!」
「アイスーーー!」
そして、2人に優勝賞品の図書券3000円分が手渡され、変人達の祭典『イングリッシュ・ジャンボリー』は幕を閉じた。
その頃、小鷹、蒲生、名似何の3人は下水道を歩いていた。
「おい、宝箱なんてどこにもないぞ〜?」
「おやおや?Ma○ioといえばこういう所じゃないのかい?」
「私は単純に近所のゲーム屋かと思ったんだが…」
「「……え?」」
…気付くのが遅すぎた小鷹と蒲生であった。
これで二周目です!そろそろ書く事がなくなってきたので少々ごまかしが入りますが、ご容赦を!
それでは、またお会いしましょう