第五日[GUYのから騒ぎ]
隆「全く、お前って奴は」矢「良い意味で期待を裏切るよね」
梨「今回は何とも言えねぇ」
『イングリッシュジャンボリー』
それは、THE STEGOにおける最も過激なイベントであると言われている
そして、今ここTHE STEGOのラウンジにてその幕が切って降ろされようとしていた
ラウンジに十数人の男女が集結し、殺気立つ中皆の前に現最高責任者が手を高らかにあげ宣言する
「今、この時をもってTHE STEGO『イングリッシュ・ジャンボリー』を開催します!」
パチパチパチパチパチ
その途端待ってましたと言わんばかり拍手が巻き起こりイングリッシュジャンボリーが始まった
「それじゃルール説明するお」
進行兼審判であるドゥーンがマイクを受け取り説明が始まった
「これから皆にいくつかのゲームをしてもらうお。ゲームは平和的な物から世紀末的な物までさまざまなバリエーションだから、楽しみにするんだお。では得点について………」
ドゥーンが細かい説明をしている中、一人浮かない表情の人間がいた
「どうした谷津冶?顔色が悪いぞ」
隆次がそう言うと谷津冶は一人天井を見上げ呟いた 「………帰りてぇ〜」
そこに名似何が加わる
「まだ始まったばかりだ。あまり生き急ぐべきではないと私は思うがね」
「人事だと思いやがって。」
「「ああ、人事だな」」 名似何と隆次が声を揃えて言うと、谷津冶はガックリと肩を落とし床と睨めっこを始めた
「おやおや、どうしたというんだ梨田?普段の君らしくないぞぉ〜う〜ん?」
「おお!蒲生じゃんか!久しぶりだなぁ」
三人の前に現れた男は『蒲生彦九郎』THE STEGOの三大奇人の内の一人であり古い馴染みの友人である。ちなみにあだ名は『G』
そんな蒲生は頭が頗る良く周りからは将来を期待されているのだが、少し難点がある。
蒲生は突然右手を上げてポーズを取った
「フッフッフッここは、俺の出番じゃないかな?右手が疼くぞ!」
「あっ大丈夫ですんで、お帰りを」
名似何もあっけらかんと切り返しているが、もうお分かりだろう。蒲生は……イタい子なのだ!
「な〜にやってんだよお前ら?」
「おお、現れたなリア充君」
「はぁ?何言い出してんだよ雷堂?」
涙目の隆次に悪態をつき返したのは『小鷹陸』彼も蒲生と同じく三人との古い馴染みである。そして何よりの特徴が
「あっ!小鷹先輩だ、カッコイイ〜」
つまりイケメンだという事だ
今のように塾の女子からモッテモッテであり、同期の男子からは『このリア充ヤロウ!』と呼ばれている そんな小鷹も交えて男五人はテーブルに着き大して面白くもない雑談を始めた 「たしか小鷹もこのイベント参加するんだよな。誰とチームを組んだんだ?」
説明しよう!このイベント『イングリッシュジャンボリー』はチーム対抗戦であり1チームあたりの人数は最低2人〜4人までとなっている。
谷津冶の質問に小鷹は名似何達を指差した
「こいつら二人、蒲生あと俺を含めて四人だな」
「フハハハハ!何を呼んだかってそれはお」
「はいおつかれ〜」
何か言おうと立ち上がった蒲生は隆次と名似何の二人がかりで抑えられ屍と化した
「今回は珍しく女王二人と組まなかったんだな?」 「だってあいつら、めちゃくちゃめんどくさいだろ?」
ピシッ!!
小鷹の発言により空気が凍りつく中名似何が発言した
「時折なんだけど、君のそういうトコって尊敬するよ〜」
「ああ、俺もそう思うよ」
そこに隆次も加わり二人で小鷹をまじまじと見つめる
皆がそれなりに雑談をする中人知れず解放されていた蒲生が叫んだ
「フフフ、そういえば他のチームはどうなっているのだ?俺は知りたいぞ!」 その質問には隆次が答えた
「たしか涅月、高上、小康の三人チームと女王二人の最狂チームがあった。そして最後に、谷津冶と柳垣とのツーマンセルチームだったよな」
隆次を含めた四人の視線の先には顔を青くした谷津冶の姿があった
「いや違うって!あれは賭けに負けたから仕方なくだな!」
「シャラップ!言い訳などどうでもいい!お前まで小鷹のようになるとは思いもしなかったぞ!」
「そーだそーだ」
隆次の後ろには棒読みをする名似何が控える
「おい雷堂!なんでそこで俺の名前が出てくんだよ!」
自分の名前が出された事が気に食わないのか、小鷹は文句を言い出す
「二人共相変わらず仲が良いな」
二人のやり取りを微笑ましく見守っていた谷津冶の背後に何やら不審な影が近付く
「ヤッツー」
「はい?何すかドゥーンさってぎゃぎゃぎゃ!?」
バタリ
突然の出来事に一同が騒然とする中こんがり状態の谷津冶の傍らには怪しい一本のステッキを持ったドゥーンが楽しそうに掲げている
「う〜ん、やっぱり人の気絶顔って素敵だお。今回の罰ゲーム用に作った特注品は良い出来栄えだお」
「ろくな人間じゃねぇな」
ボソッと呟く小鷹をよそにドゥーンは進行を続ける
「それじゃあ最初のゲームを始めるから、全員席に着くお!」
皆が席に着く中ドゥーンはラウンジにあらかじめ設置してあった大きなモニターを操作していた
そこには導火線が繋がれている巨大な爆弾が表示されておりドゥーンはそれを指差しながら説明を始めた
「ルールは簡単だお。
この画面上の爆弾が起爆するまでの間におっちゃんが考えたクイズに答えられればクリアだお。
クリアするまでのタイムの短さでも順位が考慮されるから気をつけるんだお。
何か質問はあるかお?」
周囲が沈黙を保つ中、女王の片割れ『戸舘美毅』が手を挙げた
「クイズに正解しなかったらどうなるんですか?」
「その場で爆弾が爆発してそのチームの負けになるお。」
「わかりました」
「それじゃあゲームを開始するお」
そう言ってドゥーンがボタンを押すと、英語で書かれた文章が画面上に現れた
第一問が当たったのは小高達のチームだ
現れた英文は
[Who is the craziest in you?(あなた達の中で一番おかしいのは誰ですか?)]
「むむっ!?これは難問だなぁ。皆、どうする?」
蒲生が振り返ると味方であるはずの三人は声を高らかに叫んだ
「お前だぁぁーー!」
「正解だお〜君達には10ポイントプレゼントするお」
ドゥーンがボタンを押すと、画面上の導火線の火が止まった
「そんじゃ次行くお〜」
ドゥーンが勢いよくボタンを押し、次の解答権は涅月達に移る
現れた英文は
[Do you think that who is the most dangerous in this cram school?(この塾の中で一番危険なのは誰だと思いますか?)]
「危険……ですか。狂暴さだけなら梨田さんで即答なんですけどね。」
「おい、それどういう意味だ高上」
ポツリと呟く高上にいつのまにか焼焦げから回復した谷津冶は食いつく
「諦めろ、お前の生まれ持ったヤンキー臭はもう滲み出てるんだよ」
「意味分かんねえよ!っつかヤンキー臭って何!?」
そんなやり取りをヨソに一人黙々と考えていた涅月は一人の人物を見つめてから回答する
「普通に梨田だろ?」
「正解だお〜正解した君達には10ポイントをプレゼントだお。続いて次は」
「ちょっと待てぇい!なんで俺なんだよ!そもそも危険な度合いならあいつらの方が遥かに高いだろ!」
「ヤッツー」
「………何すか?」
警戒する谷津冶の肩を叩きドゥーンは微笑む
「おっちゃん、まだ死にたくないお」
そう言ったドゥーンの背中越しには目が笑っていない女王二人がずっと控えており、ドゥーンのシャツが少しだけ赤く染まっていた
そのままゲームは再開され次の解答権は谷津冶と柳垣に移る
現れた英文は
[What is it that you have to do most now?(あなたが今一番やらなければいけない事は何ですか?)]
「んだこれ?今までの問題で一番訳分かんねえな。とくにやんなきゃいけない事は今はねえしな。なあ柳垣」
「ありますよ。梨田君がやらなくちゃいけない事が一つだけ」
妙な雰囲気の柳垣に身を構える谷津冶
「…言っとくが釘を呑むつもりはないからな」
「違います!真面目に聞いて下さい!」
柳垣の大きな声に周囲の人間が驚き沈黙に陥る
「おいおいどうしたんだよ柳垣?落ち着けよ」
谷津冶が手を差し延べると柳垣ははたき落とした
「私は、まだ返事を聞いてません」
「何の?」
「なっ!?何って、それは……」
「まさかのここに来て恋愛展開か………」
「いーんじゃない。私は別に何でも良いよ」
隆次と名似何が話していると何やらハッキリとした表情の谷津冶はドゥーンを見る
「ドゥーンさん。俺、答えがわかりました。今俺がやらなきゃいけない事、それは」
「それは?」
皆が息を呑み谷津冶を見つめる中彼が出した答えは
「逃げる!」
そう宣言した谷津冶は脱兎の如き速さでラウンジを飛び出した
「……嘘だろ、あいつここで逃げるとかないだろ」
隆次の傍らでは名似何が先ほどとは違い愉快そうにしている
「まあいいんじゃない。ここで普通のテンプレ展開になるよか遥かにマシでしょ。」
「でもよぉ」
「はいはい、それじゃあ逃げたヤッツーは置いといて次のゲーム行くお〜」
何かを言おうとした隆次もドゥーンに遮られそのままイングリッシュジャンボリーが再開された
イベントの前半部分が終了し現時点の各チームの得点は
小鷹チーム 80pt
女王チーム 200pt
涅月チーム 60pt
梨田チーム 10pt
そして、イングリッシュジャンボリーは後半に入る
どうも!一日で四回も投稿しやがったうっとうしい人、ロマンです!
うわっまたテンション高いなコイツ、とお思いの方もいると思います
ええ、自分もぶっちゃけやめたいです!
でも止めません!だってこんなテンションじゃなきゃもうやってられないから!
次回はキャラクターの細かい紹介をしようと思います。それでは!