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第三十日[鴨った彼の何やら宣言]

梨「平和だな」

矢「そうだね〜」

雷「お前ら、俺の現状を見てそんな事言えるか…」

梨・矢「「うん!」」




「……。」



 『あなたの名前は本当に柳垣真夕さんなんですか?』

 『…どういう、意味かな?』

 『あなたには本当のお名前があるのでは?』

 『根拠は?』

 『質問に質問を返さないで下さい』

 『私には君が何を言っているのか、サッパリ分からないね〜』



「……。」

偶然にもその現場を目撃してしまった涅月 葉子はそれから10分経った今もまだ気になっていた。

「…(あの反応…明らかに何かを隠している)。」

葉子は怪しげな態度で誤魔化す真夕を不審に思った。

「な〜し〜た〜く〜ん!…どこ行っちゃったんだろ…」

すると突然葉子の30m位前に真夕が現れた。どうやら見失った様子。

周りには2人以外誰も見当たらない。

ただ、直接聞いたらはぐらかされるだけだ。

「……鎌をかけてみるか。」

そう呟いて葉子は真夕の元へ向か

「やめておけ。」

「……?!」

…う前に制止の声がかけられた。

声は左斜め前の、壁を隔てた所から聞こえた。姿は見えないものの、葉子には声だけで誰か分かった。

「……嫌な予感がする…」

「…嫌な予感…?」

「……ああ。」

「……それでも行くとしたら?」

「……どんな強引な手や卑怯な手を使ってでも食い止める。」

「そうか……お前にしては珍しく真剣そうだな。」

「……真剣だからな。」



………



「とりあえず、部外者は関わらないでおけ、ということか?」

「…そういう事だ。」

そして声は聞こえなくなった。

「…変な勘だけは働く奴だ…」

葉子はそう呟き、来た道を戻った。



「葉子先輩!」

「ん?」

土産売り場に入ると既にTHE STEGOのロリキy「叩きますよ?」……未来が土産を選んでいた。

「…誰に言ったんだ?」

「いえ、先輩に言った訳ではありません!断じて!」

「…そうか。」

「お、涅月も来たか。」

奥から隆次が現れた。

「ああいうの重苦しいんだよな…原爆とか原爆とか水爆とか。」

「不謹慎ですよ…しかも一つ関係無いですし…」

「……。」

「…?どうした?俺の顔に目と口と鼻と毛以外の皮膚では無いものがくっついてるか?」

「……いや、蚊が止まってただけだ。」

「見てないで教えてくれよ!?」

隆次は蚊を叩き潰そうと必死に探し始めた。

「…雷堂先輩、そこまで必死になる事ですか?」

「俺の血を奪った奴だ。殺生しても構わないだろう?」

ペシン!パシン!

隆次は一心不乱に手を叩いた。

…傍からするとただの怪しい踊りである。

「……ふっ」

「?葉子先輩?」

「全く…。相変わらず馬鹿だな…お前は。」

葉子は呆れながらも僅かに笑みを溢した。

「嘘だ。」

「うそ〜ん!?」

隆次は両手を頭上に掲げ(丁度盆踊りの体勢)葉子を見ながら虚しく手を下ろした。

「葉子先輩、このお土産どう思いますか?」

「…いいんじゃないか?」

「あとこれも…」

「……」

楽しそうに土産を見て回る2人を余所に隆次は静かに立ち去った。





「…相変わらず1人でいるな…お前。」

「まぁね。それにしても、よく逃げ切れたね。」

「…ああ…恐ろしかった…」

集合時間間近、バスの前で名似何と小鷹がバスにもたれ掛かっていた。

「お前はもう見て来たのか?」

「ざっとね。小鷹は?」

「一応な。」

「そう…」

そして少しの間沈黙が続いた。

小鷹と名似何は携帯電話を弄っていた。

「…ヤチュミは〜ん、ケータイ見してくれへん?」

名似何の横で科菜は暇そうに浮かんでいた。暇だった為、科菜は頑張って名似何の携帯電話の画面を覗き込もうとしていた。

「だからそんなに見るほどの物でも無いって…」

名似何は小鷹に聞こえない様、小声で返した。

「隠されると余計気になるやんか〜…」

「見られると個人的に嫌なの!」

それに対して名似何は頑なに携帯電話の画面を隠していた。

「ん?どうした?」

「いや?呼んで無いよ。」

「そうか…」

「……」

「何や…あんさんその目は?」

「危うく幻覚が見える人になるところだったじゃないか…」

「ええやん、元からそれくらいの変人なんやし…」

「いくら私でもそこまででは無い…」

「え!?」

「何だよその反応は!?」

「…何?さっきから…」

「何でもない。」

小鷹は不審な目で名似何を見た。

科菜が見えない人からすると、ただ名似何が携帯電話を抱え込みながら何も無い所に向かって、最早小さくない小声で叫んでいる様にしか見えない。

「…ふふん、スキあり!」

「ちょ、待っ!危なっ!」

「…何してるんだ?」

「い、いや何でもないよ。」

これを小鷹の横でずっとし続ける、と考えると名似何は酷く不憫な身であった。




「ねえねえ烏柄君。お土産を買うってどういうこと?」

「思い出をお金で形に残すってことですよ。」

「へー。」

その頃、思陽三姉弟はお土産を選んでいた。

「…姉さん、私少しの間トイレに行ってきます…。」

「ねぇ、トイレに行くってどういうこと?」

「…限界…また後で答えます!」

烏柄は逃げる様にトイレへ走った。

「……」

「ん?あの娘は…」

代わりに隆次が現れた。

「ねぇ、トイレに行くってどういうこと?」

「用を足すってことだ。」

「用を足すってどういうこと?」

「溜まってた物を出すってことだ。」

「溜まってた物を出すってどういうk…」

「おーっと、それ以上は厳禁だ。」

「もごもごっももーごーもご?」

隆次は手で花代の口を塞いだ。

「真昼間からこんないたいけな少女に下ネタは…ん?」


どどどど…


どどどどどどど


どどどどどどどどど!!


「どけーーーっ!!隆次ぃぃいいいい!!」

「あ?ギャアアアアアア!!!」


ドガッ!!

「ぐはっ!」

鈍い衝突音と共に隆次は飛んだ。


どんがらがっしゃーーーーん!!


「待ってー!な〜し〜た〜く〜ん!!」

「待て!!梨田ぁああああ!!」

「ま、待つんだお〜…ぜぇ…はぁ…」

どどどどどどどどど……


「……」

隆次は丁度、傘立てに嵌っていた。

「…抜けん…」

「あら?こんな所に中々機能的な傘が売ってますわ。」

そこへ丁度シルヴィーが通りがかった。

「お、丁度いい。シャドー!手伝ってくr…」

「こちらの傘ですがおいくらで売ってますの?」

「…え?」

シルヴィーは店員に値段を尋ねた。

店員は先の騒動のせいだろうか、静かに怒りの炎を灯しながら

「税込で500円です。」

「え、ちょっ!冗談!」

「買いますわ!」

「…マジ?」

隆次一本お買い上げ〜





「エボ爺、逃げないでヨ?」

「…逃げんわ。」

1人のカリスマ溢れる女性が、1人の老人を手錠に繋いで歩いていた。

「全く…エボ爺は放っておくとすぐに…」

「…俺は子供じゃないぞえ…?」

「子供と同等ダヨ…」

正確には、大きな子供を引き連れて歩いていた。

「お母様ぁ!」

「ん?どうしたんだい?シルヴィー?」

「お母様!私、中々良い買い物をしましたわ!」

「こら離せっ!俺は傘じゃねぇ!」

「………」

「………」

2人とも暫くの間唖然としていた。

そしてどう突っ込んだ物かと考えた後

「……うん…シルヴィー?これは売り物じゃないのヨ?」

「…人身売買は御法度じゃぞ?」

「ですが、店員に値段を聞いたらちゃんと答えて貰えましたわ!」

「……ホント…?幾らって?」

「ええ!税込500円でしたわ!」

シルヴィーはこの時屈託のない笑顔を浮かべていた。

「……リュージ君?」

「…………事実っす…あのアホ店員め…」

「…どうした物かネ…」

「いっそ500円分飼ってみてはどうじゃ?」

「ジジイ!?」

「珍しく物分かりがいいですわね。」

「そだネ…そんじゃまぁ…そうしますか…」

こうして隆次は500円分、ペットとして働くことになったのであった…





「何でこんなことに…」

「他人の不幸は蜜の味ですわ!」

「……畜生!!」

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