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2つ目の異世界  作者: ヤマトメリベ
第3章 クーデター編
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3-7<空戦7>

「動くな」



そう、告げると同時に<多連層水環鋸ジオメトリック・アサンダー>の輪を背後に危険が無いよう調整し、2本固定から解き放つ。


開放された輪は、遠心力によって一瞬で広がり、狙いあまつ事無く残った3匹の<ヴイーヴル>だけを真っ二つにする事に成功した。


そのまま自分を半包囲した状態で自失している敵兵に語りかける。



「全員、聞こえるな。これでお前たちの使役するモンスターは全て堕とした。降伏勧告だ。大人しく武装解除をして投降してもらいたい。」



最終勧告を行う。


…これで下らないなら、もうお終いだ。


返事を待つ。全ての判断は今正面に居るこの少女が下すのだろう。


じわり、と周りの兵士が位置をずらし包囲網を完全にしようとする。


流石は精鋭兵。早くも自失状態から立ち直ってきたようだ。


だが、構いはしない。<多連層水環鋸ジオメトリック・アサンダー>は全方位攻撃可能だ。拒むなら、全ては一瞬で片が付く。



「……捕虜の、扱いは保障してもらえるの?」


「…む。」


「勿論だとも。特にお前は良い切り札になってくれそうだしな。」



そもそも捕虜の扱いが分からない俺を察したのか、メリアが口を挟む。



「……一つ、条件を出したい。」


「何だ?」


「……幾人か…いや5人、逃がしてほしい。……後続の部隊や本隊にも作戦失敗を報告する為に。」



思案する。確かに、全員捕虜にするまでも無いだろう。


それに何も知らずにこのまま次々と攻めて来られても殲滅する事になる。


…無駄に死ぬ事も無い、か。


報告を受けた本隊が作戦を立て直してから改めて攻めてくるかもしれないが、その場合も殲滅するだけだ。


造作も無いだろう。嫌になる程に。


対策を思考し終えた所でメリアに目配せをする。俺が答えてもいいのか? と。


僅かの間も無く頷かれた。だから、口を開く。



「構わない。だが、一つだけ忠告しておく。作戦を立て直し再度攻めようとしても無駄だ。以降来る部隊が攻撃の意志を見せるならば、また返り討ちに遭って貰う。」


「ついでに一部開放するのも、連行した後だ。」


「……わかった。」



メリアも補足する。



「……全騎集合。これより武装解除をし、投降します。……色気は出さない事。」


「了解、しました…」



フィオがあっさりと投降を指示する。



俺とメリアを包囲しようと動いていた部隊が、腕輪や槍等を仕舞いながら彼女の後ろへと回り、整列。


ワイバーンの口元にかけられた手綱を片方外す。


投降の為の行為なのだろう。確かに何となくワイバーンを操り難くなる気がする。



「聞こえたな! お前たち! こちらは包囲だ! 武装解除を確認次第拘束、連行するぞ!」



背後の隊長達が激を飛ばす。



「メリア、少し上昇しよう。このままじゃ接近し辛いだろうし、まだこれを解く訳には行かない。」


「ああ、そうだな。」



少し離れるように上昇する。触れれば粉々にされるような魔法を張っていては、味方でも近くに寄ってくる事すら恐怖になるだろう。


ある程度離れたところで彼らもフィオ達を包囲するように移動。


黙々と、接近した兵士が手錠のような物を相手に投げて渡していた。


それを全員が腕につけるのを確認して、兵士がこちらに拘束完了の報告してくる。


それを見止めたメリアが口を開いた。



「ユート、もう大丈夫だ。魔法を解除してくれて構わない。」


「分かった。」



多連層水環鋸ジオメトリック・アサンダー>の速度を落す。回転が緩み、プラズマで出来た層が消え、魔法水と<世界の欠片>が確認できたところで<世界の欠片>を回収。


手に取った<世界の欠片>は全く変形しておらず、高温にも成っていなかった。


…俄かには信じがたい。凄い金属だ。


感心する。だが、今はそれよりも



「決着、だね。帰ろうか。」


「あぁ。」



戦闘による高揚が落ち着いていた。


前途は多難だ。だが初戦は終わりを告げた。一度戻り、今後の事を考えなくてはならない。



「カーニス、必要は無いだろうが損害報告!」


「人員、装備共に皆無! 完勝です隊長!!」


「当然だな。よし、では撤収するぞ!」


「「「「「了解!!」」」」」


メリアが撤収を指示する。


マールに頭の中で完勝を報告し、俺たちは帰路に就く事にした。

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