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2つ目の異世界  作者: ヤマトメリベ
第3章 クーデター編
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1-4<罠と枷>

…メリアが失神した。



いや、言い訳をしておこう。別にやましい事のせいではない。


お風呂でのぼせたらしいので、浴衣のような寝間着姿の二人を介抱していたのだが、何か<強化魔法>を二人にかけることになって、復活した二人とマールに女性陣の部屋へと拉致された。


その時は殆ど何も考えず、そういえばそろそろだっけ、なら仕方ないな。…まぁいいか。


と思ったので大人しく連行され、まずは<魔力増強>が定着したソフィーに<魔法骨格>をかけることにした。


この魔法は、一つ一つ独立した魔方陣を複数、全身に及ぶ量で描く。


そのため一度形作るのに必要とする魔力量がかなり必要で、<魔力増強>で作ったプールが必要不可欠だった。


だが、それをかけて尚彼女の魔力残量には余裕があったので、<対物理皮膜><自動治癒>も追加しておいた。


これでソフィーに施した基礎の<強化魔法>は5つ。折り返しだ。



とまぁ、ここまではよかったのだ。



それが終わって今度はメリアに最初から、という事で<走査>をかけていたのだが…


メリアはくすぐったがりだったらしく、暴れた。


そのため制御を乱した<走査>がさらに刺激を与え、メリアはさらに暴れる。


さらに刺激は増し、さらに暴れ…


そしてついに<走査>の途中で失神してしまったのだ。




まぁ失神していても<生命強化>はかけられる。


何か恍惚として、とろけるような顔のメリアの半開きの口に、


そのまま指を差し入れ、魔法水を浸透させて<生命強化>と<魔力増強>を描く。



今回は魔力残量が3人ともかなりあったので、相互に干渉しない<強化魔法>を複数つつがなくかけて終わった。


ふぅ。と一息をついて失神したメリアを寝台へと運ぼうと思い、お姫様だっこで抱き上げる。


ソフィーとは違ってよりスレンダーに引き締まった体なのだが、それでも柔らかい感触にどきりとする。


あの時以来口調も本来の男勝りな感じになっているので、然程意識しなかったが、メリアもメリアで女性らしい魅力に満ち溢れている。


…いけないいけない。ちょっと欲しかけていた。自重しなければ。



そのまま近くの寝台に寝転ばせる。


寝転ばせていて思ったのだが、この部屋にはキングサイズのベッドが一つ。


まぁマールはあんな状態だし3人揃って一つのベッドでも大丈夫なのだろうが…


男部屋はちゃんと二つ寝台があったのになぁ…と考えながら、寝ころばせたメリアの前髪を整えてあげていたら、



どん。と突き飛ばされて俺も寝台の上に転がった。



え?


何が?誰が?何故?



理解が追いつかないままに今度は何かで後ろ手に片手をガチャリと拘束される。まさか、敵か!?


とりあえず<強化魔法>を活性化しこの枷を…! と思ったときに耳元で声がした。



『枷を解いては成らぬ』と。



優しく諭すように囁かれたマールの声に、つい反射的に<強化魔法>の活性化を止める。


代わりに振り向く。突き飛ばした犯人を知るために。



そこには俺を突き飛ばした姿勢のままのソフィーが居た。


…ただし、上下1枚づつの下着しか付けていない状態で、だ。



何時の間に脱いだ!? そして何故拘束!??


後その純白の下着、眩しいです。清楚なイメージで、凄く似合ってます。


…混乱しながらも目が離せない。


と、背後で誰かがもぞりと動き、衣擦れの音が聞こえた。



ま、さ、か?



振り向くまでも無く背中に抱きつかれた。間違いない。これは、メリアだ。


心臓が早鐘を打つ。


そのままメリアの手が下がり、いつの間にか解かれていたベルトの緩みから一気に寝間着のシャツが引き抜かれる。


前が、見えない。そう思ったと同時にズボンがソフィーに捕まれ、引きずり下ろされる。


いつの間に、ベルトを?いや、ベルトを解いたのはマールか? そうか、メリアを起こしたのもか! …なんと言う連携。



そして、これは、まずい。



まずい、まずい、まずい。



思考は纏まらないがまずい。とだけは感じる。に、逃げないと?


そう思ったと同時に、また耳元で声がした。



『逃げるでない。楽しもうぞ?』と。



また反射的に体が固まる。


めくり上げられた寝間着の上が頭から外れ、取り払われ、再び前が見えるようになる。


そしてカチリ、と今度は反対側の手に枷がつながる。完全に手は拘束された。


状況はベッドにバンザイの姿勢で寝転んだ状態、背中から頭上には膝枕をするようにメリア。


こちらも下着姿。スレンダーな印象のさらに増す鋭角なデザインの黒い下着。こちらも凄く似合ってる。



…有り体に言って、二人ともエロい。


あ。


不味い。


つい、意識してしまった。


一度意識したら最後。血流がそこに集まり、屹立を始める。


にげ、なきゃ。この枷を…



『ふふ、枷を外すでないぞ?それは戒め。それが有る限り妾達がこれから存分におんしを満たしてやろうて。』



また、マールの声が俺を止めた。そして、見る。


空色と、赤色の二人の瞳が俺の顔を、瞳を見つめている。真っ直ぐに、お願いします、と。


俺は………



「ユートさん…」


「ユート…」



メリアが俺の頬をなで、より前傾姿勢になり、ソフィーは寝台に登り俺の下半身を跨いで腹部に触れる。


じゃらり、と金属製の枷が音を立てる。


俺は………




「………よろしくおねがいします。」



流される事を選んでいた。



「はい!」


「精一杯、尽くします!」



二人の満面の笑みを見届け、とりあえず目を瞑ると同時に、二人の唇と肌が触れる柔らかな感触がした。





◆◆◆◆◆◆◆◆




◆◆◆◆◆◆◆◆





マールの手ほどきの元行われた女性陣による一方的な情事がひと段落し、泥のように4人で眠った後目が覚めた時には、既に翌日の夕方だった。


俺の左右に寄り添い、抱きついて眠る二人の手をそっと下ろし、胸の上で寝ていたマールも起こさないよう下ろし、起き上がる。


最早、誰も下着を付けていない。あられもない姿の肢体に再び俺の欲情が喚起される。


だが、止まる。じゃらり、と手に付いたままの枷が音を立てたからだ。



寝台を離れ、枷を外す。眠る3人にシーツを被せ、窓を開き、魔法で軽い風を起こし換気をする。


そして水魔法を用いてざっと皆の体の表面の体液を洗い流す。


部屋にたっぷりと充満した情事の匂いが大分薄まる。


少し、落ち着いた。



脱ぎ散らかされた衣類を拾い、身に纏う。


3人の顔を覗く。皆満足できたのだろう。健やかな寝顔をしている。


そっと手を伸ばし、顔にかかってしまっている乱れた前髪を払う。


……新しく出来た、大切な人達。もう、失いたくない。


そう、思う。


かるく頬に触れ、名残惜しいが寝台を離れる。


少し小腹が空いている。きっと3人も起きたらそうだろう。何か作ってもらおう。


そう思って扉を開いた。その先には…………





既にパンに野菜を挟んだ軽食と暖かい紅茶を準備したセバスさんが待機していた。


うん。野菜も瑞々しくて水分がしみ出てもいない。紅茶も適温。美味しい。


…すごい。


すごいけど…どうなってるの…?


何で、タイミングばっちりで用意できてるの…しかも、一人前。



一応聞いてみたその答えは、「セバスチャンなら当然の事です。」との事だった。


ちょっとセバスさんの事が空恐ろしくなっていた。

逆○○プはへたれ系主人公のお約束…!

そしてエロエロ…と見せかけてダイナシズム炸裂な回でした。

敏腕執事は主の空気は読んでも読者の空気は読んでくれないのです。

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