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2つ目の異世界  作者: ヤマトメリベ
第2章 合流編
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6-2<鍛冶屋2>

「話は終わったのか?」



そんなこんなで話していると、交渉を終えたのか、いつの間にかメリアがこちらにやって来ていた。



「いや、もう一つ」


「なんじゃいの?」



鞄から剣を取り出す。<女王螂の剣>で作られたモノだ。



「この剣の魔法伝導率が知りたいんだ。鉄剣程度の量なら耐えれてたけどどうなんだろ?」


「ふむ。<女王螂の剣>か。鉄剣とは軍支給品程度かの?」


「その通りです。」



多分、だが。



「ふーむ見たところ質も悪くも無く、さりとて最上でもない中の上といった所じゃの…む?魔道武具でないのか。これから加工するのかの…?ともあれこの質では鉄剣の5倍程度込めたら砕けるかの。まぁ、そんな量込めるれるのはそこの嬢ちゃんぐらいじゃろうが。」


そう言って当然のように俺の隣に来ているメリアを指差す。


…まさか鍛冶屋の爺さんまで知っているとは。どうやらメリアはかなりの有名人のようだ。



「いえ、ありがとうございます。ちなみに最上級のものでしたらどのぐらい込めれますか?」


「密度も上がるし大きさもあるでな。恐らくこの剣の10倍は耐えるの。」



何の魔術式を込めるか知らんがウチでもやっとるぞ?と爺さんが言う。だが、そうではない。


俺は別に魔道武具を作りたい訳ではないのだ。


とりあえず、これのさらに10倍。つまり鉄剣の50倍。


それなら全力を込めることが出来るかもしれない。


100で掛けて2で割る。うん、暗算でのアバウトな数字上は可能だ。


大きいので以前の剣の用には扱えないだろうが、有って損なものでもない。


時期的に俺が倒したモンスターは皆最上級らしいし、<女王螂の剣>もそのはず。よし。



「この工房では素材からの武具の製作は請け負ってもらえますか?」


「勿論じゃ。持ち込みは歓迎するぞい。それなりに金は取るがの。」



鞄から2m半程はある<女王螂の剣>を一対取り出す。



「これを素材に剣を作って頂きたいのですが。」


「ほ、またえらいモンを持ち込んだの。」


「…ゾッとする大きさだな、流石にこんなのを持ったのと対峙した事は無いぞ」



メリアも言う。


まぁ確かにあれは危ない相手だと思った。素材狙いでつい様子を見てしまったら


猛烈にトリッキーな動きをされて焦った。


結局以後は遠間からの投げナイフ一発になってしまったのだが。



「柄の加工用に<魔鉱石>がもう少し欲しいのう、手持ちはないかの?」


「いえ、もうありません。」


「そうか…しかしこれだけの物なのに柄が安物では格好がつかんのう…<轟槌蟹の爪>とか<溶鋼獣の塊>は無いか?」


「基本的に神殿の北の森のモンスター素材しかありませんね…」


「なら<猛角羊の一本角>と<甲冑猪の牙>と<時雨鳥の冠>と<木人樹の膠>はあるか?」


「それならあります。」


「なら2本分でその角4本、牙2つ、冠4つ、膠を2つあれば可能じゃ」



鞄から取り出す。ソフィーとオサに教えてもらったので大体のモンスター素材の名前は覚えている。


角4、牙2、冠4、膠2…後剣ももう一つ…と


取り出し、テーブルに並べる。


そして置かれた素材を爺さんがしげしげと見つめ、時には手に取り検品する。



「確かに。まさかこの時期に討伐をこなしてくるとは…どれも最上級じゃ。腕がなるのう。」



ふぉっふぉっふぉ、と笑い、検品していた素材を机に置いて再びこちらに向き直る。



「さて、後は手数料じゃの。そうじゃのう。素材は全部持ち込みで済んだし、加工費は…2本で15万Gってとこかの」


「じゅう…」


「ではそれで」



オサの発言をふせぎ答える。


なんでじゃますんだよー!と文句を言って来るが、


別に金に困っては居ないのでスルーだ。



代金は完成した後で良いらしい。


5日後には出来るから取りに来い。とのことだった。


取りに来ないまま1年経つとそのまま売るからな?と釘を刺され、鍛冶屋を後にした。



その後宿へ戻る道中に、


「いいか?基本はボられるんだ。値切らないとダメなんだ。分かれよ。」


とオサに説教された。


そうなのかもしれない。


喉まで出かかっていた「でも出来物の剣より安かったし…」という言い訳はしないで、笑って誤魔化して置く事にした。


値切る、と言う行為をした事が無かったのでつい忌避してしまったのは否めないし、もっと機嫌が悪くなられても困る。


それについ、とは言え2回連続でオサの楽しみを妨害してしまった訳だし。


後で何かフォローしないといけないなぁ、と思いつつソフィーとマールの待つ宿へと向かった。



ちなみに殆ど会話に参加していなかったメリアは、終始俺の腕に組み付いてご機嫌だった。

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