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2つ目の異世界  作者: ヤマトメリベ
第1章 二人の逃避行編
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1-6<裏切り者と強襲と>

「ソフィーリア様、そろそろ」



扉の外で待機していた護衛の騎士らしい人が声をかけてきた。



「!そうですね、もう急いだ方が良いですね」


(…急ぐ?)


「ユート様、実は諸事情がありまして、急いでここから離れたいのです。」


『ふむ、確かに殺気立った連中がこちらに向かってきておるな』


(なんで言わないんだ)


『目の前の連中も殺気立っておるしのぅ・・・?まぁ麗しの姫君が何処の馬とも知れぬ男に寝とられそうになっておるのを、我慢して見守っておるしか出来ぬのなら、殺気が溢れるぐらい致し方あるまい。と思うての?』


(…馬の骨ですらなく馬扱いとは)


『なんじゃ?褒めておるのじゃぞ?妾は大好きじゃぞ、おんしの馬並みの所がの。』


(・・・)



わざとだとしても、その表現はコメントに困る…





「偽装の馬車は既に走らせております。こちらに」


そうこうしている間に護衛騎士が5人ともやってくる。


部屋を出、俺とソフィーを中心に前に2人、左右に2人、後ろに1人の配置で廊下を進む。



『なんともキナ臭い感じがするのう…』


(同感、偽装馬車まで用意して早急に退散とはね。それにこの神殿、人の気配を感じ無いし。)


『あの娘の話に嘘は無さそうに見えたがのう…あれが演技じゃったら妾、ちょっとショックじゃ』


(…それは無いと信じたいけど確かに、ね)



7人で足早に長い廊下を進む。


途中に誰も出会わない。そしてやはり人の気配そのものが無い。


こんなに豪華な建物なのに、だ。ますますキナ臭い感を感じつつ先導されるままに進む。


廊下をつきあたりまで進み、そこにあった大きな扉を開けて屋外へ出た所で事は起こった。




唐突に、前を警戒していた護衛騎士2人が声もなく崩れ落ちた。


左右で警戒していたはずの護衛騎士2人が、手に持った槍で後ろから貫いていた。


位置はわきの下辺りから、刃は水平。恐らく、動脈を切断し肺を貫通。致命傷だ。



「うお…っとっと…」



さらにそこへ後ろから突き飛ばされた俺がたたらを踏んで飛び出し、刺された二人にぶつかり突き倒す。


…何だ?何が起きた?何をされた?


状況が飲み込めず、混乱する。



「ラミレス、マック!?あなたたち何を!?」



ソフィーが驚いて叫ぶ、名前は分からないが、槍で突いた二人に言ったのだろう。



「申し訳ございませんソフィーリア様、これも任務でし・・・て・・・?」


「おい!何故肝心のヤツを殺していない!?」


「なんだ!?こいつ!?槍が刺さらなかったぞ!?」



どうやら俺も槍で後ろから突かれたらしい、無用心過ぎた。そして理解する。裏切り、か。


何故気づけなかった?襲われる可能性があるのに、護身用の武器すら渡されてない時点でおかしいじゃないか。


それにしてもこんな重要な所まで連れてきた護衛が裏切りとは。相当な信用が有ったはずだろうに。


それも、3人もとは。本当にキナ臭い。


とりあえず状況を整理する。狙ったのは既に事切れた護衛2人と俺の3人。


護衛を一突きで始末した2人も、さらにソフィーを手にかけようとする気配が無い。


ソフィーに関しては確保、いや拉致が狙いか?


彼女の立ち位置の面倒さを感じる。政治的な事でも絡んでいるのだろうか?



「クッ!ロバート!兎も角姫を連れて行け!こいつは引き受ける!ジェイク!やるぞ!」



左右の二人が血の付いた槍を構えて俺に踊りかかり、後ろの一人がソフィーを後ろから横抱きに抱え、馬車に向かって走る。



「きゃっ」



…しまっ


つい余計な思考を巡らせて居たらソフィーが抱えられ連れ攫われた。



『あーこれはマズそうじゃのう。裏切りか?ともかく急いであの娘を救うのじゃ』


(…そうだな!)



マールの言うとおりだ。今はゴチャゴチャ考えている場合じゃない。


意識をただ戦闘モードへと切り替える。目的はソフィーの奪還と安全、ついでに敵の無力化だ!



「大人しく死ね!」「食らえ!」



2本の槍が左右斜め前から同時に突き出される、しかしそれは一気に地に伏せる事で危なげなくかわし、


事切れ倒れた護衛の腰にあった剣を掴み、体ごと大きく横へ移動ししつ抜き放つ。


そのままの動作で、槍を突いた姿勢で背を向けて居る右の男(多分ジェイクという名前だった)の横合いから肩口へと全力で切りつける!


普通に右側で構えた槍は二人以上で並ぶと左側からの攻撃に即応できない。隣の人間の体が邪魔になって槍の動きを阻害してしまうのだ。


その隙を突き、そのまま甲冑ごと剣で切り裂くつもりで全力で振り下ろす…!


パンッ!


と音を立て剣がジェイクに直撃する寸前で砕け散った。


…自壊した!?魔力に耐えられなかったのか!ちょっと魔力を通しただけでこのザマ?なんだこの剣は不良品か!?


予想外の事態に、慌ててそのままジーンを突き飛ばし、距離を開ける。


そして事切れ倒れ伏したもう一体の死体の剣を掴み、引き抜く。


勢いそのまま今度は魔力を込めずに、振り向き様先ほどどほぼ同じ軌道で切り込む!


バキン!



「ぐっ?この剣ももろい!?」



鎧ごと左肩口から鳩尾付近まで切りつけたものの、切り抜けることが出来ず途中で剣がへし折れてしまった、


くそ、さっきの剣と言い、つい以前使っていた剣のつもりで振ってしまっていた。


仕方なく折れた剣の柄を手放し、まだ立ったままで事切れている、切り付けた相手の腰にある剣の柄を掴む。


そのまま体を蹴り飛ばし、その勢いで引き抜く。



「おのれ、よくもジェイクを!」



そこに左の男が背中目掛けて槍の一撃を放ってくる、読みも何も無い、必中の距離で外さない為のど真ん中狙いだ。


咄嗟に片足を引き半身になっての体移動。体を大きく開き、刃をかわそうとする。


刃先が腹を掠めたが、服が千切れるだけで俺の体は切れはしない。


そのまま体を捻じってやりすごし、柄を掴む。さらに踏みつけ、へし折る!



「ぐおっ」



両手で持った槍を踏み折られたせいで、たたらを踏む護衛騎士。その兜の目の部分の隙間に正面から剣をねじ込む。


バキン!


顔面串刺し、後頭部までしっかり貫通までさせたものの、また剣は根元から折れてしまった。想像以上にもろい。



『鉄剣…鋳造かのう?魔法による強化や付加も無く、鉄の質もあまり良くないようじゃな。鋼にすらなっておらぬか?』


(…何を言ってるのか良く分からないけど一人1本じゃ戦闘がままならないぞ!)


『とりあえず後1本をいただいて追うしか無かろうて』


(…それもそうだな!)



素早くまだ剣がある先ほど死体になった騎士から剣をいただき、走る。



(……ソフィーを攫った騎士は!)



先ほどの護衛騎士(確かロバートと呼ばれていた)が走って行った先を見ると、


御者らしき男とロバートに二人がかりで馬車に押し込まれそうになっていたソフィーが、


ビンタで御者らしき男を派手に弾き飛ばしていた。



(………あれ、すごい衝撃なんだよな)


『………案外たくましいのう』

やっぱり有りものから名前をそのまま借りてしまうのは色々と不味いと思いましたので、モブの人たちの改名をしてみました。


そろそろ主人公のチートっぷりが発揮され出します!

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