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2つ目の異世界  作者: ヤマトメリベ
第2章 合流編
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3-7<人型6>

メリアがおかしくなってしばらくして、セバスさんがやってきた。


着ていた燕尾服がパリっと直っている…のでは無く着替えたのか。


流石敏腕執事、これ以上隙は見せないというのか?


そんなセバスさんも治療中メリアの様子を見て眉を顰める。



「お嬢様、そのお姿は些か問題が御座います。一度、宿に戻り、着替えを致しましょう。」


「嫌、ユート様の元を離れたくありません。」



即答、だった。空気が凍り、冷や汗が流れる。



「では、せめてその毛皮でなくこちらをお使い下さい。」



そう言って自分の鞄からばさりとマントを取り出す。色は真紅。…派手だ。



「嫌、ユート様がくださった物ですもの。そんな物とは交換したくありません。」



にべも無かった。


セバスさんが、汗を掻く。おお、焦っている。だが、そう思う俺も汗を掻いている。ダラダラと。



「ユート様?これは?」



セバスさんがキリキリキリとこちらを向き質問する。何が、どうなっているのですか?これは誰ですか?


そんな風に顔に書いてあった。



「俺に聞かれても、困ります」


『ユートにホレたんじゃこの娘』


「一発KOで、こうなった。<狂乱の火炎使い>とか言われてたのにな…」



セバスさんが納得半分、困惑半分と言った顔でメリアに再び向き直り、口を開きかけたところで、



『肌は完了じゃ』



マールが言った。



「こっちは血管と内出血と神経辺りは粗方繋いだが、筋肉と筋と骨折とその他諸々がまだ途中だ…」



オサが続く。治療は難航しているようだ。


ちなみに俺も手伝っているのだが、やはり一番下手なのでサポートに徹していた。



「では私が骨を請け負いましょう。」


「そりゃ助かる。」



セバスさんが気を取り直して言う。そして分担して治癒を始める。



『これからどうするんじゃ?』


「とりあえず宿に戻らないと。もう夜だし、心配してるだろうし…」


「そうだなぁ…でも、嬢ちゃんがコレ見たら血の雨が降りそうだぞ…?」



そうなのだ。ソフィーが怖い。



『だが、の。こうなってはどうしようもないじゃろう。ありのまま見せて、おんしが強気で押して説得すればあやつも折れる。頑張るのじゃ』


「そんな無茶な………」



押しに弱い事に定評が付きそうな俺に、あのソフィーを押して説得しろ、という。


無茶にも程がある。そう思った矢先だった。



「押して…いやいっそ押し倒せばなんとかなるんじゃねぇか?」



オサがしれっとえらい事を言う。


何を言い出すんだ、この見た目幼女は!?



「私は何時でも押し倒して頂いて構いません…」



頬を朱に染めて、メリアがもじもじと言う。


何を言い出すんだ、この人格崩壊女は!?



『それはまずいの、今の状態で押し倒せばこやつは相手を殺しかねんぞ?』


「え」


「マジか」


「愛する殿方に抱かれながら死ぬのも本望です…」


「お嬢様…」



だめだ、この人、頭がダメだ。だが、何?俺が抱いたら相手を殺す?



「どいうことだ?」


『おんし事の最中に<強化魔法>の制御が外れて暴走するでは無いか。普通の人間では死ぬぞ。あれは。妾は魔族じゃから平気じゃったが。』



衝撃の事実だった。では、結局俺にはマールしか居ないという事か。


そうだ、最近急にモテたから浮かれてしまったが、俺にそんな上手い話が有る筈が無いのだ、


ごめんよ、ティーナ。俺、やっぱりダメなままだよ。


そこまで思い至って気づく。



「あれ…?でもティーナは平気だったような…?」


『それは<強化魔法>がしっかりかかっておったからじゃろう。ま、これからする為にも早くあの娘らにも<強化魔法>をかけてやるんじゃな。』



「ら」って言うなよ…



「お話の内容は良く分かりませんでしたが、ユート様にはやはりもう何人も良い人が居られるのですね…やはり私は愛人か情婦になりましょう。家も捨てます。」


「お嬢様!落ち着いてください!早まらないで下さい!」


「セバスさんの言うとおりだから!頼むから早まらないで、落ち着いて!?」



あっさりと爆弾発言を投下する。


なんだこれ、口調はほんとにソフィーみたいになってるんだが、もっとタチが悪い!!



「分かりました。ユート様がそうおっしゃられるのでしたら従います。」



超、聞き分けが良いんだけど、でもこれ、全然聞いてないよね、話。



「どうしたらいいんだ」


「頑張れよ」


『大丈夫じゃよ』


「お願いします。」



オサ、マール、セバスさんに三者三様の事を言われ、天を仰いだ。星が綺麗だ、完全に夜になっていた。

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