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2つ目の異世界  作者: ヤマトメリベ
第2章 合流編
59/127

3-4<人型4>

「大丈夫ですか!?」



崩れ行く<人型>を尻目にメリアの安否を心配する。



「わ、たしは…」


『案ずるでない、もう命に別状は無い。』



口をぱくぱくさせ言葉の上手く出ないメリアの代わりにマールが答えた。



『じゃが見た目より体内の傷が深い。処置に時間がかかる。』


「分かった。」



マールとオサにメリアの治療を任せ、さっき這っていた足の千切られた男の下に走る。


相変らず止血をしていない…そして、出血が止まっていた。


遅すぎたのだ。失血死していた。



「くそっ」



なんの手立ても用いず死体となった死者は最早蘇らない。


悪態をつき、他の犠牲者は?と周りを見回した。



『例の執事が馬車に吹っ飛ばされたそうじゃ』



頭の中にマールの声が響く。遠距離会話も可能なのか。



『妾の本体はおんしの中じゃ。意識すればそちらに意思を戻せる。それより急げ、不味いかもしれん。』



マールの声が急かす、慌てて馬車に向かう。


どれか分からなかったが一目瞭然だった。


横っ腹に大穴を開けられた馬車がある。後ろに回って中を覗く。だが、居ない。


貫通して反対側を転がっていた。



慌てて近づき首で脈を確認する。意識は無いが、生きている。



「―Auvies Atd dit Per Weinne Heirons Wndddeh IercifdiG―


<ヒーリング>」



治癒魔法をかける。外傷は細かいものだが、馬車を突き抜けた時の衝撃でだろう、骨と内臓をかなりやられている。危険な状態だ。



(マール、セバスさんを見つけた。かなりの重傷だが生きてる。助かる。)


『了解、じゃ。ところでおんし…また変なフラグを立てたようじゃぞ…』



フラグ?なんだその不安な感じのする響き?また<意乗の言>のせいで変な意訳が?


今は、忘れよう。治癒魔法を続ける。治癒魔法は得意でない、集中しなければ。と、そこでふと思い出す。



(<魔晶石>の回収を忘れていた。オサにでもたのんでくれ。)


『…オサも治療中じゃ、それに<魔晶石>は魔族の<魔導心臓>と違ってそこから再生したりせんぞ?』


(…そうなのか?)


『うむ。安心するがいい』


(…分かった。)



一つ問題が解決した。治療に集中する。


繋ぐまでは行かないが、折れてあちこちに刺さった肋骨の位置だけを戻し、


肺に入った体液と血液を抜きあらかた血管内へと戻し終えた所で、セバスさんがむせた。



「ゴフッゴホッ…ガハッ…………ハ、……ユ、ユート様?…メリア、様は!?」



同時に意識も取り戻す。



「まだ動いちゃダメだ。メリアさんも無事だから。」


「私は…、<人型>は……?」


「瀕死だったんだ。まだ内蔵がかなりやられている。<人型>はもう倒された。」



倒した、とは言わないほうが良いだろう。一人でやれる相手では無い筈だ。



「そう、ですか…マルナス様…は?」


「マルナス…様?小太りの偉そうな服を着ている?」


「そう…です…」


「残念だが、間に合わなかった。失血死だ。」


「そう…ですか………グッ」



確認したい事は終わったのか自分の体を動かし、無事な腕を胸に当て、詠唱を始める



「―Vinezg-le [m] misffeal Ceund ppouron'de Blessth oa Curaiful―」


「おい、よせ」


「<治癒回生>」



治癒魔法が発動する



「私は、大丈夫です。動けるようになれば…戻ります。今は…お嬢様の方を。」



自らに治癒魔法を行使する様を見て首肯する。この人の治癒魔法は我流の俺やマールよりも上等だ。


治癒魔法を止め、メリアの元へ向かうことにした。

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