表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2つ目の異世界  作者: ヤマトメリベ
第2章 合流編
53/127

2-6<遭遇3>

「単刀直入に言う。ユート、お前が欲しい。」



「へ?」



急な展開に思考が追いつかない。何を言ってるんだ?



「うむ。実は私はギルド員では無く軍人でな。我が隊にお前が欲しい。私の拳を受けきって見せたのだ、実力は十分だ。」



つまりはスカウトだ。そう言って何か書いてあるプレートの付いたネックレスを取り出し、ちゃらちゃらと振って見せる。ドッグタグみたいなものだろうか?


それにしても…またソフィーの時みたいに「私の旦那様に!」とか言われるのかと焦ってしまった。


…うん、自意識過剰だ。



「ええと、申し訳無いのですが旅の途中でして、一人旅でもないので、そういうお話を受ける訳には…」


「む、旅か。では目的を教えてくれ、私も手を貸そう。それを終えた後でならば良いだろう?」


「お嬢様、目的など言えない場合もございます。配慮して下さい。」


「ぬ、そういう事もあるか、済まん」



セバスさんが口を挟み、メリアルーナさんが納得して謝罪する。


中々セバスさんの発言力は高いようだ。主にサラっとカンゲン、諫言?でいいんだっけ?を述べるとは。



「あ、いえ確かに終わりは見えていませんが、今の目的自体はアーリントンに行く事です。」



うろ覚えの単語を疑問符交じりに浮かべながら、返事をする。まぁ隠すほどの事でも無い。



「おお!アーリントンか!それは実に都合が良い、私はアーリントンの者だ。何時出るのだ?着いたら是非歓待したい。ついでに入隊してくれたなら万々歳だ。」


「ええと、とりあえずまだ何日かはアルモスに居るつもりです。色々買い出しを終えたら向かおうかと。」


「そうか、それならばまた明日にでも確認させてもらおう。通行証が必要なら私が用意しても良い。」


「それは願っても無い事です。ありがとうございます。」



やはり通行証が必要だったか。


身分証を得るついでに、ギルドの仕事でもアテにしようと考えていたのだが、思わぬ所でアテが出来た。



「では、また明日の昼ごろにここで。構わないか?」


「はい、色々ありがとうございます。よろしくお願いしますメリアルーナさん。」


「メリアでいい。呼び難いだろう。」


「分かりました。では、メリアさん。また明日に。」


「あぁ、また明日だ。」



そう言ってメリアさんとセバスさんが出て行く。彼女達は彼女達で色々用事があるらしい。


手元のジュースを飲み干す。少し緊張していたのか、喉が渇いていた。




◆◆◆◆◆◆◆◆




く、く、く、と笑いが漏れる。


その場ではスカウト出来なかったが、なんだ、この展開は。彼の目的地はアーリントンだと?


なんと都合の良い事か!


恩も売れるし、着いたところで家に連れ込んでしまえば彼も残ると言うだろう。


なんせ5大家、その長女で、この国最強との誉れ高い私の直属の部下になれる。と言うのだから。



そして、私に彼を部下に留めるつもりは無い。


私の拳を軽く、片手で受け止めたのだ。国内最強の拳を。誰も、セバスすら吹っ飛ぶような拳をいとも簡単に!!


実力は十分?そんなレベルで有るはずが無い。


自分で打っておいてなんだが、私自身が食らっても耐えられそうに無い拳なのだ。


身震いする。いる、いた、いたじゃないか!私よりも強いかもしれない男が!!



実際の実力の程は分からない。だが、十分過ぎる程の期待が持てる。


さらには一見大人しそうだが、芯の通った感じの伺える容貌。


力に溺れ、粗野になることも無く、冷静さを保ったままの物腰と話し口調。


そして、どう見ても15、6と言った外見。


完全に、完璧なまでに、測ったかのように私の好みのど真ん中。


神が私の為に用意してくれて居たのか?とにわかに信じたくなる



あぁ、ソフィーの手がかりを得に来ているのに、浮かれてしまう。気がそちらに向かない。


さっさと彼の実力を測って見たい。だめだ、今はソフィーだ。期日も大分近づいている。


彼もアーリントンへは馬車で行く筈だろうし、そうなるとここからアーリントンへの道のりは4〜5日かかる。十分だ。


彼の方は時間がある。今はソフィー。あぁ、ソフィーの事は物凄く心配なのに心が弾んでしまう。


済まない、ソフィー。済まない。


そう考えながら、私はセバスを連れて潜伏中の草との合流場所へ向かった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ