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2つ目の異世界  作者: ヤマトメリベ
第1章 二人の逃避行編
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1-3<状況確認>

「で、で、出たところの部屋に用意されているはずですので!」と、ソフィーに促され、儀式の間から出て少し進んだ部屋に向かう。



「どうぞ、こちらにお着替えください」



途中泉のある部屋から出たところに居たさっきの2人とは別の騎士に衣服を渡された。


さっきの二人はソフィーと一緒に行ってしまった。やはりあの格好は儀式用か何かで、あちらも着替えるのだろう。


幾らなんでもあの格好が普段着という事は無いと信じたい。あれが普段着ならとんだ露出大国に召喚されてしまった事になる。


若干不安を感じながら、とりあえず渡された衣服を確認する。簡易な下着とシャツとズボン、ベルト、それと靴だ。


うむ。透けてもいなければあまり高級感も無い。なんだかここ数年慣れ親しんだ中世風味の地味な普段着で安心した。


剣は無いので腰まわりが寂しいだろうが、この際贅沢は言わない。パパッと着替えてしまおう。


そして着替えの最中にふと思う。



(あれ?兵士の人の言葉も普通に理解できてたな?凄いな翻訳首輪、範囲効果も有るのか?)


『何を言っておる。妾が<意乗の言>を使うたのじゃ』



頭の中に相槌を打つように少女の声が響く。それはこの5年聞き続けた相棒の声。



(マール!居たのか!良かった、姿が見えなかったから心配したよ。って言うか何?<意乗の言>って。初めて聞くよ?)


『簡単に言うとじゃの、「声に乗った魔法的翻訳が成された意思を解読する事によって、大抵の種族と円滑な会話が出来るようにする術」じゃ。魔族の連中も良く使ってたじゃろ?』


(…あいつらと普通に会話できてたのは全部その<意乗の言>のおかげだったのか…?ハハハそんなの全然知らなかったよ!)


『フフフ…また一つ賢くなれたの。』



説明されても良く分からなかったがニュアンスは伝わった。あまり役に立つ気がしない知識だが。


そんなことよりも、だ。



(ところでマール、お前体は?)


『フフ…なんじゃ?妾の肌が恋しい。とでも言うのかえ?』


(そ、そういう訳じゃないっ)



早々にからかわれた。心配したのに。



『くく、冗談、じゃ。なに、妾の義体ならさっきの召喚の時に吹き飛んでってしもうたわ。おんしの装備も恐らく同じじゃろうて。最も本体はもうおんしの<魔導心臓>に直結しておるからな。召喚ごときで消し飛びはせん。』


(なるほど、俺の体だけを召喚した訳か、だから俺全裸だったんだな)



前召喚された時はちゃんと服も着ていたと言うのに、今回は全裸だった疑問が解決した。


これまた大したことでもなかったが…



『ともあれ魔力が回復せんことには妾は顕現できぬ。暫く無理じゃろう。まぁここは狭間ほどマナが枯渇しておらぬようじゃし、簡易体でなら然程かからず実体化できるじゃろうて』


(そっか、良かったよ)


『なんじゃ?妾が消し飛んでおったら、とでも心配したかえ?』


(まぁね)


『フフ…やはりおんしは愛いのう。心配せずともよい。じゃがその気持ちは嬉しい。そうじゃの…』



マールが何かを言おうとして、間を置く。


こういうときは大抵ロクな事を言わない…気がする。



『よし。顕現したらば妾の肢体をおんしの好きな用に思う存分情欲の赴くまま貪ってくれて良いぞ。しばらくお預けじゃしの?折角じゃ、妾も喜んで受け入れようぞ』


(―――――!!)



警戒はした。そしてからかわれているのも分かっているのについ色々と想像してしまい、頬が上気する。


『おんしは何時までたってもウブじゃのう、そこが愛いのじゃが…フフ』


(ぐぬぬぬぬ)




マールにやり込められて唸っていたら、バタン!と勢い良く扉が開きソフィーが凄い勢いで飛び込んできた。


着替えを済ませたようで、今はさっきのスケスケの服ではなくあまり装飾の無い水色の簡素な長袖ワンピースのドレス…?


とりあえず上下は同じ色で同じ意匠。だが服の種類の判別は俺には付かない。


しかし決して地味ではない。凝った裁縫が見て取れる。…結構な高級品に見える。


さらに視点を下げる。…靴は普通っぽく見える。そこだけ無骨な印象で違和感を感じる。はて?



「す、す、済みません!ユート様に<意言の首輪>を渡し忘れていました!」



なるほど、それで慌てて飛び込んで来たのか。



「その、彼らの言葉が分からなくて…困りましたよね?」



ソフィーに語りかけられてハッとする。いけない。じろじろ見るものでは無い。



「あー、実はね…」



ハハハハ


まさかあれだけ『凄い』と褒めて置きながら要らなくなったと説明せねばならないとは…

プロローグでちらっとだけ出た声の主も登場。そしてサービス衣装も終了です。

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