表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2つ目の異世界  作者: ヤマトメリベ
第1章 二人の逃避行編
34/127

8-4<風呂4>

「うう…ありえない……バケモノ…」



気絶したオサをシズクさんとソフィーが見ている。何か呻いていたが忘れよう。


今は、チャンスだ。



オサが持っていた湯浴衣で股間を隠し、そそくさと自分の着替えの入った籠に向かう。


<強化魔法>を一瞬発動。濡れた体から泡や水を切る。


普段は汗や血を弾いたり水場で戦う時に使う<強化魔法>をこんな事に使うことになるとは…



急いで着込んだ着替えの服は、あんまりしっかりした生地ではなかった。


何というか、柔らかい。パジャマ…だろうか?


ともあれ、そのまま3人を残し脱衣所から逃げ出す。行く先は分からない。


ふらふらと来た道を辿り、食堂にたどり着く。そのまま適当な椅子に腰を落とし、頭を抱えた。




◆◆◆◆◆◆◆◆




さ、触ってしまいました。


オサの声にはっとしてつい手ぬぐいを取ってしまったのですが、触るつもりまではありませんでした。


ただつい見えていたそれを塞ごうと、手を伸ばしてごく一部だけを視界から塞ごうとした時に、


ユートさんが振り向き、こちらに寄りかかって来てしまったための事故、でした。


私の前面とユートさんの背中がしっかりと密着し、私の左手は防ごうとした先のモノに触れていました。


その左手に触れたモノは柔らかくて、やや固い、不思議な感触でした。


思わず、むに。むに。と感触を確かめると、ユートさんがおもむろに立ち上がり、逃げ出しました。



ガラリと扉を開けドサッと誰かが倒れたような音がしましたが、私はそんな事より左手の感触を思い出していました。


予定外の接触でした。効果もきっと予定外。吉と出るか、凶と出るかは分かりませんが。一歩進んだことは確かです。



とりあえず落ち着こう、と桶で湯をすくいかけ湯を。


…したところでシズクさんの「オサ!オサ!」という声が響きました。どうしたんだろう?


チラリと視線を送るとそこには仰向けに倒れたオサと、それを心配そうに診ているシズクさんがいました。


ユートさんが攻撃した訳は無いと思うのですが、少し心配でしたので私もオサの元に向かう事にしました。


今回のアタックは彼女の協力の賜物でしたし、共犯者ですしね。




暫く経ってオサが意識を取り戻しましたので、二人で体を拭い、着替える事にしました。


柔らかなパジャマ。


この豪華なお風呂といい、こんな辺鄙な村なのにこんなものがあるなんて…本当に意外でした。


オサの趣味で用意されているのでしょうか?つくづく長寿族は侮れません。


そのオサは、着替えをしている間私を哀れむような目で見ていたのですが、理由は教えてくれませんでした。


哀れまれる覚えが無いのですが…ユートさんに逃げられた為でしょうか?



「痛いぞ、あれは、がんばれよ…」



意味が分かりませんでした。




脱衣所を出て、ユートさんを探す事にしました。


事の他あっさりと食堂で見つけたのですが、頭を抱えたユートさんは



「マールと同じ、マールと同じ、マールと同じ、騙されるな、罠だ、罠だ、」



とブツブツ呟いていました。


マール?


以前にもユートさんの口から何度か聞いたような気がします。


誰かの名前、でしょうか?ユートさんの口からは聞き覚えがない言葉がよく飛び出すので、物なのか人なのか魔法なのか、なかなか判別が難しいのですが、どうもこれは人の名前に感じます。


それも女性で、かなり親しい。



ちりり、と胸の奥で何かが焦げるような感じがしました。



今日はもうさっきのお風呂で十分、と思っていたのに。


昼間オサの話にあったもう一つの仕込みを強引にでも使わせて貰おう。と誓いました。

風呂回のラスト。妙にサクサク書き進められたので、書いて居て凄く楽しかったです。

次回からはまた1日1回更新に戻ります。

とは言いましても次回はこの12時間後ではありますが。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ