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2つ目の異世界  作者: ヤマトメリベ
第1章 二人の逃避行編
26/127

7-2<第一村人>

第一村人が現れた。どうしますか


[>はなす

 ほおっておく



………


脳内で浮かんだゲーム的な想像を散らす。いやいや流石にこれは失礼だろう。


走ってきた第一村人は、まさに農村村人テンプレのようなボロッとした服を纏い、履物も草履のようなもの。


顔も薄汚れていて赤茶けた髪はボサボサの短髪30代。と言った出で立ちだった。



「こんにちは」「こんにちは」



とりあえず二人で挨拶をする。



「あ、あんたら…ハァハァ…何処から…来ただ?」



帰ってきたのは質問。走ってきたせいで息が切れているが、はて、そういえば何処だ?


日本?前の世界?狭間の世界?いや、そういう答えは求めていないだろう。となると…



「神殿…からかな?」


「ユートさんっ」



しまった、つい口が滑った。ソフィーが慌てて俺から続く言葉を防ぐ。



「神…殿…?アルモスの街からでないのか?」


「あ、いえ、そう。旅の途中神殿で巡礼をしまして、王都に向かったのですが、その後ちょっと道に迷って森に入ってしまいまして、仕方なくウルラス川を下って来たのです。」



ソフィーがフォローをする。だが声が上ずってしまっている。正直、苦しい。



「森に?そりゃ災難だったなぁ…ここはオサの村だ、旅人さんよ。今はちっと立て込んでるが歓迎するよ。」


「あの柵ですか。」



どうやらソフィーの機転は苦しいながらに成功したようだ。


村人の男性と3人で柵に向かって歩きながら話す。



「んだ、実は1週間程前にな、モンスターが来たんだ」


「そんな、ウルラス川を越えられないはずなのに…」


「んだ、今までも越えてきた事はなかったんだ、んだが何故か1匹だけ来た。」


「それであんな事に。」


「あぁ、最初は1匹だったんだが、ヤツはここ数日で急に増えおってな、昨日なんて3匹が畑を荒らし、それだけに飽き足らず家畜や家を襲ったんじゃ」



前にソフィーが言っていたモンスターの増え方を思い出す。


新しく来た訳でなく分裂をしたのかもしれない…?



「討伐隊は…軍の詰め所かギルドに連絡はしなかったのですか?」


「こんな辺鄙な村には両方無いだ…」


「そんな、でしたら最寄の所は…」


「村からだと馬で5日ぐらいの距離のアルモスじゃ…」



軍は兎も角、ギルド?民間の対モンスター対策組合でもあるのだろうか?


ともあれ連絡して、討伐隊が準備をしてここに来るとしても最短で10日以上、ということだ。


そして1週間前に使いを出したとしても、最短であと3日。準備やら何やらで確実にもっとかかるだろう。



「それでは、このままでは…」


「だから柵を作っとるんじゃ。あいつらは食うばかりで壊すのは2の次じゃからな、柵向こうに食料が有ればわざわざよってはこねぇ」



だが、それでも後何日持つか…


村人が消え入るように呟いた。



「………ユートさん」


「…いいのかい?」



ソフィーの言いたい事は声音と表情に分かりやすい程出ていた。


なんとかしてあげられませんか。と。


勿論出来る。しかし俺達は追われている身だ、目立つ行動を起こして良いのだろうか…?



「私には見て見ぬふりは出来ません…」


「フフ、そっか。じゃあ異存は無いよ。これでも元・勇者、人助けはライフワークだったからね。」



くすり、と笑って快諾する。



「ライフワーク…?」


「生きている限りやるべき仕事って意味。」


「生きている限り…すごいです…」



…マールが聞いてたら『カッコつけおってからにー!』とからかわれそうなモノだが、


ソフィーは純粋に感動したようで、尊敬の眼差しでこちらを見つめてくる。は、恥ずかしくなってきた。



思わず目を逸らし村人へと向き直る。


村人は会話の意味が分からなかったのだろう。「?」と言った感じの疑問符を浮かべている。


だから伝える。分かりやすく、端的に。



「俺がモンスターを退治しましょう。今夜にでも。」


「!?」



村人が驚愕する。



「で、ででで、できるだか!?」


「できます。」


「大丈夫ですよ、ユートさんにお任せ下さい。」


「ほ、ほほほほ、ホントだか?モンスターだぞ?」


「何のモンスターか分かりますか?」


「<甲冑猪>だ、<甲冑猪>が3匹いるだ!」


「<甲冑猪>ですね。問題ありません、コイツ……ですよね。」



鞄を開き、中から<甲冑猪の牙>を取り出す。


村人が目を見開き、そのどう見ても金属製っぽい2m近くある巨大な牙を見つめる



「あ、あんたら森に入ったって言ってたな?討伐隊だったんだか!?」


「そういうわけでも…」


「と、ととととにかく、そうだ、オサに、オサに連絡するだ!」



村人が転びそうな勢いで走っていった。



「…追いかける?」


「えぇ、ゆっくり歩いて追いかけましょう。」



ソフィーが嬉しそうに微笑みながら、俺の腕に自分の腕を絡めて歩き出した。

主人公、調子に乗るの巻。

ここからは暫く平和な話が続きます。

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