表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2つ目の異世界  作者: ヤマトメリベ
第1章 二人の逃避行編
10/127

2-1<森へ>

マールが眠りについたので、自分で気配を探る。


遠いのでかなり分かり辛いがそれなりに近づいて来て居るのを感じる。


恐らくもう後30分とかからず先遣隊が来るだろう。



「それじゃ行こうか、もう時間が無いし。」


「そうですね、行きましょう。北の森に出るにはまずこの神殿の東側の門を出まして、外周壁の外へ行ってからになります。」



こちらです。と出口に向かおうとしたソフィーの肩を掴んで引き止める。


え?という小さな声を上げた彼女を横抱きにして、肩甲骨の下と二の腕辺りと膝の後ろに腕をまわし持ち上げる。


俗に言う、お姫様だっこの体制だ。



「あ、え、う、その、」



ソフィーが赤くなり言葉にならない抗議の声を上げる。俺にだってその気持ちは分かる。恥ずかしいよね…



「ソフィー、今からかなり速く走るから。しっかり捕まっててね。」


「え?は、はい……?」



返答をし、ソフィーが身を小さくした所で走り始める。数歩で加速し一気に北に向かう!



「え、えええ!?こっちは門じゃないですよ!!?」


「喋ってると舌を噛むよ!」



ソフィーが抗議の声を上げる。門は東でこっちじゃない。承知してる。


神殿の北側の外周壁の角の部分が見える。高さはおよそ10mぐらいだろうか?この高さなら、超えられる!



「〜〜〜〜〜っ!!!」



減速することなく、飛ぶ、壁に足をかけそのまま左右にステップしつつ乗り越える。


3歩で城壁の上に乗り、城壁の向こうを見る。


…そこに見えたのはやはり堀だった。


一旦止まって正解だったな、と考えつつ今度は城壁の上を走り加速する。


堀の幅はおよそ20m、そのまま飛び越える!



「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!!」



ソフィーが声にならない叫びを上げているがこの際だ、無視して着地。そのままの勢いで森へと突入する。



さぁ、ここからが本番だ。




◆◆◆◆◆◆◆◆




森の中を走り、飛び、跳ね、およそ1時間程進み減速する。魔力の限界が近い。


すこし開けた所に大木を見つけたので、その根元でソフィーを降ろす。ここまで来れば流石に大丈夫だろう。


マールのように遠距離は読めないが、大分突き進んだせいか人の気配はもうしない。



「……し、死んだ…と、思いました。」



ソフィーがぺたんとお尻をついて座り込む。



「ゴメン、やっぱり刺激が強すぎたかな?」



ジェットコースターに乗って森を突っ切ったようなモノだ。生きた心地はしなかったろう。



「ううう…」


「少し休もう、ここまで来たら大丈夫だよ。追手も居ないみたいだし。」


「…あれについて来れたら人間じゃ無いです……」


「ハハハ…」


「……」



ソフィーの隣に座り、大木にもたれかかる。かなり青い顔をしていて、疲れているように見える。無理も無い。


マールがナイフに<治癒>をかけているから比較的体力の回復も速くなっているはずだ。


それでも、少し横になったほうが良いかもしれない…



「ねぇソフィー、少し横になったほうが良いと思うよ?」


「すみません、こんな所で…」


「仕方ないよ、少し休んでから進もう。」


「はい…」



そう言ってソフィーも木にもたれかかる。と、思ったらそのまま俺の肩に頭を乗せて来た。


息が荒い。それに汗のにおいに女の子特有の甘い香りも混じる。…正直少し緊張してしまった。


だが、そのまま特に何事も無く2人でただ押し黙り続ける。聞こえるのは風と梢が奏でる音のみ。


穏やかな時間が流れる。



「とりあえず、北らしき方向に来たけど、合ってるのかな…」



ふと不安になりつぶやく。



「おおよそではありますが、合っていると思います…。この大樹は地図に載っていますので。」



そう言ってソフィーが肩にもたれかかっていた頭を離す。


…少しホッとするが、涼しくなった肩にちょっと寂しい感じもする。


そうこう考えている内に、ソフィーが腰につけていたポーチを開き、中から地図とコンパスを取り出し広げる。



「…都合の良いことに、この大樹は以前から行われていた討伐で地図に記されています。目立ちますしね。っと、ですから現在地はここですね。…そしてこれが神殿。」



と、指を指す。 …地図上ではそれほど神殿と離れていないように見える。



「目的地はここからずっと北北西に向かって行って…まずはここの、森を抜けてすぐにある村落を目指そうかと思います。」



…先ほど指した現在地と神殿の距離と比べて、ざっと見ても5〜6倍はある。



「暫くはさっきみたいには走れない。長い道中になりそうだね。」


「そうですね…」


「不安?」


「当たり前です…モンスターが居るんですよ?」



モンスターかは分からないけど、道中ででっかいネズミやメタリックなイノシシは見かけていた。


かなりの速度で走っていたので追って来れなかったようだが。


そういえばモンスターがどういうものか知らない。念のため聞いておこう。



「モンスターってどんなのなの?」


「そうですね、説明しておいた方がいいですよね。」


「お願い。」


「そもそも、モンスターと言うのはですね………

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ