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最高に可愛い童顔令嬢は、最強の守護者達に守られている  作者: 文月みい


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初めての招待

「二人共、とても似合っているね。最高に可愛いよ。」


 今日は、お父様のお兄さんの娘が5歳の誕生日を迎えるので、家族で誕生祝いに招待された。


 子供たちが参加するため、余り格式張ったものではなく、気軽に参加して欲しいと招待状にも書かれていたので、僕たち双子も初めての招待を受けることになった。

 

(初めての他家との交流。敵になりそうなやつが居ないかチェックしておかないと。)


 この世界で、初めての社交に緊張するけれど、本だけでは知り得ない情報も得られるかもしれない。


 それに、今日は僕もリリも正装だ。僕は白のズボンに青いジャケットで、紫のクラバット。


 リリは、薄紫を基調としたドレスに、リボンがたくさん付いていて、動くとヒラヒラと裾が舞い、とても似合っていて可愛い。

 髪もハーフアップで普段よりふんわりさが増した巻き髪に、金と青色の蝶の髪止めが、さらに可愛さを強調している。


「可愛い私達の天使ちゃん達。そろそろ行きましょうか。」


「そうだな。それじゃあ、行こうか。二人共、お父様達から離れちゃいけないよ。」


「「はーい。」」


 生まれてから殆ど外出したことはないので、馬車に乗るのも初めてだ。


 お父様のお兄さんだから、僕達の伯父になるのか。伯父に会ったことはあると言っていたが、覚えていない。ほぼ初対面の様なものだ。従姉と会うのは初めてだ。一体どんな子だろう。


 馬車でかなりの時間移動して、やっと目的地に着いた。馬車移動って思ってたより大変だな。道が悪いと、かなり揺れてお尻が痛い。移動だけで疲れてしまった。


「リリもユーリも大丈夫かい?」


「はい、ちょっとお尻が痛いけど大丈夫です。」


「リリも、へいきでしゅ…で、す。」


 ちょっと噛んだリリも可愛い。疲れも吹き飛ぶ可愛さだ。

 

「ハハハ、そうか。二人とも初めての外出なのに凄いぞ。じゃあ、伯父さん達に会いに行こうか」


 馬車の扉が開くと、お父様が先に降りて、お母様をエスコートする。次に、お父様が僕たちも降ろしてくれた。


 出迎えてくれたのは、お父様よりも体の大きな男性で、まるで熊さんのようだ。隣には優しそうな女性が立っている。


「おお、久しぶりだな、テオドール。今日は娘の為に来てくれてありがとう。」


「お久しぶりです兄さん、義姉さんもお元気そうで何よりです。君がアンナマリーかな?お誕生日おめでとう」


 お父様が、伯父と伯母の間に立つ女の子に向かって、声をかける。

 アンナマリーと呼ばれた女の子は、顔を真っ赤にしながら、お父様をじっと見つめていたが、声をかけられてハッとしたように、挨拶を返した。


「は…はい、アンナマリーと申します。今日は私の為に、あの…来てくださってありがとうございます。」


 辿々しく挨拶し、恥ずかしそうに頬を染めている。


 お父様は格好いいから、見惚れるのも仕方ないけど、ここには、僕たち双子もお母様だって居るのに、お父様に釘付けで、他は目に入ってないようだ。


「テオドール、この子達が噂の双子か?前に会ったときは赤ちゃんだったからな。随分大きくなって、噂通り可愛い子達だな。」


 どんな噂か気になるが、まずは、印象良く挨拶からだ。


「ご機嫌よう、伯父様、伯母様。そしてアンナマリー嬢も、本日はお誕生日おめでとうございます。私は、ユーリアス・ゴルドリッチと申します。よろしくお願いいたします。」


 次にリリが、ドレスの裾を軽く持ち、練習したカーテシーを披露する。


「ごきげんよう、おじちゃま、おばちゃま、アンナマリーしゃ…さ、ま。わたしは、リリアーベル・ゴルドリッチともうちまちゅ。よろ、しくおねがいち…し、まちゅ。」


 リリの挨拶を見て、アンナマリー嬢がクスッと鼻で笑った。少し嫌な感じだ。


 それにしても、リリ。挨拶しただけなのに、可愛すぎて、ギュッてしてあげたい。挨拶の練習頑張ってたからな。あとで、たくさん褒めてあげよう。


「二人とも、まだ3歳なのに立派な紳士淑女だな。ユーリアスは、まだ3歳なのに言葉遣いも素晴らしいし、リリアーベルのカーテシーも幼いながら、完璧だったぞ。」


「そうだろう。二人とも天使なんだ。」


 そんなお父様達の会話に、お母様と伯母様が、クスクスと笑っている。


「さあ、それじゃあ、ここからは、堅苦しいのは無しで、家族だから気楽にいこうか。」


 ガハハハと、豪快に笑いながら伯父様に案内されて、屋敷の中へと入る。

 今日は、子供達が多いため、ガーデンパーティーらしい。


 主役が登場して、パーティーが始まる。集まってる子供達は、アンナマリー嬢と同じ年の子が殆どなので、僕たち双子が一番年下みたいだ。


「ユーリ、どこにもいかないでね」


 いつもは、活発で人見知りなんてしないのに、珍しくリリが大人しい。

 初めての場所に、初めての人ばかりで、流石のリリも緊張してるようだ。

 僕も少し緊張しているが、リリを守るため気合いを入れる。


「大丈夫だよ。リリの隣にいるからね。手を繋いでいたら怖くないよ。」


 僕は、リリの手を握った。リリもギュッと握り返す。離さないと言うように力が込められていて、リリの不安が伝わってくる。


 誕生パーティーも半ばを過ぎ、それぞれ、子供達も自由に遊び始めている。


「ユーリもリリも大丈夫?疲れていない?」


 お母様が、僕達の様子を見て声をかけてくれる。リリが珍しく大人しいので、お母様も気になるようだ。


「僕は、大丈夫です。でも、リリが疲れてるかも。」


「そうね。少し休ませてもらいましょうか。」


「いい。リリも、だいじょうぶよ。」


 リリが、笑顔で首を振るが、いつもより元気がない。


「そう?それなら、あそこに座っていて。今美味しいジュースを貰ってくるわね。お花も綺麗ね。ベンチに座ってユーリとお花を見ながら、待っていてね。」


 お母様が、少し離れたところにあるベンチを指差す。


「わぁ、きれいなおはなが、たくさんね。ユーリいってみよう。」


 大好きな花を見て、少し元気になったみたいだ。二人で仲良く花を眺めていると、突然後ろから声をかけられて、リリの肩が後ろに引かれる。転びそうになったのを、手を引いて何とか回避する。


「ねぇ、あなた、さっきの挨拶…プッ。まるで赤ちゃんみたいだったわね。ゴルドリッチともうちまちゅだって、プッ、アハハハ。」


 そこには、アンナマリー嬢と、その仲間らしき令嬢が、ニタニタと嫌な笑いを浮かべながら数人で立っていた。

 

「あなた本当に3歳?うちの1歳の弟みたいに話すから、赤ちゃんかと思ったわ。ほら、何か話してみなさいよ。」


 こいつら、僕達が年下だからって嘗めてるな。リリを侮辱するような物言いに腹が立って言い返そうとすると、リリが前に出た。


「リリは、赤ちゃんじゃないもん。まだうまく、はなせないこともあるけど、ちがうもん。」


「なによ、生意気ね。ねぇ、あなた、ユーリアスって言ったかしら、そんな赤ちゃん放っといて、こっちでお話ししない?今なら、わたしと仲良くなる権利をあげるわよ。」


 誰がお前みたいな性格ブスと仲良くなりたいと思うんだよ。絶対にそんな権利いらない!

 頬を染め、僕を見ているアンナマリーと、取り巻きに、反吐が出る。


「申し訳ありません。僕は、姉と一緒にいる方が楽しいので、僕たちのことは、どうかお構い無く」


 カッと真っ赤になったアンナマリーが、僕の手を強引に引っ張り、突然のことに対処できずに倒れてしまった。もちろん、僕と手を繋いでいた、リリも一緒にだ。


「…イタッ。リリ大丈夫?ごめんね。僕が手を離せなかったから、リリまで転んじゃった」


「だいじょうぶよ。ユーリも、ケガちてない?」


 転んだことで、折角のドレスが汚れてしまった。似合っていたのに、僕のせいだ。


「ユーリ、わたちは、だいじょうぶよ。へいきよ」


 ニコッと、いつもの笑顔をみせるリリに、胸が痛む。


「プッ、また赤ちゃん言葉。おっかしい。」


「わたちだって。フフ。変ね」


「赤ちゃんは、そろそろねんねの時間かしら。あなたのせいで、ユーリアスが私と話せないのよ。」


 目の前の悪意に、リリが傷ついた顔をする。


「リリに酷いこと言うのやめろ!僕は僕の意思で、リリと一緒に居るんだ。誰がお前みたいなやつと仲良くなりたいなんて思うかよ!お前こそどっか行け!」


 リリを傷つけられて、僕も黙ってなんていられない。余りの怒りに言葉が乱れるが、気にしてなんていられない。


「なんですって!ちょっと顔が良いからって調子に乗らないで!年下の癖に生意気よ」


 アンナマリーが、右手を大きく上にあげ、僕に向かって思い切り振り下ろした。

 咄嗟に目をつむる。


 バシンッ。という何かを叩く音が響いた。


(あれ?痛く…ない)


 恐る恐る目を開けると、目の前にリリが立っていた。


「わたちの弟にいじわるしないで!」


 頬を赤く腫らして、目に涙を溜めて、リリがアンナマリーに立ち向かっていた。


「ユーリだいじょうぶよ。ユーリは、わたちがまもるから」


 キッと、アンナマリーを睨んで、僕の前に立つリリが、凛々しくて格好いい。


 よく見ると、リリの体は小刻みに震えている。本当は、怖いはずなのに、僕の為に頑張っているリリに、胸を打たれて僕も涙が出てきた。


「あなた達、どうしたの!何をしているの!」


 飲み物を取りに行ったお母様が、騒ぎを聞きつけて、急いで戻ってくる。


「お母様、リリが…リリが…僕を庇って殴られた。うわーん!リリが…ふあーん。ごめんね、りり、ごめんね。」


 お母様の姿を見て、安堵した途端、涙が溢れだす。


「ユーリ、なか…ないで。リリは、へいきよ。だから、ないちゃ、やぁ…ふぇーん…」


 お母様が、直ぐに、僕達を見て、抱きしめてくれた。


「二人とも、もう大丈夫よ。」


「ユーリ、リリ、どうしたんだ!二人とも泣いて。何があったんだ」


 お父様も急いで僕たちの元へと駆け寄ってくる。

 それからも、僕たち二人が泣き止まないことで、僕たち家族は、そのまま帰宅することになった。


 家に帰ってから、事情を聞いたお父様達は、勿論、激怒した。相手からも後日、謝罪の手紙や会って謝りたいと連絡が来たようだが、僕は拒否した。

 アンナマリーとは、一生会いたくないと言うと、お父様達が、対応してくれた。


 そして、リリはあの日から人前で、あまり話さなくなり、部屋に閉じ籠る日が多くなってしまった。


 リリを守ると誓ったのに、リリを守れなかった上に、逆に僕が守られるなんて…最低だ。


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