再び○○○
選んでくれてありがとうございます。
再び、お食事中の方すみません
「エイッ!ハッ!エイッ…」
僕は現在、ビッガートル家の庭で、日課である剣の素振り中です。
4歳で剣の訓練を初めて、もうすぐ1年。まだまだ修行中の身ではありますが、周りの大人からは天才と呼ばれている。
''魔法のリリ、剣のユーリ''と、二人合わせると今のところ負け知らず。
同世代で僕たち双子に敵う相手など、いないと思う。
以前は美形の双子ちゃんと呼ばれていたが、美形で天才の双子と言うことで、今は美天の双子ちゃんと呼ばれている。
すっかり魔法研究に目覚めたリリは、日々新しい魔法を考えているが、その中でも剣に魔法を付与する方法を作り出した。
但し、今のところリリにしか出来ない神業だ。魔力をかなり消費するらしく、普通の人は、付与すると魔力欠乏で倒れてしまう。
それに、剣の腕が未熟だと、魔法付与した剣に対応できず、逆に自分が怪我をしてしまう。
今のところ、魔法を付与した剣を使えるのは、お父様みたいな師団長クラスの人達や、僕もリリの魔法と相性が良いので使うことが出来る。
まぁ、天才少年だから当たり前…と言いたいが、日々の努力の積み重ねで此処まできたんだ。もっと高みを目指して、お父様を超えられるように鍛練あるのみ。
それに、せっかくリリの魔法が付与されているのに、それを使えないなんて、僕にとっては死よりも辛いことだ。
そんなことが無いように、どんな時も剣の訓練を優先する。僕は常に努力を怠らない。
「ねえ、ユーリ凄いものを見つけてしまったわ。」
素振り300回目に到達する直前、リリが神妙な面持ちで僕のところにやって来た。
剣よりもリリが大事。リリの事はどんな時も優先だ。例え、もうすぐ目標の300回に届きそうでも、手を止めてリリと向き合う。
リリの普段とは違う表情に、何かあったのかと身構える。
「あのね、人ではないと思うの。たぶん動物の物だと思うんだけどね。大きさが…凄いの。きっと、ユーリも驚くはずだから、まずは落ち着いてね。」
少し前に似たような事を、僕自身が思った気がする。手を引かれてリリについていく。
少し離れたところに、白い塊が見えてきた。
まさか…?
「あれ、白い巻きう○ち。見たこと無いくらい大きい巻きう○ちでしょ。何の動物のだと思う?この前、馬や牛さんのう○ち見たけど、巻いてなかったし、白くもなかったの。魔獣が近くに居るってことは無いよね?ユーリどうしよう。」
あれは、アレだな。色が違うけどアレに違いない。
「リリ大丈夫だよ。魔獣の巻きう○ちでは無いよ。そもそもあれは、巻きう○ちでは無いからね。」
僕が投げ飛ばして後、王都から此処まで来たのか?いやでも、色が違うから別物か?この世界では、アレは、何処にでも居るものなのか?
「巻きう○ちじゃないの?えっ?えっ?それじゃあ、誰かが落としたソフ…」
「リリ!ストッープ!それ以上は言ってはダメだよ。」
僕の慌てた声に、リリがビクッとして固まった。リリの言葉を途中で遮るなんて、万死に値するが、今は仕方ない。
「ちょっと、ここで待ってて確認するから。」
僕は、木刀を持ち直し白いアレに近づいた。
すると、グニョッと少し動いて、先端がニョキっと出てきた。
「「あっ…」」
白いアレと目が合った瞬間、お互い一瞬、硬直する。次の瞬間、白いアレの目がクワッと見開いて、僕に飛びかかってきた。
「お前!あん時のクソガキじゃないか!よくもぶっ飛ばして…」
「イヤ!だからムリィィィ!!」
僕は、持っていた木刀を上から下に振りおろした。
「…っ!ギャー!死んじゃ…う…。」
振り下ろした木刀は、見事にアレの頭へヒットして、ぐでっと力無く倒れて気を失った。
「えぇぇ!ユーリ大丈夫?一太刀でなんて凄いけど、これっていいの?何か言ってたよ、この蛇さん。」
「心配ない。ちょっと気絶しただけだよ。たぶん…。」
さて、これからどうしようか。この蛇は、僕の事を知っていたから、以前見た金色の蛇と同じ個体だ。
何故こんなところに居るのか?
はっ!まさか…リリが天使だから追いかけて来たのか。ストーカー蛇なのか。
それなら、やっぱりリリが危険だ。今すぐ排除しなければいけない。
うーん…でも、白蛇も前世では吉兆の兆しとか言われて、神聖な物として扱われて居たような。
これで2度目だし、シナリオ的な何かと関係があるから、再び出会ったのか。
でも、前回は僕との出会いだったから、僕に必要なイベントなのか?
うわぁ、どうしたらいいのか判断できない。
「思い詰めた顔をして、ユーリなんだか怖いよ。私たちじゃ、どうしたらいいか分からないから、誰か呼んでくる。待っててユーリ」
リリが、屋敷の方へ走り出す。大人を呼んでくるのか。
そうだった。こういう時は大人を頼ればいいんだった。まだ、甘えるのに慣れてないから、一人で決めようとしてしまう。
僕の周りには信用できる大人が沢山いるんだ。素直に頼らせてもらおう。
―――結論から言おう。この人に頼ったのは間違いだった…のでは?
「えー!白い蛇なんて珍しい。俺初めて見たよ。ユーリが木刀で殴って気絶させたの?やるなユーリ。へえ、言葉を話してたの?ふーん、それじゃあさ、そのまま連れて帰ろうよ。珍しいし言葉を話すペットとか欲しかったんだよね。あっ、ペットは失礼かな。」
そんなに簡単に連れて帰っていいのか?危険なものと警戒しないの?これが、大人の余裕なの?
なんだか真剣に考えてた僕がバカみたいだ。
「リック兄様、白い話す蛇だよ。警戒しなくてもいいの?リリに何かあったら僕は…」
「何かあった時に、どうにかしたらいいんだよ。ユーリが木刀で殴ってもいいし、俺が魔法でちょちょいってしてもいい。リリも魔法使えるから、いざとなれば魔法で退けよう。まずは、面白そう…いや、放置出来ないから屋敷に連れてこう。」
今、面白そうって言ったよな。ああ、リリもリック兄様の言葉で、蛇に興味持ったぞ。
適当過ぎて、この大人を信用していいのか不安だ。
♢♢♢♢
「あっ!目を覚ましたみたい」
白蛇が、ゆっくりと頭を持ち上げた。まだボーとしてるのか、キョロキョロと周りを見渡してから、はっと気づいたように、とぐろを巻いた。
「お前、こら、クソガキ。二度も私を殴って許さないんだからね!」
目に少し涙を浮かべて、半泣き状態で僕に対して威嚇する。
あれ?あまり怖くないかも。弱そうだな。
「クソガキ!今、何か失礼なこと考えたな。こっちこい!噛みついてやる!シャー」
「こらこら、俺の可愛い甥に何かしたら、こっちも攻撃しなきゃいけなくなるからね。大人しくしようね。白蛇さん」
リック兄様が、ニコッと笑ってそう言うと、白蛇は「ピッ」と鳴いて、大人しくなった。
「あの、この前も今日も殴ってごめんなさい。だけど、不審者…不審蛇がいたら、警戒してしまうのは仕方ないと思うんだよ。君は、ここで何をしているの?僕を追いかけてた訳じゃないよね?」
「強い魔力を感じたから来たんだよ。」
強い魔力?意味が分からなくて、首を傾げると、蛇がリリを尻尾で指して言った。
「あの子から、魔力が漏れてる。あの子の魔力は暖かくて気持ちよくて、傍にいると私の力も強くなるの。だから、魔力に引かれて来てみれば、あなた達が居たのよ。」
「君は、彼女の魔力を吸収出来るのか?」
リック兄様が、急に真剣な顔になって、白蛇に詰め寄った。
「そうね。あの子の魔力を分けてもらって自分の力にするのよ。でもでも、全部貰う訳じゃないわよ。少しよ少し。だから、攻撃するのは止めてよ」
白蛇が、怯えなからリック兄様の様子を伺う。リック兄様は、そんな白蛇に大笑いして、そっと手を差し出した。
「アハハ、そんなに怯えないで、攻撃なんてしないよ。それより、君にお願いがあるんだ。君にとっても良いことだと思うよ。この子の魔力をあげるから、契約してくれないか?」
契約?それってどういうことだ。危ないことじゃないよな。
「リック兄様、契約って何?どういうこと?」
リック兄様は、嬉しさと喜びで興奮気味に説明してくれた。
「まず、この蛇さんは精霊様なんだよ。それでね、さっきリリの魔力を吸収するって言ってただろ?蛇さんが魔力を定期的に吸収してくれたら、リリの魔力過多症が軽減する可能性があるんだよ。」
リリの魔力過多症が良くなる…?
「余分な魔力を蛇さんが貰ってくれたら、蛇さんも力が増すし、リリも魔力が制御しやすくなって、発作も治まると思うよ。それには、契約する方が都合がいいんだ。どうかな?」
リック兄様が、白蛇と僕たち双子を交互に見て、返事を待っている。
「私は、魔力が貰えるなら契約してもいいわ。あなたの魔力は最高だもの」
「私…私も、体調が良くなるなら契約してもいいよ。」
リック兄様とリリが、僕の言葉を待つ。
「リリの為になるならお願い白蛇さん。」
リック兄様が、僕たち双子をギュッと抱きしめて、頭を撫でる。その顔は、優しい笑顔で満ちていた。
やっぱり訂正しよう。リック兄様に頼ったのは、正解だった。
「それじゃあ、血の契約をするよ。リリ少しチクッとするけど我慢してね。あっ、精霊様、彼女の名前はリリアーベルだよ。リリアーベルは、白蛇さんの名前を決めて呼んであげるんだ。」
「私、光の精霊は、汝リリアーベルと契約し、共にあることを約束しよう。」
「私リリアーベルは、光の精霊に名を与え契約する。貴方の名前は、ルミナにするわ。よろしくね。ルミナ。」
リリが言葉を言い終わると、リリの体とルミナの体がキラキラ煌めいて、辺り一面リリの魔力で満たされる。
すると、ルミナの体が白から金色に変わった。
「これで、契約成立ね。よろしくね。リリアーベル。素敵な名前をありがとう。」
初めに会った時と同じ金色の体になったルミナは、あの時よりも光輝いて見えた。
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