太陽に憧れた雨男
今思い返してみても、随分と中身の濃い三年間だったと思う。おそらく、俺のまだ短い人生の中では、トップクラスに充実した年月だった。勉強は勿論、部活も、そして恋も。青春なんて言葉、俺とは一生、縁が無いと思っていた。だが、薔薇色の人生という奴も、意外と悪くないものだったと思う。……いや、薔薇色というよりは、玉虫色のような、もっと複雑で、もっと色とりどりの生活だった気もするが。
そんな荒波の中にいたからか、高校に入ってからというもの、外見は大分和らいで、昔の姿に戻りつつある。昔の、まだまっすぐだった頃の俺に。
でも、中身は昔のまま。あんまり変わっていない気がする。
人は“永遠”を求めるが、俺はそんな物は要らない。少しの間だけでも、俺を信じ、俺と一緒に居てくれる人がいる。
それだけで、十分だとは思わないだろうか。少なくとも、俺はそれで満足だ。
俺は雨が嫌いじゃない。――それは今も変わらない。雨の日は雨の日で、風情があって良いものだ。
俺は太陽が好きじゃない。――それは違う。俺は太陽も、嫌いではない。まぶしくて見えはしないが、日の光にあたるのは気持ちが良い。
今となっては、嫌いな物はほとんどないかもしれない。どうして毛嫌いしていたのか分からないものも、沢山ある。否定するのではなく、とりあえず受け入れてみる。その姿勢だけは確かに、身に付いた得難い財産かもしれない。
そして――“嫌いではない”という事は、どうやら俺にとっては、“好き”という意味らしい。
今までは、誰かに守ってもらうばっかりだった。これからは俺も、誰かを守れるような、そんな人間になれると良いな。
*
ぱたんと、俺は卒業アルバムを閉じた。あの高校で過ごした日々が俺の原点であり、今の居場所を作ったと言っても過言ではない。だからこうして、たまに昔を振り返ったりもする。
自分の意志を、決意を、再び強固なものとする為に。
「さぁ、じゃあ今日も頑張りますかね」
そうして俺は、黙々と仕事にいそしむ。一つでも多くの事件を解決する為に、一人でも多くの人を、救えるように。
もっとも、解決しているのは、俺じゃ無かったりするんだけどね。
これにて本当に、文芸同好会の、綾野怜文の物語は終わりです。
以前よりも青春していたと思うのですが、いかがでしょうか?
最後の文章は、実はこれから書こうと思っているとある作品に繋がっていきます。
ですので、今は何を言っているのか分からないと思いますが、後々この謎は明かそうと思っております。
そんな訳で、またどこかでお会いする日があると思います。
その時はどうぞ、よろしくお願いいたします。




