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太陽に憬れる雨男

この小説は一度完結させましたが、2012年8月に全面改稿させていただいております。

内容等そこまで変化はないかもしれませんが、よろしければまたご覧になっていってください。

新しいエピソードなんかも追加し、より青春っぽくなっているかと思います。


 俺は、雨が嫌いじゃない。

 何故か。それは、俺が太陽の光を苦手としている事に関係がある。

 だって、よーく考えてもみてほしい。ガンガンに照りつける日差しの中、何の目的がある訳でもなくただ汗を流して走り回る……。小学生の頃までは誰もが行っただろうそんな経験を、俺は幼稚園生の時に、すでに無駄だと思った。そんな事は労力の浪費だ、そう切り捨てた。その考えは、今も変わらない。

 よって俺は周りから白い目で見られ、だんだんと孤立していった。唯一裏切らずにずっとそばにいてくれた友達は、本。たった、それだけ。

 さらに、そういう生活を送っていたからか身長は全く伸びず、肌も女子が羨むほど白くなってしまった。当時の俺に“太陽光を浴びないと成長が促進されない”という知識があったのなら、せめて外に出て、木漏れ日差すベンチで読書にいそしんだかもしれない。だが生憎と俺の友人は、本は本でも小説。それも推理小説オンリーだった。知識が偏ったり、同い年の子どもと話が合わなかったのは、そりゃあ当然の事である。という訳で、半ば自業自得のような形で、より一層仲間外れにされる要素を、俺は知らず知らずのうちに獲得していったのだった。

 そんな外見でも、小学生のうちは、それでもまだ何とかなった。こんな俺でも、守ってくれる人がいたからである。

 しかし中学生になり、その子が親の都合で転校してしまってから、俺の人生は狂った。思い出すと吐き気がするから詳しくは書かないが、そりゃあもう酷いものだった。昨今「いじめ問題」というのが取り沙汰されるようになってその実態は明らかになりつつあるが、現実はもっと残忍であると声を大にして言いたい、とでもほざけば、何となく察してもらえるだろうか。大体、あれはいじめではなくて暴力だ。犯罪の域に達しているのにも関わらず、どうして親も教師も世間も、いじめなどという甘っちょろい言葉でお茶を濁すのか。理解に苦しみはすれ、結局誰も、何も俺を助けてはくれなかったから、どの道変わりはしないのだけれど。

 それでも、俺は毎日休まず学校に通った。それは、それだけは、何が何でも果たそうと誓った――俺の最後の意地だったから。なけなしのプライド、と言い換えても、それはあながち間違いではないだろう。

 それに、苛めも慣れてくると、段々対処法が見えてくるもので。中学在学中に、俺は亀の守りやアルマジロの盾など、いろいろな防御策を編み出した。対抗策では無く防御策という所がみそである。まぁそんな俺の努力の結晶も、三年になり自分の将来に集中し始め、俺なんかに構っている時間が惜しくなってからは、必要無くなったのだが。……とはいえ完全に消えた等という都合の良い事はありもせず、時折ストレス発散の為のサンドバックにされる事はあったけれど。まぁ、所詮その程度だ。

 そんな“激動”とも言える人生を送ってきたからだろうか。身長以外の外見は、三年間で全て変わってしまった。眼光は鋭く、目の下のクマは消える事を知らず、頬はこけ、体には脂肪と呼べるものはほぼなく、筋肉も必要最低限にしかついていない。俺の事をサンドバックにしていた連中は影で“ゾンビ”と呼んでいたらしいが、成程、言いえて妙である。

 人は見た目が九割、という言葉を実感したのはその頃。奴等の暴力をかいくぐり、隙間を縫うようにして猛勉強した結果、見事希望の高校に合格した俺は、以前とは違う意味で周囲に“ひかれて”いった。

――関わったらヤバい。

という雰囲気を、感じ取ってくれたのだろう。流石、県下トップ三の学校。あんなお世辞にも評判が良いとは言えない中学から、苦労して入った甲斐があったというものだ。

 俺はここでも、周囲と友好関係を築くことなく、三年間を終わらせる。強いて言うなら、また同じ事は繰り返さないように、適当に周囲と同化し、波風を立てる事無く、平穏無事に卒業する。そういうつもりだったのだ。

 “晴れ”より“雨”が好きな人間で、居続けるはずだったのに……。

 それが何故か、何人もの個性豊かな面々との出会いによって、すっかり変わってしまった。俺を形作っていたものが、あろう事か根底から、ひっくり返されてしまったのである。


 これはそんな俺、(あや)()(れい)()の高校生活三年間を、ひょんな事から所属する事になってしまった文芸同好会の活動と共に、ざっくりと思い返す物語。


二年ぶりで今更感は漂っておりますが、「文芸同好会」復活でございます。

前回この話を掲載した時は、僕はまだひよっこというより卵でして、短編をどかどか放り込む事しかやっていませんでした。

それが何本か書いていくうちに少し慣れてきまして、こうしてきちんと改稿しようと思い立った訳です。


今回の改稿は、プロローグとエピローグをつける事、並びに今まで投稿してきた作品を手直しし、より繋がりをもたせる事、に重点を置きました。

ただ、それだけでは以前に読んでいただいた方に申し訳ないので、新作を一つ追加しまして、この文芸同好会のシリーズに今度こそ、幕を引かせていただきたいと思っております。

個性豊かな面々達を、どうぞよろしくお願いします。

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