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姉だって甘えたい。

エステル=私なんだけど

どうやら「馬鹿」が原因で

この国の皇太子に

公開婚約破棄をされたそうだ。


可愛いメイドのリリアが

「あんな男にエステル様はもったいないですぅ」

と、涙と鼻水でぐちゃぐちゃの顔で教えてくれた時、

思わず笑ってしまった。


婚約破棄の原因が馬鹿だから……


「エステル、なんて親不孝なの!!」


貴方のお父様は宰相だよ。

頭がよくなきゃ、

なれない仕事だよ。

それなのに…… 

肩身狭いだろうな。


こうなったら、

見せてやろうじゃないの。


貧乏子沢山の長女。

私は自分で言うのも変だがかなり優秀だ。


子沢山の長女、

それは家族の広告塔だ。


私が馬鹿だと、他の弟妹も同じように思われる。


だから頑張った。

高校も県立の進学校。

アルバイトの許可をとるため、成績は上位をキープ。弟妹の宿題を教える日々、そんな私が馬鹿とは…


教材をベッドに持ち込んで

勉強する事、6日目。

家にある教材全てを終わらせた。


まさか、上級生の兄の教材までリリアが持ってくるなんて……

これが大きな騒ぎになるなんて思いもしなかった。



足の怪我もなおり

いざ学園へ。


「学園など行かなくていい」と父は言うけど、

それは駄目だ。


「大丈夫です。」

キッパリと断る私に、両親はオロオロするばかり。


「でも……」

何か言おうとする母を制して


「お母さん、

何かあったら

倍返ししてきますので

心配はいりませんわ。」


最近では条件反射のように

この国のマナーや言葉使いが自然に出るようになった。


馬車に乗ると、

兄が先に待っていてくれた。


学園は8年制で、

初等部が2年

中等部が2年

高等部が4年

となっている。


学業が優秀だと飛び級や

専門課程へと進学できる。


そして今日は高等部全学年の模試の日だ。


学年問わず同じ模試を受ける。

成績によって、飛び級や専門課程への進学も可能だ。


「見返すにはもってこいだと思うのだが?」


4日前、兄に提案された時

何故だか嬉しかった。

兄は私を信頼してくれている事が、本当に嬉しかったのだ。


兄と一緒にテスト会場へむかう。

まだ少しだけ

足を引きずる私に合わせて

兄はゆっくりと歩く。


弟妹には甘えられはしたけど、甘えることはできなかった。


両親も仕事や小さな弟妹の世話に追われている姿を見ているからか、素直に甘えられなかった。


だから今、反動からか

私はかなり兄に甘えている。


「もしお兄ちゃんより

成績が良かったら遊びに連れていってね。」


「俺より出来たならな。」


「約束だからね。」


「ハイハイ。」


周りの目は

あからさまだけど、

まだ想定内だ。


まだ見ぬ皇太子、

覚悟しておいてね。

お姉ちゃんは強いのだ!!

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