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何はなくとも腹は減る
「ふっ、知ってたけど…」
目が覚めても
そこはロマネスク。
無駄が多いわ。
まずはベッドを取り囲む
レースのヒラヒラ。
邪魔だし、風通し悪くて最悪。
後、このパジャマ
所々にリボンやらレースやら引っ付いていて、くすぐったい。
何より、部屋が広すぎる。
6畳で妹2人、計3人で過ごしていたからか余計にだだっ広いのだ。
ノックの音がする。
メイド服を着た女の子がカートを押して入ってくる。
「お嬢様、お顔を拭きますね。」
そう言って
私の顔にホカホカのタオルを優しく押しあてる。
待て待て待て……
私は赤子ではない。
「自分で出きるわ。」
私はタオルを奪うと顔をゴシゴシと拭いた。
カートを見ると手鏡が置いてある。
私はそれを手にして
自分の姿を見る。
「えっ~何これ
すごく綺麗なんですけど」
鏡の中には
銀髪で透き通る肌をした
すごく綺麗な女が映っていた。
ギュルギュルギュル……
私はメイドさんにたずねる
「お腹減ったんで、ご飯まだですか?」
何はなくとも腹は減るのだ。