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Go my own way ~無限のパラレル~  作者: あずきなこ


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 無事開店初日を終え、俺はいつものように一人山盛りのご飯と近所のおばあちゃんが作って売っている漬物屋で買ってきた数種の漬物とともに至福のディナータイムを過ごしていた。言い忘れるところであったが、昨日作った豆腐とわかめの味噌汁もちゃんと添えてある。


 しっかりすべて腹に収め満足していると、リュートがトリーを訪れた。


 「あ⁉遅かったか~やっぱシオンはシオンだな」


 彼はそう言いどう見ても二人分はあるチャーハンと餃子を目の前で食べ始めた。


 「リュート、お前はその量を一人で食えるのか?俺は腹一杯だが、あのよくわからん無駄にデカい銅像の先にある道をまっすぐ行って突き当りを右にいったところにある店のチャーハンと餃子なら別腹だ」


 だから見た目が俺の推す店のチャーハンと餃子のようだったのでそう告げたところ、やはり正解だったのだが彼は相当腹が減っていたらしく、今のところ完食できそうだからと別腹案件は却下されてしまった。


 そして本当に二人分のチャーハンと餃子をきれいに平らげたリュートは残ったビールを飲み干し唐突に「で、今日はどうだった?」と切り出した。


 「ん?あ~店のことか?昼頃開けたらモモの両親、伯爵夫妻と次期伯爵のお兄さんが待ち構えていてびっくりしたが、なんか普通に見て回って楽しそうだったな。忙しいのかすぐに帰っていったがとてもよい店だとお褒めの言葉も頂戴した。そのあと通りすがりの人たちが何人か立ち寄ってくれてなんといくつかの土産品がすでに売れたぞ」


 「そっか。それはよかった!お前の従兄弟のセンスが良くて、実際俺も欲しいものがあったからな。しかしあれだけいいものが揃っていてもお前にとってはどれも不要品なんだよな?それがすげ~面白くもあるが」


 俺だって従兄弟からの土産物はどれもすべてよいものだとわかっているが、単に今の自分には必要ないので大切に保管しておいたというだけである。そしてもしも食べ物や飲み物の類ならそれらを好む人に譲り喜んでもらうというのが俺の流儀だ。


 「単に今の俺には必要なかっただけだから、もしかしたらいつか必要になるかもしれないだろう?でもその日が来るのかはわからないからそれなら今必要だと思う人たちに持っていてもらうほうがいいと思ったんだ。それに今日気づいたんだが、品物を手に取って眺めている人たちは皆、その品物と会話しているようにも見えた。あの光景にはなんか癒される」


 俺はそう言いながらもそろそろリュートのラストライブがあるのでは?とそんなことがふと頭をよぎった。


 「で、そういえばお前のラストライブはそろそろだろう?」


 だから続けてそう尋ねてみた。


 「ん?あ~そうだな。明後日だ。本当は明日ここに来てシオンの顔を見ていつも通りの感じでライブに向かおうと思っていたんだが、それだと餃子はちょっと食えんと思って今日にした」


 どうやら彼は餃子を食いたかったが故に前日ではなく今日にしたらしい。


 「もしかして俺が今度来るときはあのチャーハンと餃子を買ってきてほしいと頼んだからでは?」


 だが同時に以前、そう頼んだ覚えがあり、まさかそのためにわざわざ今日買ってきてくれたのかと申し訳なく思っていると、いやいやと手を振りながらそれは違うと否定した。


 「確かにそんなお願いをされた気もするが、今日はマジで俺がチャーハンと餃子を食いたかっただけだ。一月に一度くらいは食べたくなるからな~」


 そう告げ苦笑した彼はすぐに真顔に切り替え「あのさ、明後日のラストライブなんだけど、実はシオンを含めた皆の席を取ってあるんだ。でもやっぱお前は来ないよな?」とものすごくか細い声でつぶやいた。


 「マジか⁉ホントに俺たちの分のチケットを取ってくれたのか?なんという幸運!今すぐモモたちに連絡しなくては!」


 なぜか自分にとって大事なことは決して聞き逃さない俺は、今すぐモモに連絡しようと携帯を取り出したがリュートに止められてしまった。


 「モモたちには先に連絡してある。で、俺がシオンに今日直接聞くからとも言ってある。でもお前は興味がなければ絶対に来ないから多分断られると思ってた」


 最後のライブなので皆に観に来てもらいたいと考えた彼は全員分のチケットを用意したそうである。どうやら早いうちからファンクラブと一般、両方でチケットの争奪戦となっており、特別にメンバーの家族用として申請した分のみ確保できたようだ。


 「確かにそうなんだが、ラストと聞けばさすがに行こうと思うだろう?でもモモたちがぜんぜん取れないって落ち込んでいたから諦めていたんだ。それなのにリュートが特別枠チケットをゲットしてくれていたなんてマジ助かった。この超ラッキーに感謝する!サンキュ!リュート!」


 俺がうれしくて喜んでいるのに、なぜかリュートの方がもっと喜んでいるようにも見えた。実際俺は最初で最後のドリームセブンに属するリュートのライブ参戦となる。


 「脱退を決めてからもここまでずっとドリームセブンのメンバーの一人として一生懸命やってきて後悔はないけれど、もっとこうすればよかったとか、あ~すればよかったみたいな感じのことはどうしても浮かんできてしまう。それでももう前に進むだけだと思いなおして次の自分の道のことを考えるようにしている。とにかく、明後日はドリームセブンのリュートとして思い切り楽しんで全部出し切るつもりだからシオンもそんな俺らを観て楽しんでくれ!」


 明後日はリュートの新たな門出を祝う祭りのようなものだ。

 俺ももちろん存分に楽しもうと今からワクワクしている。


 リュートが冷蔵庫から持ってきた缶ビールを受け取り勢いよく乾杯した。 

ここまでお読みいただきありがとうございました。

続きは来週投稿予定です。


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