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Go my own way ~無限のパラレル~  作者: あずきなこ


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 「ただいま!トリー!」


 俺は久しぶりに受けた買い物付添から帰宅した。

 腹が減っているので何か食いたいところではあるのだが、これからモモがここに来てくれることになっているので我慢しようと思う。


 が、しかし、我慢はできるだけしない質の俺はやっぱりこっそりカップラーメンでも食べて待っていようとお湯を沸かし始めた。ワクワクしながらカップラーメン置き場へと向かうと各地方のご当地ラーメンや昔ながらのシンプル系ラーメン等、かなりの数のラーメンがきれいにこちらを向いて並んで待っていた。


 俺は迷いながらも先日手に入れたばかりの麻婆豆腐ラーメンを手に取りウキウキと戻り、パッケージを外してお湯を入れようとしていたところで玄関から扉が開かれる音が聞こえてきた。


 「こんにちはトリー!おじゃまします」その声はモモである。

 なんというタイミングで来たのだと心底驚いているところへちょうどモモがキッチンへと入ってきた。


 「シオン?どうしたの?そんな固まって」


 「いや。モモがあまりにもすごいタイミングで来たから驚いて?」


 彼女は俺の手元を見て納得したように頷き「コソラーメンしようと思ってたんだね?」とつぶやいた。


 「コソラーメン?いや、これはネットで見て買った麻婆豆腐ラーメンだ」


 「そうね。でもコソコソと私が来る前に食べてしまおうとしていたでしょ?」


 そうか、なるほど。それでコソラーメンか‥‥

 って待て!となると、俺のコソ筋トレはコソコソしているわけではないのだから違うということになるのではないか?ではたま~にやっている筋トレということでたまき‥‥‥いや!それは語呂が良すぎて良くない!


 とにかく!今は素直にコソラーメンしようとしていたことを認め、モモもコソラーメンに誘ってみることにした。すると彼女はそれはもうコソラーメンではないし、これからおいしい唐揚げをたくさん作るので遠慮しておきますと断られてしまった。


 俺は手元の麻婆豆腐ラーメンを見つめながら一分ほど考えた末に、モモが作ってくれる唐揚げをがっつり頂くためにコソラーメンキャンセルを決断した。


 そして俺はいつも通り椅子に座って彼女が作業する姿をじっと見ていた。


 「モモはさ、いつも自分が手先が不器用って卑下するけど、俺には何でもいつも丁寧にやっているようにしか見えない。だからもう自分が不器用だっていうのは止めにしないか?」


 その時俺はふと彼女の口癖を思い出し、これまで自身の中では彼女を不器用だと思ったことがないと気が付いた。だからついそう口から出てしまったのであるが、彼女は世界中の人たち皆がシオンのような感覚をもっていたらどれだけ平和になるんだろうねと言って微笑んだだけだった。


 その後俺の大好物である唐揚げとポテトサラダが出来上がり、炊き立てのご飯と共に二人で頂いた。そして最近彼女が気に入っているというライムが入ったビールを俺も気に入りあっという間に飲み干し、二本目を開けたところで彼女が切り出した。


 「あのさ、この前ミクとメルがここに来た時に聞いたと思うけれど、実はメルと私も王子の婚約者候補に入っていたの。でも最初から私だけではなく、父や家族もそれはもう断固反対!っていう態度で断り続けていて、父なんて王に対してこれで王の権力を振りかざして婚約させようとするなら亡命も辞さないって叫んだらしいわ。とにかく、まだ王家からは正式な通達は何も届いていないのだけれど、父の予想ではうちとメルの家みたいな子爵家と男爵家がまだあるからそのどちらかになるのではないかって言ってる」


 ついに彼女の口からあの話題が出てきた。

 恐らく今の俺たちにとっては一番必要な話である。


 「そうか‥‥前に結婚の話をした時にはまだタイミングではないっていう意見が合ったよな?でも今改めて考えてみてモモはどう思う?正直俺は王子の話を聞いて焦って先にモモと結婚していればよかったと後悔していた。だがズルく聞こえてしまうかもしれないが、今モモからその話を聞いて安心したらやっぱりタイミング的にはまだ先のように感じてしまう。もしかしたらモモはこれを聞いて気分を害してしまうかもしれないが、これが今の俺の正直な気持ちだ」


 そう心配した俺をよそに、彼女は気分を害するどころか浮かれて調子に乗りそうだと微笑んでいた。それは俺が王子との話を聞いて焦ってくれていたことがとてもうれしかったからということらしい。そして自分がずっと一緒にいたいのはシオンだと言い、その上でやはり同じく結婚のタイミングは今ではないと思うとはっきり告げてきた。


 「前に話した通り、教室に通うのもあと三か月ほどで、その後は師匠について弟子として実践で学んでいく予定なの。本当に有難いことに師匠は私がメイクアップアーティストとして独り立ちするために来年は自分のサポートとして仕事についてもらうって言ってくれている。だから最低でも来年はそんな師匠の思いに報いるためにもサポートの仕事に集中したいと思っているわ」


 「時が経つのはホントに早い。今年もあと一月と数日で終わってしまう。俺もなんだかんだと自分で立ち上げた事業がうまくいって想像していたよりも毎日が楽しいんだ。実はこれから新たに始めようとしていることもあって、その話もモモにしようと思っていたんだ」


 俺は彼女に従兄弟から提案されたお土産転売屋の話をすることにした。


 「俺の従兄弟は仕事柄、ほとんど海外にいるんだがたまに一時帰国すると必ず俺にお土産を持ってきてくれるんだ。それで俺がそのお土産を自分の部屋の隣に仕舞っておいたら今は結構な数になっていてこの前それを見た従兄弟が全部売って稼ぎにしなさいって」


 「従兄弟さんがそう言ってくれるのならそうしたらいいんじゃないの?それに転売屋よりもセレクトショップって言った方がいいと思うよ。私はそのお土産さんたちを見たことがないからどんなものがあるのか知らないけど多分全部一点ものよね?しかも海外の品ってかなりいろんな人たちに興味を持たれる気がするよ?」


 それから俺はまず彼女に(お土産)を見てもらうことに決め、彼女を連れて実家に帰る予定を立てた。そしてそのお土産たちを見た彼女の第一声が「従兄弟さんすごっ!」であった。


 彼女によるとあまりにもセンスが良すぎて従兄弟自身がバイヤーとして買い付けたものを売る店を持てばきっと大成功するだろうと言った。


 俺自身も自分が使わないだけでよいものばかりだとずっと思っていたのでその言葉には深く頷いた。そしてその後、すぐに従兄弟に連絡を取ると、王都にいる知り合いが店舗となる物件の貸し出しを行っているから一度見に行ってみるとよいとその連絡先を教えられた。なので俺は近日中にはそこに足を運んでみようと考えていた。


 それなのになぜか今、俺の家には訪問者がいて、彼はここでその店をやればよいではないかと宣っている。


 訪問者の名はグレン。この家のオーナーであり、モモの父親であり、この国の王さえも黙らせることができる伯爵家当主である。


 

 

ここまでお読みいただきありがとうございました。

続きは来週投稿予定です。

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