蠢く奈落の牢獄
「…………………なんなんだ、ここは………まるで…魔界じゃないか……………」
その光景はモントレイの理解の範疇を大きく超えていあた。
王女「ここはまだ入り口、先に進むわよ」
元帥「………ここは………なんだ………」
王女「言ったじゃない、飼育場だって」
そう言って、潜った扉の先には、両脇に数え切れない程の鉄格子の部屋が並んでい
るが、その檻の様な部屋に居るのは、罪人でも奴隷でも無い。
生まれて、まだそれ程経ってはいない、十数匹のゴブリン。
そいつらが、檻中に寄せ合いひしめき合いながら、必死に何かを貪っていた。
元帥「ひいぃっ」
王女「余り見ない方が良いわよ、最初は夢に出るから」
目の前では、奴らが何かの生き物のはらわたを奪い合いながら、ほおばっている。
流れ出した血が、檻の手前の溝に流れ込んでゆく。
ぐちゃぐちゃ、と言う咀嚼音が響く中、固いものに齧りつく奴らがいた。
骨ごとかみ砕かれていたのは、犬か何かの足や頭、そして………。
元帥「お、お、おい、あ、あ、あ、あれ、あれ、」
王女「多分、人間か獣人の死体ね」
元帥「死体って、お前………それにこの匂いは何だよ」
充満している血の匂いに混じって、鼻の奥がただれて行きそうな甘ったるい匂いが
頭の中芯を、痺れさせながら舐めまわしてくる。
微かな、それでいて何とも言えない不快感が、全身を包むのがわかる。
叫びたいが、叫ぶほどでもない。
掻き毟りたいのに、どこが、痒いのかわからない。
居心地が悪く、体を捻る事しか出来ない。
何かに少しずつ体を侵食されているようで、気が狂いそうだった。
王女「血の匂いが酷いでしょ、だから特殊なお香を焚いているのよ」
元帥「お香?」
王女「ええ、特殊な、ね」
奥に歩いて行く途中の檻は、どれも大して変わりは無かった。
時折、天井の穴から降って来る、人や動物の死体、それを貪る餓鬼の群れ。
だんだんと、心が麻痺してゆく。
王女「もう少しで、着くわ」
元帥「なあ、なあんで、だあれえもいないんだあ~」
王女「こんなとこにに、一日中居たら、おかしくなる、朝来るだけよ」
元帥「そ~か~」
王女「あらあら、初めてだから、少し酔ったのね」
そういって王女はモントレイの腕を自分の胸に掻き抱いた。
お香などと言っているが、実際は特殊な調合をした麻薬の一種で、殆んど常用性は
無いが、認識阻害と痛覚鈍化、あと微弱な催淫の効果がある。
その奥の広い施設は、今までとは、一線を画していた。
数えきれない程ならんでいる部屋の格子は、腕程もある太さの有る鉄の棒が使われ
ており、足枷の鎖は床に留められている。
どれ程暴れようと、容易く自由は手に入らない様になっている。
王女「さあ見て、これが私達の切り札、ハデスゴブリンよ」
元帥「あぁ、はぁ、はぁ、あぁぁ」
二人の目の前に有る檻には、一匹の凶悪で醜悪な姿の魔獣がいた。
ゴブリンと言うよりは、巨大なオークと言った方が分かりやすいが、その薄緑色の
肌が、ゴブリンだと主張している。
口の中には、まるでサメの様に、尖った歯が、びっしりと並んでいる。
太い腕も足も見ただけで分かる程、分厚い筋肉に覆われているが、これで動きが、
俊敏だから、驚きである。
ついでに言うと、色んな状態異常と魔法に耐性を持ち、毒も効かない。
魔獣ランクはB+、通常は ガヤ大森林 に生息していて、山脈のこちら側で見る事
の無いゴブリンの最上位種。
冒険者か魔導士でも無ければ、一生見る事は無いだろう。
ただ、ここのハデスゴブリンには、野生種とは違った特徴がある。
「ガぁ………………………………………………………ゲぇ………………」
(グフッ、グフッ、グフッ、グフッ、グフッ)
元帥「何、何な」
やや酩酊状態のモントレイでさえ、驚愕してしまうほどのおぞましい姿。
神も悪魔も顔を顰める、魂の尊厳を踏みにじるその行為を容認したのは人か?
とても感情を持つ存在が行使出来る力とは思われない。
王女「はぁ、いつ見ても、大きいわねぇ」
ハデスゴブリンは股間の巨大なイチモツで、虎人族の女を後ろから犯していた。
ぬらぬらと光るそれが女の体を何度も突く度に、ハデスゴブリンのくぐもった声が
繋いである鎖のずれる音と交互に不快なリズムを刻んでいる。
時折、頭を前後に揺らしては、うめき声を上げる虎人族の女の目には、もう理性の
欠片も感情も残っていない。
だが、問題なのはそこでは無い。
女の両手と背中が、ハデスゴブリンと融合していた。
ゴブリンの緑色の血管が真っ白な女の体を半ば侵食している様は、まるで朽ちた木
に蔓延る菌糸のようだった。
ぱんぱんに膨れた腹の中で何かが蠢いているが、祝福された存在では無い事は間違
いない。
王女「ああ、ねえ、モンティー」
元帥「リリィ………」
王女はモントレイの首に左手を廻すと、右手で彼の股間をさすり始めた。
彼女は明らかに発情しているのだ。
甘えた声が耳を撫でては、彼の思考力を奪ってゆく。
股間が感じた熱は全身に広がって、抑えきれ無くなった性欲が噴出した。
王女のドレスを全て脱がせると、激しく彼女を組み敷いた。
ここに来るたびに彼女が我慢していた妄想が、今、叶った。
王女「ああ、いい、もっと、もっと激しく」
元帥「うぐっ、ああっ、ああっ」
快感に打ち震える王女の体に何度も自分の欲望を注ぎ込んだモントレイは、自分が
異常に興奮している事に気が付いた。
目の前のハデスゴブリンが、女の豊満な胸を鷲づかみにして揉みしだく様を見ては
王女の胸にむしゃぶりついた。
女の口から涎がしたたり落ちるのを見て、自らの舌で王女の口内を蹂躙した。
どれ程貪っても、足らない、全く足らない。
もう、吐き出す精が尽きたと言うのに、いきり立った彼自身は収まらなかった。
だから犯した、犯し続けた。
王女「………………ぁ………………ぁぅ………」
元帥「……………………………ぅぉ…………」
お互いを求め貪り尽くした二人は、石床の上で自らの服を敷物として、抱き合って
いたが、当分は動ける気がしなかった。
未だに過敏になり過ぎた肌がこすれあう度に快感が全身を駆け巡る。
こんな狂った様な性交は、初めてだった。
(グフッ、グフッ、グフッ、グフッ、グフッ、グオォォォォッ)
どれ程経っただろうか、ハデスゴブリンが、何十回目かの射精を終えた頃、やっと
立ち上がった二人が支えあう様にその場を立ち去ってから暫くして女の悲鳴が響き
渡った。
「ぎゃあああああああああああああああああああああ」
腹を食い破って出て来たのは、紛れもないハデスゴブリンの幼体だった。
ベちゃっと、血だまりと共に床に落ちた幼体は、何かに誘われる様に、部屋の隅に
開いている暗い穴の中に消えて行った。
そして、驚く事に、食い破られた女の腹が、徐々に何事も無かったかのかのように
修復されていった。
ハデスゴブリンの再生能力が、取り込まれた女にも作用した、つまり細胞レベルで
融合してしまっている証拠だろう。
彼女達がどこの誰で、どんな生い立ちで、どんな人生だった?
彼女達の父は?母は?姉は?妹は?兄は?弟は?仲間は?友人は?その愛情は?
彼女達の希望は?夢は?思いは?そしてその魂の尊厳は?
その全てをまとめて踏みにじって、ドブに沈めた男が、王女達が去った魔法陣の上
に転移して来た。
名前は、ルドラ・ギリアナス 黒の魔導士の第二席でユリアに執着している男だ。




