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ある魔導士の帰還  作者: 勝 ・ 仁
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海王国艦隊壊滅

ある程度のペースを守って行きたいと思っていますが、時々煮詰まって、もう一本の方を書いたりして、頭の中身を洗濯をしています。遅筆、申し訳ありません。





          「私達、助かったの?」


強い潮風が、砂埃を巻き上げても、問いかけたその人は、微動だにせず、そこに立

っていた。

見上げる程に高い背は、逆行で黒い影のように見えたが、不思議と怖いとは、全く

思えなかった。


            《ああ、勿論だ》


その後、私達の手枷を、まるで紙を裂くようにバラバラにしてしまったが、青銀色

に輝くその指はまごう事の無い金属だ。

そう、その人は、人と言って良いのか、とにかく頭のてっぺんから爪先、果ては服

まで、全身全て金属だった。

でも、人形じゃ無い、だって、喋っているのだもの、会話が成り立っているもの。

こんな存在を私は知らない、それは他の皆も同じらしく、警戒してか、表情が強張

っている。

知ってる、未知は恐怖なのだ。

でも、何故か私はこの人?が怖く無い、この人の傍にいると、とても安心する、近

くにずっと居たい、何故か心を惹かれる、人では無いこの人を、私はじっと眺めて

いた。


ユリア「あら、珍しいわね、ナオが怖く無いの?あなた名前は?」

 少女「え、ええと、エマです」

ユリア「エマちゃんね、私はユリア、ナオの恋人よ♡」

 エマ「こ、恋人?えっ、でも、人間?ええ?そうなの、でも、あれ?」

ユリア「ふふ、その内、理解できる様になるわよ」


からかう様にその人は手をふって、父達の話に加わっていった。


 直也《では、連れ去られた人は居ないんだな》

ユリア「ええ、捕まってた人は全員ここにいるそうよ」

 直也《よし、では、奴らに少し痛い目に会って貰おう》

ユリア「今から?もう出航したわよ」

 直也《まあ、試してみるけど、結構いけると思う》

ユリア「…………何だか、全部予想してたみたいで、気に入らない………」

 直也《いやいや!たまたま徹甲弾が使えるなと思っただけだから!」

ユリア「謝罪と賠償を要求する!」

 直也《何故に?》


それから16式を港の先に移動させると、砲塔の照準を最後尾の旧式船に合わせた

が、どうも気になるのか、興味があるのか、何故か後ろで住人達が見物を、始めて

しまった。

身の安全が、確保出来て安心したのか、彼らの精神は呆れるほど強靭だった。



◇◇◇◇ side 海王国軍船上 ◇◇◇◇



守備隊長「…………なんだ………あれは………」

  副官「化け物だと言ったでしょ」

守備隊長「聞いていた、聞いてはいたが、あれは、あれでは、まるで………」

  副官「ええ、死、その物です、兵士達が怯えるのも判るでしょ」


遠くに見える広場には、三つの黒い影が、命令を無視して残った30人程の兵士達を

斬り捨てていく姿が見えた。

この距離だから辛うじて目で追う事が出来るが、あの場に居る兵士は、殆んど何も

認識できないまま、死んで行っただろう。

それも、コップの水を飲み干すよりも、早くにだ。


守備隊長「ああ、あれは駄目だ、あれは絶対に関わっては駄目な存在だ」

 海兵長「あれに突っかかって行ったんですよ、あの馬鹿は」

  副官「それも、あれの女を裸にして侮辱したため、激怒させた直後にです」

守備隊長「………自殺でも強要されたのか、ライガン様は………」

  副官「いいえ、至って、平常運転でしたよ、愚かで、無能で、下劣で」

 海兵長「あちらでも、ここでも女を漁る事しか考えていませんでしたし………」

守備隊長「………何一つ、持ち帰る功績が無いじゃないか………」


このまま国に帰れば、当然、一連の事情は報告する事になるが、敗戦の責任を取る

べき、第三海将のライガンは、死んでしまっている。

おまけに、彼の妻である第一王女が黙っているはずが無い。

少しでも、ほんの少しでもいいから、彼に何らかの戦果か戦利品でも有れば、その

話を盛れるだけ盛りまくって、ついでに尾鰭も付けて、英雄が名誉の戦死を遂げた

と、全員で言い募る事も出来た。

そうすれば、如何にあの色ボケ第一王女とは言えど、そう簡単に、生き残った者を

処刑台に乗せろ、と騒ぎ立てられないはず、その間に、犬猿の仲である第一王子に

保護を求め、忠誠を誓えば命は助かる、そう見積りを立てていたのだ。


守備隊長「結局、全員から恨まれた、だけなのか………」

 海兵長「そりゃ、そうでしょう」

 海兵長「何度、後ろから、斬り殺そうと思ったことか………」

 海兵長「はっきり言って、顔が良いだけのクズ人間でしたから」

守備隊長「はあ、どうしたものか………………」

  副官「馬鹿の女漁り以外を、ありのまま報告すればいいんえすよ」

守備隊長「………どういう事だ?」

  副官「聖王国軍を壊滅させた魔導士が国を興した、地上戦では恐ろしい魔道に

     よって壊滅的被害を受けた、指揮官もその時死んだ、あの国に上陸した

     ら危険だ、とね」

守備隊長「それで、納まればいいのだが………」

  副官「そこは、声を上げまくるんです、とんでもない危機だと、全部事実なん

     ですから、残りは例え予想でも妄想でも構やしないんですよ」

 海兵長「そうですね、このままでは、どこの港も危険だとか」

 海兵長「いろんな国から取引停止を言われるかも、とか」

 海兵長「いっそ、ライガンが激怒させたせいで、本国まで攻め込んでくるかも

     知れないと、言ってみる?」

  副官「流石に言い過ぎだ」


瞬間、最後尾の船が轟音と共に傾き始めると、再度二度の爆発音が響き、舟はその

姿を波間に消した。

彼らの視線の先には、砲口から、残煙を靡かせる16式の姿があった。



 直也《よし、三発全弾命中だ!次の船に照準を移す、装填を急げ》

ブラン《イエス・マスター》


艦尾に砲弾を受けた舟は、あっと言う間に浸水を許し、右に回頭し始めた所に二発

の徹甲弾を、そのどてっぱらに喰らい、ばらばらになりながら、海底に沈んだ。


ブラン《ソウテン・カンリョウ・シマシタ》

 直也《よし、次弾発射、ファイヤー!》


海王国の船は、砲撃を受けて次々に航行不能に陥っていったが、巨大な木造船は、

徹甲弾では、思い通りの損害を与える事が、出来なかった。

特に、まるで木製のハリボテの様な旧型艦では、徹甲弾の爆発が小さすぎて、余程

喫水線に近い場所か、竜骨に直撃しない限り、直ぐに沈没させる事が出来なかった

結果、先行する二隻の新型艦は、マストの損傷など、軽微な損害を与えただけで、

逃げられてしまった。


 直也《ああくそっ、手前の三隻で弾が尽きた》

ユリア「ふふ、楽しそうね、ナオ、まるで子供みたいよ」

 直也《ガキの自覚はある、否定はしない》

ユリア「……………また何か、作るつもりでしょう」

 直也《何故、ばれた!魔法か?魔法なのか?》

ユリア「何言ってるの、態度に出過ぎなのよ」

 直也《気をつける事にしようかな、多分無理だろうけど》

ユリア「同感よ、で、何を作るの?」

 直也《ふふふ、聞いて驚け、潜水艦を作るんだ!凄いだろ!》

ユリア「……………………潜水艦て、ナニ?」

 直也《あれ?》


直也が、本気で海軍を作ろうかと、悩んでいる頃、海王国軍の船上では、副官達が

脂汗をながしながら、へたりこんでいた。

幸い、マストの一部を消失しただけで、航行には何の支障も無かったが、彼らの心

には、大きなトラウマが刻まれた。


守備隊長「船の上でも安心できんのか………」

 海兵長「…………もう………逃げ場がねえ」

  副官「本国が攻撃される、妄想が現実になりそうだ………」

            ・

            ・

            ・

  「「「魔導士なんぞ、二度と関わりたくねえ」」」


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