飛ばされた、その先で
直也《ヨウ・アル・シバラクブリダナ・ココガ・イセカイカ》
「ここが俺の世界だ、ようこそ異世界へ、歓迎するよ、直也」
久しぶりに聞く友の声は、機械音だった。
▽▽▽ 4年前 ▽▽▽
「アハハハ!あなた馬鹿でしょ、こんなに簡単にひっかるなんて!」
「なに?寂寞だぁ?阿呆寞の間違いだろww」
「あなたみたいな地味な根暗を本気で好きになる訳ないじゃないw私の隣
は、やっぱり華やかで高貴な殿方でなくては!」
「薄汚い平民のくせに、ちょっと強いからって、つけあがるからだ!」
「でも“愛してます”って私が言った時の、あの反応、顔を真っ赤にして
”ぼ、僕もです”だって。爆笑ものだったわ~我慢するの本当に大変だっ
たんだから、でも、もうその必要もないわ」
「もう海魔もいないし、お払い箱さ」
「そして私から最後のお願いよ、二・度・と・そ・の・陰・気・な・顔・
を見せないでねw」
「おとなしく、何処か遠くへ飛んでいけ、そして死ね!」
あの時、騙されて、座標軸も空間位置も何もかも書き換えられた転移陣で
すっ飛ばされた先は、雪がちらつく真冬の湖の上だった。
当然ながら盛大な水飛沫をあげて、落下。
必死に泳いで湖岸に辿り着いた。
道標の門が無いのに、傷一つないのは奇跡的な幸運以外の何物でもない。
だがもし此処が、火山の火口だったら?大海原のど真ん中だったら?
遥か空の上だったら?狂暴な魔獣の群れの真ん中だったら?
間違いなく、死ぬ。
そう、あいつらは殺そうとして来た。
裏切られた?騙された?何故?どうして?愛してると言った王女は?
友だと言った騎士団長は?頭の中が混乱する。
俺が悪いのか?そんなに見苦しいのか?そんなに嫌われてたのか?
何故殺そうとするのか?そう思った。
情けなくて、悲しくて、放心したまま、ずぶ濡れな状態で佇んでいた。
どのくらい経っただろう、不意に後ろから声を掛けられた。
ひどく緩慢に思えるほどゆっくり振り返ると、そこには一人の老人が居た。
でも何を言っているのか、言葉が全く分からない。
すると老人は、俺の手をつかむとそなまま歩きだした。
もしかすると、ここは村の聖域か何かかもしれない。
何か罰を受けるのか?良く見れば、この老人の身なりは農民とも狩人とも
思えない、変わった意匠の服だが、此れほど美しく、色むらの無い布地は
ちょっと記憶に無い。
もしや何処かの司教か何かだろうか。
そして暫く歩いた先には鉄の馬車があり、中の椅子に誘導され、その馬車
の室内に驚愕した。
見たことも無い素材、洗練された、どうやって作ったのか、まるで見当も
つかない美しい、からくりの数々。
司教などではない。
この方はきっと名のある大魔導士、魔道の王に違いない。
直ぐにで頭を下げて、許しを請わなければ。
そう思って、床に頭を擦り付けたが、老人は、首を振り、苦笑しながら、
再び俺を椅子に座らせた。
やがて低いうなり声を挙げ始めた馬車は、驚いた事に、馬も無いのに軽快
に走り出した。
これから俺はどうなってしまうんだろうか、いや、そもそも俺はどうした
いんだろう。
そして思い出した、そうだ、どうなっても良っかたんだ。
でも奴隷は嫌だなあ、でも、もし奴隷にされるなら、せめて言葉だけでも
理解しないとまずい気がする。
そっと言語理解の腕輪を起動させるがごく僅かしか反応しない。
言語収集がまともに進まない。
そしてここにきて、やっと気が付いた。
魔素が、魔素が異様に薄い、限りなく薄い、殆んど零に近い。
収集が遅いのも当たり前だ。
言葉を感じ取る魔素の糸が繋がらないのだから。
今はこの老人が喋っている言葉のみ解析中だ。
いずれ時間がたてば解決するだろうが、俺はどれ程飛ばされたんだ、
いったい此処は何処なんだ!
だが情報が少なすぎる、そう思っていたが徐々に言語理解が機能し始めた
からくり自体が多量の言葉を発しているせいで、一気に収集が早まったか
らだ。
それに従って徐々に自分の置かれている状況が、まだ不明な点は多い物の
少しだけ理解できた。
ここが日本と言われる国のN野県と言われる一地方である事、魔法も奴隷も
魔物も存在しないという事、人を殺す事が、国中を騒がす大事件になる程、
とんでもなく恵まれた国である事。
1億人近くの国民が、飢えて死ぬ事も、凍えて死ぬ事も無い、誰でも医者
に診てもらえる、とんでもなく豊な国である事。
まるで理想郷だ。
そしてたどたどしくではあるが、会話も可能になった。
老人「もうすぐ、家につくから、ちょっとばっかり我慢な」
「ア、アりがとヲごザイまス」
老人「おお、あんちゃん、もしかして外人さんか、ま、気にすんな」
「ジぶんのくに、セつめイ、むつかシイ、できなイ」
老人「いいんだよ、そんなこたぁ、言いずらかったら、言わんでいいんだよ」
「でも、わたシ、アやシイ、めイわく、きっと」
老人「何が有ったか知らんが、そんな顔したやつ、ほっとけるもんか」
「ソんなかオ?」
老人「苦しくて、悲しくて堪らないくせに、無理に笑おうとするんじゃない」
「ウッ、ウッ…」
ポロポロと涙がこぼれた。こぼれた数だけ、心がかるくなった。
我慢などしなくていい、泣いてもいい。
その言葉が、今は嬉しかった。
程なく涙も収まったころ、一軒の大きな家に着いた。
老人「おーい、着替えを持ってきてくれ、上から下までびしょ濡れじゃ」
それから二か月、この老夫婦の家で世話になった。
老人は、ある分野では、有名な仲買人で日本中を飛び回っていたが、娘さん
達が全員嫁いだのを機に引退して、この山奥に終の棲家をたてて暮らしてい
るらしい。
あの時はたまたま趣味の畑で冬野菜を収穫していたら、物凄く大きな水音が
して、気になって見に来たら、俺がずぶ濡れで突っ立ってたわけだ。
夫人と会話しながら家事を手伝い、老人と会話しながら畑仕事を手伝い、
老夫婦と食事と会話を楽しんだ。
そしてこの老夫婦との生活が、俺の心を暗い闇の海から救い上げてくれた。
事情も経緯も何も詮索をせず、俺が心の扉が一つ一つ開くのを、何も言わず
に待っていてくれた。
惨めな感情が滲みだす度に僅か一言二言の言葉で癒してくれた。
そしてやっと俺は立ち直る事が出来た。
もし、二人に出会わなければ、恐らく未だに思考の迷路に捕らわれたまま
だろう。
そして其処には、捕らわれたまま際限なく歪んで、自らの事を呪う事しか
出来ない惨めな男がうずくまって居るだけだ。
有難かった。
暖かかった。
感謝してもしきれない。
そして言ではなく、心で促された。
顔を上げろ、涙を拭け、前を見ろ、そして誰の為でも無い自分自身の為の
一歩を踏み出せ、幾らでも支えてやるから、と。
それから俺は、映像から、書物から、あらゆる情報を貪る様に取り込んで
知識を蓄えた。
此処が異世界だという事をはっきり認識したのも、この頃だ。
初めは戸惑った物の、その理路整然とした考え方や、今まで魔法としての
結果しか知らなかった、物理法則、化学反応、自然現象などが、自分の魔法
にどれ程の恩恵をもたらしてくれるのか、楽しみで、堪らない。
これで俺の魔導士としての階梯が上がるのは間違いない。
次も、その次も。
こうして理解と構築を繰り返す内に、ある二つの事と一つの言葉が俺の行
動と計画を確定させた。
一つは途轍もない演算能力を持つ、富嶽とフロンティアと言うスーパーコ
ンピューターの存在。
もう一つが、この世界で魔法が使えるのも、魔法を認識出来るのも俺だけ
しかいない事。
そして老人の一言、「お前が嫌いな奴らから嫌われて何の不都合がある」
思い出した。
俺には 嘆いている暇も、腐って蹲っている暇も無い。
俺にはやる事があった。
あの国でその一歩を踏み出したばかりだった。
例えどれ程細くとも、今、その見失った道が見つかった。
そして老夫婦との別れの日、感謝の言葉と共に頭を下げる俺に「いつでも
戻ってこい、息子」と、声をかけられた。顔を上げたが、溢れ出す涙で前
が良く見えない。
本当はずっと此処に居たい。
でもやることが有る。
無理やり笑顔を作ると別れを告げ、目的地に向かって歩き出した。
駅で東京行の電車に乗った。
別れの日、老婦人が当座の生活費にと30万円もの金を、俺に渡そうとして
きた。
俺は収入のあてが有る事。
国に帰れば何の不自由も無いと断ったが、なら交通費だけでもと言われて、
持たされた3万円で切符を買ったのだ。
まず収入の当てとは、この世界でも何故か、俺の異空庫が使えた事。
魔法に対する防御方法が全く無い事。
精神を魔法に乗せても誰も気が付かない事。
認識阻害の魔法が使えること。
これだけ有ればどうとでもなる。
東京に着いてまず真っ先にインターネットカフェの一室を確保したが、何
事も実際に目の当たりにしなければ理解できないのだと思った。
途切れない街並み、数え切れない人の波、溢れ出す音楽と騒音、乱舞を繰
り返す光の洪水。
店に入る迄に精魂尽き果てた俺に、地方から来た人は大体みんな同じ症状
になると、かくゆう自分もそうだったと、店員は笑って手続きをしてくれ
た。
落ち着くまでなんと3時間もかかったが、とにかくインターネットを接続
して意識を魔法に変換、情報の海へ漕ぎだした。
目指すは、警視庁、警察庁、検察庁だが割と直ぐに辿り着いた。
そこで犯罪集団、非合法組織、の情報を集めた。
先ずは近場の歌〇伎町からだ。
ぼったくりの店と売春の店を片っ端から襲った。
透明化と認識阻害の二重展開、現金の入ったバッグも金庫も異空庫の中に。
目の前で消えても誰も判らない。
次が麻薬の売人達。奴らには一切の慈悲も与えない。
麻薬は俺の居た世界にも、少量ながら存在していた。
だから知っている、その悲惨な結末も、周りにまき散らされる不幸も目の
当たりにした事がある。
美人だと評判の兎人族の母親が貴族に攫われた事があった。
裸にされても必死に抵抗する母親に、業を煮やした貴族の男は、麻薬で薬
漬けにした。
そしてさんざん弄んだあげく、何とか居場所を掴んだ夫が妻を返せと屋敷
の門であげる声に辟易して、反応が無くなってつまらんと、ボロボロにな
った母親を夫の前に放り投げて、そのまま門を閉めてしまった。
それでも夫は愛おしそうに、いたわる様に、意識が混濁する妻を優しく抱
き上げてかえって行った。
だが、本当の地獄は、この後に突然訪れた。
家に帰った夫が、妻を寝床に横たえると、一歳になる息子とともに、声を
掛け、手を握って、回復を祈った。
久々に見る母親に、子供は抱き着いて離れようとしなかった。
そして、しばらくすると母親は目を覚まして横に居る息子の姿を、愛おし
そうに見つめた。
そう、ほんの一瞬。
すぐさま、襲われた禁断症状に、狂ったように暴れだした。
麻薬を使われた事など知らない夫は、拘束することなど思い付かなかった。
そして抑えようとした夫が寝床の端に蹴飛ばされたと同時に母親は、息子
の首を嚙みちぎった。
その様を見た夫は、掛けてあった剣を手に取り、いまだに息子の首に噛み
ついたまま、部屋中に血をまき散らしている妻の心臓を貫いた。
死ぬ瞬間でも妻は正気に戻らなかった。
そして夫もその場で自らの命をたった。
紛れもない地獄がそこにあった。
たまたま隣町に居た、俺と師匠に町の長老から連絡が来たのは翌日の事だった。
そのままにしてある。
と言われ、部屋を見たとたん、俺は胃の中身を全部ぶちまけた。
長老は師匠に復讐を依頼した。
依頼料は全部、町の人達がどんなに高額でも出すらしいが簡単な事では無い。
師匠にとって貴族を殺すのは何の障害も無い。
やった事を公表すれば表立って、犯罪者として捕らわれることも無いだろう。
表向きは。
あいつら貴族は必ず暗殺者を送り込んでくる。
そうやって民衆に恐怖を植え付け、逆らう者を抑え付けてきた。
今回も間違いなくそうなる。
だが師匠は二つ返事で引き受けた。
そして俺に、もし麻薬絡みの依頼が有れば、必ず受けろ、そして叩き潰せ、
でないと、あの地獄をそこら中で見るはめになるぞ。
そう言った。
この長老は師匠の旧い知合いで、20年程前迄は、国内有数の巨大傭兵団の
団長を務めていて、よく、匿ってもらったそうだ。
翌日、麻薬の瓶を首からぶら下げた貴族の男が、屋敷の正門で磔になって
殺されていた。
苦悶の表情を顔に貼り付け、臓物を残らずまき散らして。
そして歌舞〇町の密売人達も同じ道をたどったが最初に忍び込んだ地下の
事務所で見た光景が、俺にある決断をさせた。
一人の女性を4人の軽薄そうな男が抑え付けていた。
話ている内容が、あの時の兎人族を思い出して目の前が怒りで真っ赤に染
まった。
狙いは女性が相続した財産。
友人の女性が大事な相談が有ると騙し拉致した後、薬漬けにして、根こそぎ
吸い尽くす計画らしい。
俺は照明のスイッチを切ると、必死に抵抗しながら相手を睨み付けている
女性の上を水平に衝撃波の魔法をぶっ放した。
壁に叩き付けられ気絶した4人を尻目に、女性に鞄を握らせ、薄明りの廊下
を示して、真っ直ぐ家に帰る事、警察には届ける必要が無い事、此処の連中
はこちらで必ず処分する事、そして、貴女は貴女で片を付ける相手が居るの
では?そう囁いた。
彼女は頷くと、ゆっくりと、でもしっかりとした足取りで、廊下の階段を
のぼって行った。
薄暗い照明にチラッと見えた彼女の横顔は怒気に笑顔を貼り付けていた。
…………見なかった事にしよう。
とりあえず、まずは4匹の害虫の駆除だ。
害虫にも色々な種類がある。
まずやっと建てた住処を食い荒らす害虫、やっと育てた作物を食い荒らす
害虫、大事に育てた樹木を枯らす害虫、そして特こいつらの様に病原菌を
撒き散らす害虫は、直ぐにでも駆除しなければならない。
方法は簡単、自分達の商品を無理やり大量に飲み込ませただけ、大量に血
を吐いていたけど自分の商品だし本人も満足だろう。
そして当然、他の害虫達も分け隔てなく、平等に巣に帰った所を駆除した。
もちろん金の回収も忘れない。
だが驚いた事にこれだけ殺しても病院に送られたのは、回収しそこなった
最初の4人だけ。
他の死体は、それぞれの組織が回収したようだが当然かもしれない。
何せ不法滞在者、どこぞのヤクザの組員、指名手配犯、公安監視対象者、
密入国者、執行猶予中の組員など、表沙汰に出来ない連中ばかり、それに
加え麻薬中毒に、この人数だ、そりゃあ隠すだろうが、騒ぎにならないの
ならこちらにとっても好都合、翌日のメディアは麻薬中毒で死亡者が出た
と報じただけで、どこかの国の団体以外は、さしたる騒動にもなく終わった。
そして、住処を高級ホテルの長期滞在に切り替えた。
意識変換中、俺の体は、完全に無防備になる。
安全な住処が絶対に必要だった。
それからは、各国の軍需産業や軍事施設に侵入した。
セキュリティ?全く関係ない、魔法対策用セキュリティソフトなど何処にある。
まあ各所で表に出ない静かな大騒ぎが、発生した。
確実に実験結果や設計図が閲覧、複写されているのに、侵入もセキュリティの
突破も全く痕跡を確認出来ない。
忽然と現れ忽然と消える。
職員の一人が正解を口にした。
まるで魔術師の仕業だと。
だが実在するなどと、誰が思う。
更に富嶽の時はもっと酷かった。
なんせ目の前で演算を始めたのだから。
与えられた数値は何処から来た?
導き出された答えは何処へ行った?
最初は皆、発狂したが、何回も繰り返す内に、どうせ実害も無い事だし、
たまには、そういった現象もおこる物なのだろう、と、殆んどの者が受け
入れてしまったのだが、いいのか?それで、お前ら研究者だろ、理論の守
護者だろ、いくら理解不能だからって、思考を放棄してないか?俺が言え
た事じゃ無いのは十分判っている。判ってるんだが、なんか納得出来ない。
そうやってネットワークで情報を漁り、混沌と狂乱を撒き散らしながら、
たまに非合法組織から現金を金庫ごと回収。
連中、呆れる程持ってるが、手加減はしない。
近頃はだいぶ弱体化しているらしいが、しらん。
潤沢な資金が確保出来てっからは、最大の問題の一つ、魔素溜まりの探索
に費やした。
魔素は空気中に、ごく僅かながら存在する。
ならば何処かに溜まっている場所が有ってもおかしくない。
ただし情報誌等には絶対に載っていない。
魔素とは、それを認識出来た者にのみ具現化する事が出来る逆に認識出来
ないものは、視覚に捉える事も、計測も観測もする事が出来ない、思念性
物質といえる。
たとえば、コンサート会場の真ん中で魔素の渦が出来ても、不思議では無
いし、何ら不都合も起こらない。
だから誰かからも情報は得られない。
地道に自分で探すしか方法は無い。
まずネットワーク中を移動しながら、時々端末から実世界に現れては、
ほんの僅かな魔素の変化を探してゆく。
その日は2つ目の魔素溜まりを見つけて、ほくほく顔でネットワーク中を
移動している時、物凄い感情の噴出に遭遇して、危うく精神が緊急離脱
しかけた。
あり得ない!
この世界の人間の感情が魔素に干渉するなど絶対に有り得ない!
なのに、実際は干渉してきた。
その発生源に向かうと驚愕した。
その奇跡の主は病室で様々な器具と機械を取り付けられた、包帯だらけ
で横たわっている若い男だ。
驚いた事に呼吸器を付けられ喋ることの出来ない男は、感情の発露だけ
で周辺機器にまで干渉したのだ。
≪ 誰でもいい‼悪魔でも殺人鬼でもいい‼心臓でも魂でも差し出す‼ ≫
≪ 復讐を‼あの鬼畜共に復讐を‼全てを奪ったあいつらを地獄に‼ ≫