鉱山改造・アンドロイド・ガヤ大森林
◆◆◆◆◆◆ ナール山脈・第一ミスリル鉱山◆◆◆◆◆◆
アル達を見送ったその後、俺は自分の分身たる、執事型ゴーレムの作成に
全力を傾けた。
なんせアルからでっかい魔石を幾つもねだって取り上げたからだ。
最も大きいソフトボール大の魔石は、死にかけていた黒竜を倒した時の物
で、アルでさえ一つしかもっていないとごねられた。
もっと持っていても可笑しく無いはず、若しくは、これから狩ればいいと
主張する俺に、それがどんなに困難か説明された。
理由その一、魔法防御力が異常に高い事。
(魔法による攻撃ははぼ全て無効化されて、竜本体に届かない)
理由その二、体表が鱗で覆われ、物理攻撃が非常に効きにくい事。
(普通の剣では、どんなに頑張っても傷ひとつ付けられない)
理由その三、とても頭が良く、罠などには絶対に掛からない事。
(転移トラップに掛かったアルより、よっぽど賢い)
理由その四、魔力感知に長けていて、巨大な魔力には近づいて来ない事。
(当然、アルや魔導士の集団には近づかない)
理由その五、普段はガヤ大森林の奥に生息している事。
(偶に人里近くを空高く飛ぶ姿を見ることもある)
何はともあれ、貰った魔石をアンドロイドの精神核とする為、表面に極小
の魔法陣と回路を刻み込んだ後、左胸部に装着した。
魔石装着後、ミスリル不足で作りかけだった、俺の主機、執事型アンドロイド
の本体を完成させた。
とにかく、この魔石の加工が手間も時間もかかった。
そして、仕上げの武装は腰に下げた細めの直剣1本。
と、見せかけて実は指先からは20cm程の細い針が射出する様になっている。
まあ、対人間用の隠し武器だ。
それに余り色々付け過ぎて、機動力が下がっては、アンドロイド型にした
意味が無い。協力な武器は手で持つか、外部に装着すればいい。
そして此処で悩み事が出てきた。
外装はどうする?
このままだと、ただの青銀色のマリオネットだ。
そこでミスリルに極少量のアダマンタイトを混ぜた合金を作り、それを
板や布として加工、黒い執事服を作成した。
ちなみに頭部はオールバック風で白いフルフェイスマスクだ。
※※ この時、蜘蛛型と蟻型の作業用ゴーレムはせっせと下方に向けて掘削
を続けて順調に設備を整え始める。
更にロングスカートタイプ防御型とミディスカートタイプ攻撃型、各2体
のメイドロイドを作成。
この4体にはテニスボール程の地竜の魔石を使いそれぞれに、自己判断の
能力を持たせる魔法陣を刻み込んだ。
はっきり言って小さな魔石に、どれだけ複雑で大量に描けるかが、能力の
分かれ道になる為、極限まで細くい線で小さく描いてゆく。
要はAI技術と魔術の融合だが、まだ実証実験中の様な物なので、暫くは
同調異常を注視する必要があるだろうが、何とか4体程、作り上げた。
取敢えず番号では味気ないので、防御型の2体をブラン(白)とノワール(黒)
攻撃型をルージュ(赤)とジューヌ(黄)とし、服の色で区別しよう。
※※ その頃、作業ゴーレム達は掘り出した鉱石を各部屋に溜め込み始める。
全ての躯体作成が終わったので起動試験に移った。
まず自分のアンドロイドとの精神同調を行う。
凄かった、とにかく凄かった。
蜘蛛型ゴーレム達は同調と言っても、画面を見ながらゲーム機を操作して
要る感覚に近いが、このアンドロイドは違う。
完全に独立しているのに、感覚が二つに分かれて、お互いを見ているのに
その精神は一つなのだ。
本体である球形モジュールも分体であるアンドロイドもどちらも自分で、
どちらも個人で、お互いを視認できてしまう。
人間より、もう一段階上の存在になった圧倒的な優越感。
人間より、遥か下等の存在になってしまった猛烈な劣等感。
優越感と劣等感が交互に現れては精神をかき乱し発狂しかけた。
どれぐらい経っただろう、感覚的には半日程だろうか、やっと精神の均衡
が取れた。
危ない所だった。
一歩間違えれば、廃人になっていたかも知れないが、精神強度は上昇した。
今なら、軍隊の一つや二つは余裕で操る事が出来る。
それも高度で繊細にだ。
※※ 今、半狂乱になった直也のせいで止まっていた作業用ゴーレムが再び
稼働し始める。
次はメイドロイドに疑似人格をインストールする。
再び日本のネットワークへ接続を始めた。
幾つかの単語をピックアップして自動構築させる。
まずはブランから。
ブランの見た目は、メガネで髪はお団子アップ、女教師タイプ・婦人
性格は、冷静沈着・質実剛健・専守防衛・豪放磊落・泰然自若。
で、実行――インストール!
...............................
..............................ピッ
却下―――――――――――――― ‼ アンインスト――――――ル‼
駄目だ駄目だ駄目だ‼ ロッテンマ〇ヤーさんはメイドじゃないから!何で
いきなり説教されて、指示棒で叩かれなきゃならん。
そもそも、どっから出した、指示棒!
結論=色々盛り過ぎた(涙)
その後、再三試行を繰り返した末に決定したのが、以下の通りだ。
ブラン
アップヘア・冷静沈着・泰然自若・設定年齢 40歳
ノアール
ロングヘア・堅忍不抜・難攻不落・設定年齢 30歳
ルージュ
ボブカット・天衣無縫・風神・設定年齢 20歳
ジューヌ
ポニーテール・鬼手物心・雷神・設定年齢 18歳
まず4体とも稼働させてみたが、当初は俺が命令するまで洞窟内を、目的
もなく只、歩き回るだけだったが、何度も命令と自由行動を繰り返す内に
徐々に自己判断が出来るように成って来た。
此処まで来るのに5日程かかったが睡眠の必要が無い分、日数自体が試行
時間となるので、非常に効果的では有る。
※※ わざわざ、上層階にまで鉱石を運ぶ手間がかかり始めた為、早急に
精錬能力を持たせたゴーレムを作成した。
更にそれから幾日か経った頃、メイドロイド達が自我に似た個性を僅かに
持ち始めた事に気が付いた。
洞窟も既に3層までが、居住空間として整備が完了したのだが、それぞれに
整備させた区画や部屋が、機能優先だったり、装飾過多だったり、色鮮やか
かと思えば、モノクロだったりとバラバラだったのだ。
もしかすると、自我に目覚めるのではないだろうか?このまま行けば、そう
なる可能性がある。
その為に、各メイドロイドごとに、配下となる量産型ゴーレムを、作ろうと
したが、肝心の魔石が無くなった。
ここで採掘した魔鉱石は、小さ過ぎて大型で高性能のゴーレムには使えない。
ならば採取に行くしか無いだろう。
※※ 現在、鉱山の各階層を縦に貫く形でエレベーター用シャフトを設置して
本体の球形モジュールが自由にシャフト内を移動出来るようにした途端
に、今度はガヤ大森林側に横穴を急ピッチで掘る指示が出る。
ゴーレム達に掘らせたばかりの、岩盤がむき出しになっている通路を、ノアール
とルージュの2体を連れて通り抜け、山脈の中腹から、ガヤ大森林に侵入した。
※アル君のウィキペディア(Wikipedia)
【 ガヤ大森林 】
大陸中央から東部一帯に広がる大森林。
その広さは、大陸八か国を合わせた総面積の5倍以上にも及ぶ未踏査の密林
で、全容が全く分かっていない、狂暴な魔獣や未知の植生物の跋扈する危険
地帯である。
人間の生存圏は、大森林を取り囲む四つの大山脈が魔獣の侵入を拒む事で
辛くも成り立っている。
言い換えれば広大なガヤ大森林の、ほんの一部、比較的安全な西側平野に
人が住み着いているだけである。
だが、危険な反面、貴重な資源や高価な素材の宝庫でもあり、冒険者にと
っては宝の山でもある。
冒険者ギルドは、個人1級、パーティー2級、クラン3級以上の冒険者のみに、
立ち入り許可を与えているが、警告を無視して侵入した挙句に壊滅する低級
冒険者パーティーが後をたたない。
近年、ガヤ大森林に繋がる三つの峡谷に関所を設ける計画が発案されたが、
運用面の問題から、実現していない。
目的は勿論、魔獣を狩って魔石を手に入れる事だ。
ガヤ大森林に入り込んだ途端に大蜥蜴の集団と鉢合わせたが、ランクCの
魔獣である大蜥蜴は、訓練相手として丁度良かった。
俺が直剣で大蜥蜴を斬り伏せて行く横でルージュが弓で遠い位置に居る
大蜥蜴を射殺している。
ノアールは、俺の護衛と魔石の回収を、行っている。
最初はその見た目に腰が引けたが、このアンドロイドに組み込んだ性能を
思い出した後は、ウサギを狩るより簡単だった。
おかげで、ラムネ玉サイズの魔石を20個近く手に入れる事が出来た。
それから次の獲物を求めて、森の中を来たへ移動しながら、偶に出会った
不幸な魔獣を狩っていると、前方で魔法を行使した爆発音が聞こえた。
慌てて近づいてみると、そこには、黒い魔導士のローブを着た一人を、
取り囲んでいる6人の赤ローブの魔導士が居た。
見るからに黒ローブの魔導士が追い詰められているが、問題はそこでは無く
赤ローブが全員、男なのに対して、黒ローブは明らかに綺麗な女性だった。
《 異世界テンプレ、来たああああああああああああああああああああ‼ 》




