魔導士と転移者
「ここが俺の世界だ、ようこそ異世界へ、歓迎するよ、直也」
《《《キノウブリダナ・アル》》》
「そりゃいいが何で機械音声なんだ?」
《《《キカイノ・フンイキ・デテタ?》》》
「気持ち悪いから、やめろ」
《だってお前、失敗したと思って落ち込んでただろうw》
「見てたのか」
《けっこう見てたww》
「なんか性格変わってないか?」
《イエス!ハイテンションwwww》
「何がどうした?どうなった?」
《だってお前の後ろに居るのって、ケモミミっ子じゃないか!》
振り返るとサナ達が全員、ポカンと口を開けてこっちを見ていた。
「ああ、そうだが」
《最高じゃないか、俺にも紹介を!はよ!はよ!》
「お前、転移のせいで壊れたんじゃないよな?」
《失礼な!俺は筋金入りのオタクで、一流のケモナーだ!》
「何だよ、その一流のケモナーってのは」
《俺のようにケモミミを愛して止まない一流の紳士の事だ》
「もしかしてただの変態を連れて来ちまったのか?]
《見抜けなかったお前の負けだ》
「何の痕跡も無かったぞ!」」
《そんなもん、あの火事でみ~んな灰になっちまったわw》
「そんなの判りっこないじゃないか」
《残念~WWW》
「なんか紹介したく無くなってきた」
《え~可愛いからって独占するの~やだ~変態~?》
「だ、誰が変態か誰が」
《ウフフフ、あ・な・た・よ》
「オネエ言葉はやめろ…」
《あら、あちらではあんなに情熱的だったのに、グス(涙)》
「何にもしてねえよ!」
《嘘、動けない私にあ~んなこと(ポーションを点滴にぶちこんだ)や
こ~んな事(クズどもの最後をみせてくれた)したくせに(涙)》
「誤解させる様な言い方するんじゃねえ!」
《みなさ~ん、実はアルはねえ~》
「何言いかけてんだお前!」
《そりゃあ、無い事、無い事と無い事?》
「それ全部、作り話ってことだろうが!」
《あら、可愛い嘘じゃない、心の狭い男は嫌われるわよ~》
「会話の主導権が取れねえ…」
《無駄無駄無駄無駄WWWW》
「ちくしょう!腹たつなあ」
《ほれほれ、諦めて紹介、紹介》
「ムガー」
………………10分後
そこには土下座をする8人の獣人と精神だけの日本人が居た。
《申し訳ございませんでした!》
「ほお、どうしたのかね、直也君」
《私が悪う御座いました!》
「何の事かな、わからないなあ~」
《私が間違っておりました!お許し下さい!》
「まあ、これからは気をつけてくれたまえ」
《はい、以後、気をつけます》
「わかればいいのだよ、わかれば」
《ぐぬぬぬぬぬぬ》
「ひゃひゃひゃひゃひゃ」
事の顛末
アルが子供達に直也の紹介をしたのだが……………………
サナ「では、直也様は別の世界から来られたのですか」
「そうだな。それで今はこの中だ」
《初めましてだな。みんな、よろしく頼む》
サナ「お言葉を話された!大精霊様!」
《えっ?》
そこには小さな子達に頭を下げさせようとするサナの姿があった。
サナ「みんな、なにしてるの!早く頭をさげて!」
モルナ「ひいい!すいません!すいません!クリッカも早く!」
クリッカ「う、うん、ごめんなさい」
デクシス「まじで?やばい!やばい!」
ガット「ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさい!」
ルナ・ミア「「うわああああああああああああん」」
リリ「?????????????」
……………………阿鼻叫喚
※アル君のウィキペディア(Wikipedia)
【精霊信仰】
主に獣人とエルフやドワーフに信仰されている土着の信仰
大精霊を頂点としてその下に上級精霊、中級精霊、下級精霊が、さらに
その下に使精霊がいる。
実際に使精霊は割と身近な精霊でよく井戸や竈に姿を見せる。
下級精霊は、町や村の社に祭られており、祭事にはタペストリー等に姿
を表し祝福を与える。
中級や上級精霊は水晶を依り代として現世に顕現し干ばつや洪水、火山
の噴火、津波等を鎮めるとされるが実際、最後にその姿を目にした者は
エルフ族の長老とドワーフの族長のみ(どちらも250歳以上)とされる。
そしてその上に君臨するのが大精霊である。
黒い大水晶を依り代として顕現し、言葉を操り(本来、精霊は言葉を発
しない)、信仰深き者には助言と祝福を与え、汚す者、疎かにする者に
は呪いと罰を与えるとされているが見た者は現存しない。
そして子供の躾で使われる罰は此処から来ている。
ちなみに黒い大水晶はエルフの樹上都市にある大神殿に祭られている。
「まあ、勘違いした物は、しょうがない」
《まさか、精霊と間違われるとは……》
「見事に条件がそろったからな」
サナ「あのぉ本当に大精霊様ではないんですか?」
「ほんと、ほんと、中身は只の変態だから」
サナ「変態………」
リリ「〝へんたい”ってなにお姉ちゃん」
サナ「近づいてはいけない人のことよ」
リリ「ふ~ん、わかった」
《わかんなくていいから、変態じゃないから》
デクシス「酔っ払いは自分は酔ってないて言うんだぞ!」
モルナ「じゃあ、やっぱり変態……」
ルナ・ミア「「へんたい~」」
《アル~笑ってないでなんとかしてくれ~(涙)》
「あ~なんだ、みんな直也は俺の友達なんだ。嫌わないでくれ」
クリッカ「おれ、直也さんは優しい人だとおもいます!」
ガット「はい!きっと直也さんはいい人です!」
クリッカ「お姉ちゃん達は、ちょっとひどいです!」
《うわ~ん、二人ともありがとう~》
「……ところで何で二人はそう思うんだ?」
ガット・クリッカ「「なぜか同じにおいがします~」」
「…………本質を突いてやがる。笑えねぇ」
誤解が解けた後は、一気に家族モードに変わって質問の嵐だったが今は
全員、食後のお昼寝中だ。
《なあアル、この子たち瘦せすぎじゃないか?》
「此処で奴隷みたいに扱われたからな。すぐには戻らねえよ」
《それで、あの爆睡状態なのか?》
「ああ、獣人は強いからな、ああやって体力を回復させるんだ」
《へえ~凄いな》
「見てろよ、3日もあれば回復を実感できるから」
《マジか!》
「完全回復だったら、まあ、2ヶ月ぐらいだろう」
《獣人すげえな》
「だから、此処に居るのもあと少しだな」
《しょうがないさ、親御さんたちも待ってるだろうしな》
「いや、あの子達にもう親はいない」
《いない?どっちの意味なんだ?》
「親は殺され、あの子らは無理矢理ここに連れてこられたらしい」
《酷いな。で、あの子らは国に返すと?》
「いや、その国も滅ぼされたらしい」
《じゃあ、どうするつもりだ?》
「安全な国まで送って行こうと思う」
《送るにしても途中は危なくないのか》
「敵陣の中を移動する事になるが大丈夫。いざとなったら周りを残らず死
の世界に変えてやる」
《……その〝いざ”って絶対何かデメリットが有るだろう》
「あ―、人も魔物も木も家も岩も何もかも全部こま切れ?」
《なるたけ使わない方向で》
「うっす」
《それで相談なんだがこんなもの作れないかな》
「どれどれ……カニ?」
《クモだ、クモ。おれの手の替りにしたいんだ》
「それなら器用なほうがいいのか?」
《そうだな、可能な限り細かい動きが出来るほうがいい》
「わかった。4台ぐらいでいいか」
《そんなに簡単に作れるのか?》
「特段、難しい技術じゃ無い。ゴーレムの応用だし魔紋は同じだし」
《魔紋?》
「発動する魔力には一人ひとり違いがある。まあ指紋みたいなもんだが、
ゴーレムはこれを受信して動くのさ。誰でも操れたら困るだろ」
《理解したが、俺とアルの魔紋は同じなのか?》
「当たり前だろ、そもそもお前に魔力は無いんだから、俺の魔力でお前を
構築したんだよ」
《そうか、同じなのか、ふむ》
「まあちょっとまってろ」
それから幾らもかからず、大小二対のくも型ゴーレムが完成した。
一対はCD、もう一対はマンホール程の大きさ、足は8本カメラ付き。
「これでどうだ?」
《凄いな!日本のロボットよりよっぽど進んでるぞ!》
「魔法が有るからな。だから進んでいる様に見えるだけさ」
《そうなのか?》
「この世界は工業製品は皆無だし、農業や商業はお粗末、狩猟や採取が
横行、そのくせ王侯貴族は早くから権力を持ち、金銀宝飾は盛んときた」
《なんでそんな事になるんだ?》
「魔素は万能の無公害エネルギーなんだ。だから城も屋敷や砦も優秀な
魔法使いを集めれば作れてしまう。金属だって、魔方陣の組み込まれた
精錬棟さえ有れば、幾らでも抽出できる。そのくせ理屈や構造の理解は
全く進まない、効率化なんて必要ないからさ」
《なんか物凄く歪だな》
「驚くぜ、どんな怪我でも直すくせに病原菌も知らない、ポーションは
知っても成分は知らない、温度も速さも単位がないのに火炎魔法は操る
し、電波も知らないのに索敵魔法はある。お前からしたら、理解不能な
世界だろう」
《まさに異世界だな》
「まあ、覚悟してくれww」
その後、直也は蜘蛛ゴーレムをあれこれ動かしていたが、さすが日本人
と言うか、オタクと言うか、あっという間に自由自在に動かしはじめた。
これ、ゴーレムの動きじゃ無いぞ。
「お前、本気で凄いな」
《伊達に一人だけで遊んでた訳じゃない》
「なんと言ったらいいか」
《悲しくなるから何も言うな》
「……………………」
《無言だと余計に悲しいから何か言え》
「ぼっち…」
《ぐっすん》
「直也、ちょっと出てくるから子供達をみててくれ」
子供達に食事を食べさせながらそう告げた。
まあ、ようは留守番お願いねってわけだ。
《了解、どれくらいかかるんだ?》
「三日前後だろう、馬車を狩ってくる」
《この世界には、野生の馬車が生息してるのか?》
「いや、養殖だ。ダニが何匹かくっついてるがな」
《家にまで連れて来るなよ》
「駆除は徹底する主義だ」
《そうだったな、それと話しは変わるが金属を幾らか置いていってくれ》
「鉄がいいのか?外は何要らないのか?」
《試したい事が有るんで、差し支えなければ色々と》
「わかった。要らない者もまとめて出しとくわ」
”ガチャン、ガチャン、ガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガ”
《もういい、もういい、十分だから、置き場所がもう無いから》
「そうか?わかった」
《お前の異空庫ってどんだけでかいんだよ》
「なんか日本に飛ばされてから更に大きくなってんだよな」
《おまけに、鉱石の山にホームセンターぶちまけたこの状態はなんなんだ》
「何でもかんでも放り込んだらこうなった」
《整理しろよ》
「食い物はきちんと整頓してある。残量だって常に把握しているし、調味
料や原材料だって一目でわかるようにしてある」
《まったく……》
「あと調理道具なんかも完璧。包丁なんて用途別に保管してあるし、予備
も十分確保していつ壊れても…………あれ?」
《食い物置いてとっとと行きやがれ(怒)》




