カラガスの災難
カラガスの冒険者ギルド、そこに一人の若い冒険者の男が駆け込んで来た。
冒険者「ギルマス!大変だ!」
グレイ「大事な打ち合わせの最中に何事だ!」
冒険者「王城が占領された!第三師団だとか言ってやがる!」
グレイ「はあ、たった今、話を聞いたばかりだと言うのに」
冒険者「何で落ち着いているんだよ!」
当然だ、グレイの目の前にはデクシスが座っているのだから。
たった今、事の詳細を聞いたばかりだったのだ。
グレイ「どうやら、都合よく強い魔獣には襲われなかった様だな」
デクシス「そんなに弱いの?騎士なのに?」
グレイ「奴らは、貴族のごく潰し子弟を集めた、式典用のお飾り師団だからな」
デクシス「…………………無駄じゃない?」
グレイ「返す言葉も無いが、さて、どうした物か………………」
デクシス「倒しに行こうか?ブランもいるし」
グレイ「わははは、簡単に言うもんだな、だが、それは出来ん」
デクシス「どうして?」
グレイ「ただ邪魔だからといって、相手を排除しては、社会は成り立たん」
デクシス「う~ん、わかった」
グレイ「………………出来ると微塵も疑っとらんな………………」
そんな話をしていると、16式で直也と通信をしていたブランが入って来た。
デクシス「通信は終わったの?」
ブラン《ハイ・オウジョウ・ノ・件モ・フクメテホウコクズミ・デス》
デクシス「直也様は何て言ってた?」
ブラン《ユリアサマガ・イラッシャイマス・ソレマデ・現状・ヲ・イジセヨト》
デクシス「だって、ギルドマスター」
グレイ「わかったが、そのユリア様とはどんな方なんだ?」
デクシス「う~ん、黒の魔導士でアル様の…………天敵?」
グレイ「マジか!」
ブラン《ボッチャマ・ソレデハ・ゴカイ・ガ・・・・・》
デクシス「でも、いっつも怒られてるよ」
ブラン《ソレハ・ソウデス・ガ》
グレイ「………………万全の体制でお待ちする」
それからギルドでは、大掛かりなクエストの発注が行われた。
受付嬢A「目的地はカラガス、内容は重病人の搬送です」
受付嬢B「人員の制限は有りません」
受付嬢C「報酬は一人小金貨二枚、依頼主はアルセニオス・ファンビューレン様」
受付嬢A「馬車と馬をかき集めて下さい、別途支払います」
受付嬢B「登録出来次第、順次出発してください」
グレイ「てめえら!大恩ある有る寂寞様の緊急依頼だ!わかってるよな!」
冒険者達「「「「「「 おおおおおおおお 」」」」」」」」
ギルドが空になる勢いで、受け付けが済んだ冒険者が飛び出してゆく。
彼らも、アルに対して借りがどんどん増え続けている自覚はあった。
なら、ここで少しでも返そうとするのは当たり前の行動だ。
一人では、捕るに足らないものでも、大勢集まれば、それなりのお返しになる。
全員の思いは同じだった。
グレイ「あー、鉄の戦斧は残れ、別の仕事がある」
ギル「何でじゃ!」
ダグ「我らも行くぞ!」
ドグ「借りを返す大事な機会だぞ!」
ジド「承服できん!」
ガウ「理由を言え!理由を!」
グレイ「いや、お前ら足が異常に遅いだろ、邪魔になるだけだ」
鉄の戦斧「「「「「 ぐはっ 」」」」」
彼らドワーフは足が遅い。
それはもう、絶望的に遅い。
どう考えても緊急の依頼には向いていない。
銀月「「「「 じゃあ、留守番よろしくな~ 」」」」
白狼「「「 俺らに任せとけ 」」」
喜々として出て行くバルガ達を眺めるドワーフたちの背中に哀愁が漂う。
グレイ「まあ、そう落ち込むな、お前らの依頼もちゃんと有る」
ギル「本当か?」
グレイ「ああ、ドラゴニアから、黒の魔導士様が来られる、そのお出迎えだ」
ギル「お出迎え?」
グレイ「お二方が揃う迄、今、王城に巣食っている連中を抑え込む」
ダグ「おお、任せておけ、勝手な真似はさせん」
ドグ「街の人々には、手を出させんぞ」
ガウ「貴族だろうと、容赦はせん」
グレイ「よし、任せる。だが法に触れん限り、手荒くするなよ」
ギル「心得た!」
ダグ「法に触れたら、始末して良いか?」
グレイ「面倒だから、半殺しにしておけ」
ダグ「了解じゃ!」
そんな慌ただしくも、平穏な一日は、翌朝には早くも狂乱の様相を見せ始めた。
冒険者「ギルマス!王城に人が集まり始めた!」
グレイ「集まる?いったい誰が」
冒険者「何人か見覚えがある、確か、一人は徴税官だったと思う」
グレイ「そう言う事か、寄生虫どもめ」
冒険者「なんだよ、寄生虫って?」
グレイ「この町に隠れていた貴族の生き残りどもが、王女の帰還を聞いて、集まり
始めやがったんだ」
冒険者「貴族って、今まで全く見なかったぞ」
グレイ「じっと隠れてたんだよ、虫みたいに」
冒険者「だから寄生虫か」
グレイ「ああ、だが、このままだとかなり、面倒な事になるぞ」
グレイの予想通り、それから半日も経たずに、ギルが貴族と衝突した。
ギル「商品が欲しければ金を払えと言ってるだろう!」
貴族「王城の食事を作るのだ、金は後日取りに来いと言っている!」
ギル「そんな寸借詐欺に誰が引っかかるものか」
貴族「誰が詐欺師だ!」
ギル「ただで、食料を寄こせと言うのだから詐欺だろう」
貴族「私は男爵だぞ!」
ギル「お前の顔など知らん!」
貴族「私は、いずれ、王家の・・・」
ギル「帰れ!」
勿論、ギルも、この男が貴族だという事は、百も承知でとぼけたのだ。
現在は、ただ、王族が帰ってきたと言うだけだ。
それも実情は、凱旋でも何でもなく、空き家になった無人になった城に、かつての
住人がこっそり帰ってきただけのことなのだ。
店側が知らないと言えば知らないのだ。
ダグ「人さらいか、貴様!」
貴族「なんでそうなる、ただ、衣装を作りに来いと言ってるだけだろう」
ダグ「何で、女ばかりを指名するんだ!」
貴族「王女様の衣装だぞ!むさい男なんぞ、近づける訳が無いだろう」
ダグ「王女?知らん!そんなもの見た事などない!」
貴族「貴様、不敬だぞ!」
ダグ「うるさい!服が欲しけりゃ、金持って本人が来い!」
貴族「後でどうなっても知らんぞ!」
ダグ「なら、後で来い!」
貴族「くそおおおおおお」
工房街には、ダグが張り付いていて、貴族の要求を尽くはねのけた。
ドグ「何で店を放りだして、料理人がお前に付いて行かねばならん」
貴族「王宮で腕を振るえるのだ、名誉な事なのだぞ」
ドグ「王城はいま空き家だぞ」
貴族「いまは、王女様達がおられる」
ドグ「恐らく幻でも見たのだろう、可哀そうに・・・」
貴族「ふざけるな!ちゃんと居られる!」
ドグ「何か辛いことでもあったのか、気をしっかり持つんだ」
貴族「だから、幻などではない!」
ドグ「哀れな、既に手遅れか・・・・」
貴族「ムギイィィィィィ・・・・ッ」
ドグ「ありゃ、卒倒したか、仕方ない、邪魔にならないように端に転がしておけ」
ドグにからかわれるだけ、からかわれて、癇癪を起して倒れた貴族は、結局、夜も
遅くなってから気が付いた。
だが、周りには誰もおらず、しぶしぶ帰城するのを、冒険者の男が監視していた。
グレイ「翌日から、この有様か、先が思いやられる」
ギル「まだ、商業ギルドも工廠ギルドも、やっと組合が出来かけたところだぞ」
ジド「ギルド長も決まっておらんのに・・・」
ガウ「個別に来られたら、店主一人では断りきれん」
グレイ「もう少し監視の目を増やすか・・・・お前たちは全員巡回に回ってくれ」
ギル「わかった、任せろ!」
グレイ「負担を掛けて悪いな」
ギル「なに、構わん、依頼料に色を付けてもらえれば、もっと構わんがな」
グレイ「がはは、任せろ、あの方のおかげで、資金には余裕がある」
だが、次の日に大型の厄介者がグレイのもとを訪れていた。
グレイ「どうも耳が遠くなりましてな、もう一度聞かせて貰えますか、フィガロ
・デーシック師団長・ど・の」
フィガロ「ええい、何度も言わすな、冒険者ギルドは今後、第三師団の下について
もらう!」
グレイ「ほほう、つまり、師団の下部組織になれと?」
フィガロ「そうだ、以後、私の指示が最優先だ!」
グレイ「なるほど、なるほど」
フィガロ「まずは金庫の鍵を寄こせ、私の師団が管理する」
グレイ「おや、指揮権だけでなく、金も寄こせと?」
フィガロ「当たり前だ、私の管理下に置くと言っただろう」
グレイ「ほう、聖王国の侵攻に真っ先に逃げ出した腰抜けが、金を寄こせと?」
フィガロ「むぐっ」
グレイ「皇国の奴隷狩りから逃げ回っていた臆病者が指揮権を寄こせと?」
フィガロ「ううっ」
グレイ「王家も民も見捨てた卑怯者のくせに、権利だけは主張するのかね?」
フィガロ「ぐううっ」
グレイ「とっとと失せろ!このゴミくずがああああ!」
フィガロ「ギャアアアァッ」
ギルドマスター渾身の右フックが、顔面を捉えると,師団長は綺麗な放物線を描いて
飛んでいった。
普段は冒険者に対して、冷静になれだの、暴力で物事を解決しようとするな、など
と言っていた、ギルドマスター本人の暴挙に、回りの受付嬢や冒険者たちも、呆れ
たが、とても攻める気にはならなかった。
しかし、後ろで見ていた団員達は、そう言う訳には行かなかった。
猛然と抗議を始めたのだが・・・・・・。
グレイ「やかましい!」
団員「ひいいいいいいいいい」
グレイ「早くこのゴミをもって、俺の目の前から消えろ、ぶち殺すぞ・・・」
団員「はいいいいいい」
一度も剣を持って戦わず、逃げ回っていた腰抜けが、冒険者ギルドを、その背で守
り通してきたグレイに敵う筈がない。
案の定、十人以上がしっぽを丸めて、逃げ帰っていった。
グレイ「ふん、腰抜けどもが」
受付嬢A「しっぽって本当に丸まるんだ~、初めて見た~」
受付嬢B「私も~」
冒険者「見ない振りしてやれよ~」
冒険者「獣人にとっては、酷い屈辱なんだぞ・・・」
受付嬢A「だって、ここじゃ誰も見せてくれないじゃん」
受付嬢C「そうよ、いつも見せてくれてたら驚かないわよ」
冒険者「勘弁してください・・・・」
文字通り、しっぽを巻いて逃げ帰ってからは、大きな動きが何もなくなった。
食料の買い出しも、きちんと、金を払い、横暴なそぶりも見せない。
王城から数人が出入りするものの、騒ぎを起こす者もいないまま、十日あまりが過
ぎた。
だがこの間、王城にもある変化が起きていた。
「伯爵、なぜ、直ぐに戴冠式を行わない!」
「このままだと、金ばかりかかる」
「王冠も、錫杖も、衣装さえないのだぞ、体裁が整わん」
「戴冠式だぞ、それなりの威厳が必要だ」
「だが、そんなもの、どうやって揃えるんだ」
「金なら、出さんぞ」
「だから、早く税金を取らねばならんのだ」
「徴収しようにも、師団はあてにならんぞ」
「しかし、このままでは……」
「まずは、王国の復活を周知させねばならん、時間がかかる」
「時間がかかれば、我らが干上がるぞ」
「ではどうしろと、貴殿は策をお持ちか?」
「私は現状を語っているだけだ、策など‥‥‥」
「おやおや、皆さんお揃いで、いや、お久しぶりですな、お互い息災で何より」
「‥‥‥生きていたのか、今まで何処に居た?」
「いろいろと、やることが、有るのですよ、下準備にはね」
この日、ある男の入城で、貴族たちの無駄な議論は霧散し、以降、行われる事は無
かった。
グレイ「このまま大人しくしてくれれば、良いのだがな」
ギル「そう願いたいもんだ」
だが、その期待は翌日にギル自身の報告によって破られる事になった。
ギル「大変じゃ、また王城の人数が増え始めとる!」
グレイ「なんだと!」
ギル「朝から、馬車や兵士らしき男たちが王城の門を潜っておるぞ!」
グレイ「くそっ、何処から湧いて来やがった!」
ギル「わからんが、それなりの格好をしていたぞ、とても腑抜けには見えんか
った」
グレイ「どちらにしろ、厄介な事には違いない、当分監視の目を増やそう」
ギル「今は、それしか無いのう」
グレイ「済まんが、頼む」」
ギル「おう!」
そして、その翌々日の午後、グレイの前には、一人の貴族の男が座っていた。
ドラン王国の中枢にいた男でグレイと最もそりの合わない男だ。
グレイ「生きてたのか、ダラス・バッカニア宰相」
ダラス「おかげさまでね、至極、元気だよ」
グレイ「こっちはたった今、気分が悪くなった」
ダラス「おや、私は君が元気で嬉しいよ」
グレイ「ぬかせ」
ダラス「つれないねえ~」
旧ドラン王国宰相ダラス・バッカニア侯爵は獣人にしては珍しく、最も貴族らしい
貴族と言える。
情報操作、裏取引、裏工作、贈賄、収賄、舌先三寸、なんでもござれの宮廷の住人
である。
その代わりと言っていいのか、当然のように、戦いでは、何の役にも立たない。
グレイ「で、いったい何の御用ですか、宰・相・閣・下」
ダラス「せっかちだなあ、まあいい、なに、護衛の依頼を頼もうかと思ってね」
グレイ「・・・・ふざけるなよ」
ダラス「どうして?私は至って真面目だよ」
グレイ「これだけ対立しといて、何言ってやがる」
ダラス「対立したのは、師団の連中だろ、私じゃない」
グレイ「・・・きさま」
ダラス「まあ、誰かさんが師団長を、治療院送りにしなければ、依頼などしなかっ
たんだけどね」
グレイ「むぐ・・まあいい、だが、受ける人間が居ないかも知れんぞ」
ダラス「別に構わないさ、私は君に会いに来ただけだからね」
グレイ「なんだと!貴様あぁ」
ダラス「短気だねえ、まあ、君らしいと言えば君らしい」
グレイ「くそったれめ・・・・」
ダラス「まあ、構わないけどね、この先、王家が復活すれば、色々と今のままじゃ
あまずいんじゃ無いかな」
実際問題として、冒険者ギルドは独立性が認められているが、さすがに国の意向を
すべて無視などできない。
それどころか、ギルドの運用の点から見ても、良好な関係を持つことは、そのまま
利益に繋がる。
ダラスはグレイにその事を忘れるなと言っているのだ。
もし、王家が復活したら、困るのは君だよと言っているのだ。
ダラス「ああ、それと寂寞様を待っているらしいが、やはり、他国の方は、ねえ」
グレイ「なにが言いたい」
ダラス「ドラン国内の、それも王家の問題だから、部外者はちょっとねえ」
グレイ「・・・・わかった」
確かに何度も助けられたが、それでも、他国の人間でおまけに国王だ。
この国の内政に干渉する理由がない、口実が無いのだ。
ダラスの主張は理に適っていた。
このままでは、彼に間違いなく迷惑が掛かる、それは避けたい。
ダラス「では、お暇することにするよ、忠告、喜んでくれたかな」
グレイ「ぬかせ、くそ羊野郎が」
ダラス「いやはや、此処まで言っても理解できませんか?この国の運営は我々新生
ドラン王国政府が行います、言動には気をつけてくださいよ」
グレイ「・・・まだ出来てもいないだろうが」
ダラス「おっと、忘れるところでした、五日後、グレース様の戴冠式を行います」
グレイ「なっ!」
ダラス「当然、出席して頂けますよね、ギルドマスター殿?」
グレイ「わかってる・・・・」
ダラス「ふふふ、お待ちしてますよ、では」
へらへらと手を振りながら、ギルドから出ていくダラスの周りを数人の屈強そうな
男たちが守っていた。
明らかに、護衛任務が板についている、戦闘が専門の人間だ。
受付嬢A「どうするんですか?これから」
グレイ「暫くは、全員、大人しくするように徹底させるしかあるまい」
受付嬢B「みんな言う事聞いてくれるかなあ・・・」
受付嬢C「あの宰相、性格が悪そうだもんね」
受付嬢A「私、嫌み言われたら絶対に殴る自信が有るわ」
グレイ「やめてくれよ・・・」
このままだと、争いが起こる確率が非常に高いが、ダラスはそれを利用して、何ら
かの要求をしてくるだろう。
実際、翌日には、部下が冒険者に殴られたと、金銭の要求を受けた。
煽られて手を出したらしいが、要求された金額は呆れたものだった。
師団員「団員の怪我の治療費を要求する、三人で金貨三枚、もし払え」
グレイ「ほら、金貨三枚」
師団員「ないなら・・・あれ?」
グレイ「払えないならなんだって、ああ?」
師団員「ひいっ、すいません、すいません」
グレイ「金を持ってとっとと帰れ!」
師団員「はいぃぃぃっ」
できたばかりの、冒険者ギルドなら、資金繰りに苦労してると、予想して請求し、
払えなけっれば何かの依頼をさせるつもりだったのだろう。
だが、アルのおかげで、資金は潤沢にあった。
支払いに苦労することなど無い。
グレイ「事前に報告を貰っていて助かった、感謝するぞ」
ギル「なに、殴られた当事者が、手の内を呟く馬鹿だっただけじゃ」
グレイ「それでもだ」
ギル「うむ」
だが、企てが失敗したとみるや、金があると知ったダラスがギルドに借金の申し込
みをしてきた。
受付嬢A「どうされます?」
グレイ「誰が貸すか、良いから無視しとけ」
受付嬢A「大丈夫ですか?」
グレイ「どうせ、ただの嫌がらせだ」
受付嬢B「なんて、陰湿なの」
受付嬢C「呪ってやろうかしら、あのくそ羊」
グレイ「俺としては、これ以上厄介ごとは、回避したい所なんだがな」
だが、そんな希望も、すぐに泡と消え去った。
戴冠式を、あと三日に控えたころから、王城の門を、侯爵や伯爵などの子弟や縁者
らしき者達が、潜っていった。
何処から湧いて出たのか知らないが、連中が新生ドラン王国の立ち上げに際して、
おこぼれに預かろうとしているのは、明白だった。
たとえ一度滅んだとしても、一国の戴冠式ともなれば、国民に与える影響は少なく
ない。
有象無象の輩が群がって来るのも、当然だった。
そんな中、見たことも無い異様な形の馬車が一台、カラガスの正門に現れた。
側面には国の象徴である三つ首の黄金竜が描かれている。
魔導士の国・ドラゴニアからの馬車に間違い無かった




