キリスト教 神との出会いⅢ
一人、ただ一人だけだ。この狭い部屋の中には。
それなのに、どうしてこんなに苦しいのだろう。死にたいのだろう。
「死にたい。私、死にたい。」
「…君はだれ?」
建物からは結局、飛び降りれなかった。その後、「誰か助けてください。」と祈った結果、建物内部にいたギルド職員さんに「病院を抜け出して来ました。」と伝えた。
その後、保健所ギルドから職員が派遣されてきた。派遣された職員が病院に連絡して現在に至る。
ガードルーム、保護室と呼ばれる個室の中にいる。10畳ほどの空間。鍵が掛かる部屋だ。正直、狭い…。
迎えを待ってる間、飛び降りようとした建物内部をずっとウロウロしていた。座ろうとすれば、痩せすぎでお尻が痛いし、足の震えが止まらないから。
居場所がないのだ。自分には。
全部捨てて来てしまったから。
長い話になる。
オレは生まれも育ちもここ、アーリヤ平和国。
姉と弟がいる。もちろん両親もいる。
家族全員が新聖教団と呼ばれる教団にいる。
オレもそこの上級騎士、だった。
初級騎士、中級騎士、上級騎士と存在し、まあ上級にも色々あるが、言うなれば一般上級騎士と言ったところか、それだった。
主宰神は、「オーカミ」と呼ばれている。
火属性、水属性の性質を持つ神で、この世界を創造した神だとされているが、オレにとっては、そんな事どうでも良かった。
うんざりだった。
何でもかんでも目に見えない「霊」のせいにしやがる、その根性が気に入らない。
「霊」が怖いなら、無人島にでも引っ越して、自給自足の生活を送ってください。
20年間世話になった教団だが、オレの考えはこうだ。
神はいない。自分で戦え。
極論だと思うが、頼りにならない神なら必要ないんですよ。
頑張れば自分自身も神様になれる、そういう教えだ。
この話をすると止まらなくなるからやめるとする。
現状、四重苦。自然死療法も無理だ。
ここに入る時に思ったのは、「自分には生きる価値も死ぬ価値も無いんだな。」ということ。
ここに入って、何日か経った。
苦しすぎて、1時間が1000年に感じる。この状況、どうしろと?
「そう言えば…。」
ふと思い出した事がある。何年も昔の話だが、「キリスト教の、神です。」と宣言された事があった。自分の口が、勝手にそう動いた。真夜中の散歩に出掛けていた時の話だ。
詳しくはまた今度。
もうこれに賭けるしかない。
だから、届いてくれ。
「キリスト教の神様、助けてください。」