序章
「主よ、刀をお願いします。」
主人公セラは、神様に頼んで造って貰った刀を、天使達に運んで貰う。両手を神殿の方角へ伸ばし、目には見えない霊刀を受け取る。
これで戦いの準備は整った。
「道連れにしてやるぜ〜。」
「そうだぜ〜。」
悪魔達の声が聴こえる。聴こえるとは言っても、物理的に耳で聴こえてるわけではない。あらゆる事象を通して、悪魔達は闇へと誘って来る。悪魔達に声はない。陰府の使者から聞いた話を思い出しただけだ。そう、すべてはまぼろし。そう信じたかった。
悪魔は実在する。良い存在なのか、悪い存在なのかは置いておいて、悪魔は存在する。世界中で活動しており、セラの住むアイヤ王国においても、それは変わらない。だが、セラは事情があり、出来れば悪魔、天使関係なく、良い関係を築き上げたい、そう思っていた。そう思っていたのに。
「それは傲慢ですよ。」
セラは、己の信じる主なる神からそう言われたように感じる。いや、感じるというより、実際、その通りなのだろう。
あの、天地を創造したあの神でさえ、蛇一匹にすべてを台無しにされたのだから。
ましてや人間であるセラは、もしそうなったら、また神を恨む事になるのかもしれない。
天地を創造することは、人間には不可能だけれど。それでも、似たような努力は誰もがしているはずだ。だって、一人一人が特別で唯一の存在なのだから。
「重くなれ。」
セラは運んで貰った刀に重力魔法を掛ける。
「凄く重くなれ。」
「凄く重くなれ。」
三重に、魔法を掛ける。その必要があると感じたからだ。負担が少ないのは喜ばしいが、刀が軽すぎるように感じたからだ。
「はあっ!」
縦撃一閃。決着は着いた。
「ひでぶ」
「ひでぶ」
「ひでぶ」
「ひでぶ」