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「それは夢物語だね」

「……」

否定された。それも即刻。

「ここは君が思うような空想の世界ではない、例え君から見た幻想が存在してようとれっきとした、現実世界だ」

「物質は有限で、故に争いがおき、敗者が生まれる、そして生き残ったものが世界で生きることを許される、万人の救済、全ての命に祝福を―宗教ならそれを謳い文句にしても許されるけど、

君は教祖様ではないんだろ。現実に問題を解決したい、ヒーロー?だっけ人がその様に生きて許されるなら、それはボロ雑巾の様に最後は捨てられて終わるのがオチだとオレは思うぜ。

徹頭徹尾他者の為に戦い崇められる、そんなことはない、都合よく扱って人々は捨てるだろう、それが現実さ」

「理解ってる、理解ってるけど俺は――」

「君はそんなに自分が嫌いかい?いいじゃないか、自分の為に生きる生き方、誰もがそうしてるし、それは当然のことだよ」

そうかもしれない、けど――。そう根底にあるのは許し――この人が言っている様に俺は許されたかった。かつて犯した罪から、自分の生き方で命を燃やして、世界に対して償うことで、

他でもない自分から許されたかった。だから利己的になることに嫌悪感があるし、自分のエゴを押し通して自分のために生きることを良しとできない、だから――。

「理解っています、それでも俺は世界を、人を救いたい、どのような形であれ、人を傷つけず救うことで、ヒーローになりたい」

そうだ。人には利他的な面と利己的な面がある、誰もが自分の為に生きたいし、人の助けになりたい、結果がどうこうではない、はじまりの感情がそれという話。それが少し偏ってるのが俺で、

だからきっと誰もが同じなのだ。他者を傷つけて自分の為だけに生きる人、それだって人の在り方の一つだ。それに俺は信じてる。人の善性を――きっと誰もが心の内では他者のために生きたいし、

そう願っていると信じている、現実問題物質世界の制約上それが出来ないだけで、だから自分の出来る範囲で他者を大切にするのだ、労って、感謝して、大切にする、

そういうことが出来るのが人間なのだと――。

「はあ?筋金入りの馬鹿だな、君は。やってみると良いヒーロー、なに理想を描くことは悪いことじゃない、そうやって人類は進歩してきた、君の結末がどうなるか、私も愉しみだしね」

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