表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<R15>15歳未満の方は移動してください。
この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

異能を回収します。──転生した高校生は神の遣い──

ごみは回収にゃー

 俺はトラックに轢かれた。別に轢かれそうになった猫を助けたとか、子供を助けたとかではない。ただ単に轢かれただけだ。

 俺の死因はスマホをしながら歩いていたことだ。言ってみればスマホで死んだようなもんだ。まあ、スマホに濡れ衣感凄いけどな。


 まあ、()()()()今はどうでもいい。俺は自分が死んだことよりも目の前の光景の方が重要だった。


 そこは小説の中で出てくるようなピカピカした白銀のような柱で出来た神殿みたいな場所だった。俺見たことないから合ってるか分からんが。

 その立派な神殿?の周りではキラキラと何かが煌めき神殿の神聖さを強調する役目をしていた。そして空は果てしなく蒼い。まるで自分一人だけ取り残されたみたいに。ここでまるで天国のような……待てよ?俺ってトラックに轢かれて死んだんだよな?ということは──


『ピンポンピンポーン!正解でーす!!!』


 神聖な空気にそぐわない、ふざけた声が聞こえた。誰だ?



『ちょっとー、ふざけたって酷くなーい?』


◆◆◆◆◆◆


 平凡な高校生理綿(りいと)は、ある日トラックに轢かれて死んだ。


死んだにも関わらず彼は目を覚ました。そこには神殿のような建物と一人の神様がいた。


神様は理綿に一つ頼み事をする。




『世界を救って』




 神様は異世界に人を転生させる時に()()と呼ぶ他人とは隔絶した力を与えられる。


 それを持った人間は最初こそ文化の発展に協力していたが、次第に世界の均衡が崩れていってしまった。


 このままでは世界は破滅してしまう。


 だから異能を回収して欲しいと頼まれた。


 ただし、生身で回収するには命が幾つ有っても足りない。と神様は異能を回収しやすくするために幾つかの能力を彼に与えた。


『異能を回収する力』




『異能を無効化する力』




『回収した異能を自由自在に扱える力』


 の計三つの力を理綿に与えた。


 そして理綿は異世界に転移する。回収者(ヴィズドローラー)として。














◆◆◆◆◆◆


 理綿が異世界へ転移された直後。神様は静かにその瞳に水滴を宿していた。


『あぁ、なんて私は罪深いのでしょう』


『真実を知ったら彼は私を恨むでしょうね』


『どうか彼の運命に祝福を』


 その姿を天使が嗤っていた。














◆◆◆◆◆◆


 理綿は異世界へ転移すると、早速異能センサーが働いた。反応は三つ。つまり近くに三人の異能力者がいる。


 理綿は彼らに自然を装いながら接触する。彼らはとても優しく、親切だった。最初は異能を回収することばかり考えていた理綿だったが、彼らと一緒に過ごしていく内に彼らに絆された。


 理綿は覚悟を決め、彼らに事情を話すことにした。記憶喪失で通してきた彼は、失望されただろうな。とこれまでの関係は続けられないと思っていたが、意外にも彼の事情はするなりと受け入れられた。しかも彼の異能回収にも協力してくれるという。


 理綿は彼らの異能を回収した翌日、彼らは死んだ。


 途方にくれた彼の前にはあの日の神殿と神様が現れた。


 理綿は神様に問い詰めた。どういうことだ。と


 神様は言った。異能は転生者の才能として与えられる。だから彼ら転生者の魂には異能が刻まれている。異能を回収するためには魂ごと回収しなけない。つまり……


 つまり死なないといけない、ということだ。


 異能を回収する手段は幾つか存在する。


 一つ目は相手の了解を得ること。


 二つ目は殺す。


 三つ目は──


「そうか、ははっ……そんなの俺が殺したようなもんじゃねーか」




──相手が事情を知ること。


 彼らが事情を知った時点で回収の契約が交わされたことになり、異能は自動的に回収される。


 その話を聞いた翌日から理綿は人との接触を避けた。


 もし異能を持つ者と会ってしまったら。


 また不用意に知られてしまったら。


 殺してしまうから。


 風の噂で勇者の一行が不審な死を遂げたと耳にした。


 気になった彼は噂の詳細を聞いた直後その場で蹲った。


 彼らだった。彼らは勇者の一行。魔王を倒すため旅をしていたらしい。それを理綿は何も知らずに殺してしまったのだ。


 彼は激情に身を任せ魔王の居ると言われる城に向かった──























◆◆◆◆◆◆


 ある冒険者がとある噂を耳にした。


──異能を持つものの前に現れるとされる【死神】


 曰く、死神の前ではどのような異能も通用しない。


 曰く、殺した者の能力を奪う。


 曰く、勇者と魔王は死神に殺された。


 死神は彷徨う。誰も死なずに済む方法を探して。


















──そして自分を殺す方法を探して。


 その方法は神のみぞ知る

不要な者は回収にゃー

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ