小屋にいた
すっかり日も暮れ
周りは静けさで満ちている
何も考えないこの時間を一人で楽しみに来ているのだ
「そろそろ米が炊けたな」
夕食のメインに持ってきた焼肉用の肉を鞄から取り出している時急に突風に見舞われる
うっかり肉のパックを離してしまった
「しまった、あれがないと晩飯は米だけになってしまう」
ヘッドライトを付けて肉が飛んで行った方に歩き出す真
それらしきものを見つけ安心して拾おうと足を進めた時右足がふわりとした
何も考える暇もなく理解もすることなくただただ崖を落ちていくあまりの痛みと諦めからか
ふっと意識が遠退くのが分かった
目が覚めて崖から落ちたと認識していたはずなのだが体はどこも痛くない
むしろいつものだるさと長年悩んでいた膝の痛みと違和感が何もない
晴々として気分も体もすっきりとしている
ただ
ここがどこなのかわからない
見渡すと小さな小屋のようなものだと分かった
本棚が所狭しと並べられ迷路のようになっている
何やら奥の方で物音がするようだ
恐る恐る物音の方へゆっくり移動し目線を向ける
今まで生きてきて見たことのない生き物が居た
身長は1メートルもないようなゲームで言うとまさにコロボックルのような小さい男が何やら作業をしている
「がたっ!」
しまった、建物が古いのか思いのほか簡単に物音を立ててしまった、
コロポックルの男には気づかれただろう
果たしてここはどこでコロポックルは何者なのか
兎に角コロポックルがいい人なのを心から願う真だった