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勇者、メイド面接を受ける

「では改めて自己紹介させてもらうわ。私はルーシー。アマゾネス王国専属パーティ<アマゾネス>のリーダーをやってるわ。メイドとして働きたいって言うんなら私を説得しないと無理ね」


素っ気ない態度でそっぽを向く。タクトをメイドにすることには反対のようだ。


「ごめんなさいね、アマゾネス王国にはこういう人が多いのよ」

「そうそう、男嫌いは激しいけどそれさえなければ良い人だから。ちょっと冷たいけど」

「うるさいわね。男がアマゾネス領地に入れないのは事実じゃない。それに好き嫌いに性別は関係ないわ。実力のある人ならちゃんと評価するわよ。ま、どうせあなたのような人は実力がないからまともな生活できないんでしょうけど。これだからオスは…」

「ルシ姉、それを男嫌いって言うんだよ」

「どうとでも言って頂戴。さ、次はマヤの番よ」


ルーシーがマヤに自己紹介をするように促す。マヤはこちらに向き直って自己紹介を始めた。


「それでは私も改めて自己紹介させてもらいますね。私の名前はマヤです。アマゾネスパーティの回復役をメインに務めています。メイドが欲しいって言い出した張本人です」

「私たちは王国専属パーティになってから王宮で暮らしてたんだけどこの前新しく別荘を買ったんだ。王宮内にいるときは使用人が色々世話を焼いてくれるんだが別荘では自分たちでやらなきゃいけなくなった」

「それで家事は二人とも全部私に押し付けてくつろいでたんです。どう思います?この神経」

「いや、あれはマヤ姉があまりにサッサと手際よくやるから…後でやろうと思ってたんだよ」

「出ましたよ、やらない人の常套文句」

「ほ、ほんとだって!」

「まあこんな感じになっちゃったから専属メイドが欲しいって思ったのよ。それじゃあ最後はカミラね」


ルーシーはカミラに振る。カミラは気安い感じで自己紹介をする。


「名前はタクトだったよな。私はカミラ。戦闘ではアタッカー役を務めている。ハッハッハ、そんなに硬くならなくてもいいぞ。そうだな、私はタクトがメイドになってくれるんならそれでいいと思ってる」


カミラはこちらに向けて親指を突き立てながらウインクした。タクトは彼女に今まで感じたことのない魅力を感じた。今まで出会ったことはないけど魅力亭な人だと思った。


「あ、ありがとうございます」

「ではカミラがせっかく触れてくれたことですし、早速本題に入りましょうか」


そこでマヤが本題のタクトをメイドにするかどうかの本題に触れる。


「そうね。マヤはどう思う?オスが私たちの専属メイドになることについて」

「私は国に認められるかどうかを置いておくなら別に構わないと思います。まあ後はちゃんと仕事してくれるかどうかですが、タクトさんは真面目そうですし私は肯定的に捉えています」

「確かに仕事はサボらなさそうだよな」

「でもオスのするする仕事は雑だと言うわ」

「うーん、でも全員が全員そうだとは限らないしそこはやってみてからしか分からん」

「そうですね。王宮の使用人で男性の方もいましたけどちゃんと働いてましたしね。タクトさんもそこはちゃんとやっていただけますよね?」

「はい、責任を持ってやらせていただきます」

「そう言ってることだしいいんじゃねえの?」

「私も仕事さえしっかりやってくれるんならいいわ。汚らわしいからあまり近くで仕事はしないで欲しいけど。じゃあ問題は女王様に認可をもらえるかどうかね」

「ああ。女が適職の職業だからなぜ男なのかは突っ込まれるかもな」

「マスコットキャラみたいでかわいかったからとかはダメですか?メイドくらい好きに選ばさせてもらいたいものですけどね」

「そうだけどやっぱり実利的なものがあった方が良さそうね」

「タクトさんは何か特技はありますか?できれば家事とかで」


タクトは考えたが家事はタクトも王宮生活で家事全然やってなかったので思い当たるものはなかった。


「と、特にはありません」

「チッ、使えないわね。皿洗いが超高速できるとか窓拭きで超ピカピカに掃除できるとか、何かは持ってなさいよ!」

「そ、そんなこと言われましても…」

「まあまあ、ないもんはしょうがないじゃないの。仕事を探すまでは何をやってたんだ?」

「アルティア王国で勇者をやっていました」


それを聞いた瞬間、3人の目つきが変わった。


「勇者って、本当ですか!?すごいことですよ!」

「その国の中のソロ戦なら間違いなくトップってことだよな」

「して、あなたのランクはどれくらいなのかしら」


また妬まれたり面倒な人間関係に巻き込まれたりするのは御免だったがこれ以上疑われたくもなかったので正直に言った。

「SSSランクです」

「えっ、SSSランク!?」


3人が同時に驚いて声がハモる。タクトのハイという返事の後少し間が空いたがルーシーが口を開いた。


「証明できるものを見せてもらって良いかしら?」

「冒険者カードは城の方に置いてきてしまって」

「ふふふ、そんなホラがよく吹けたものね。今のでむしろ私の評価は下ったわ。まあ多少腕は立つんでしょうけど嘘をつかれたのは心外だわ」

「SSSランクといえばまだ数人しか達したことがないですからね」

「まあ後で戦ってみりゃわかるだろ。それにしても驚いたな。戦闘スキルが家事に生かされれば良いんだがそうもいかないしな」


カミラがそこまで言ったところである一つの案が閃いた。もしかして物質浮遊を使えば手の届かないような狭い場所など隅々まで拭けるんじゃないだろうか?高速で動かせばルーシーの言っていたように超高速で窓がふけるかもしれない。


「あの、やっぱり超高速で窓が拭けます!」

「それも本当かしら?」

「はい」

「女王様の前で実演することになるかもしれないわ。楽しみにさせてもらうわ。さて、それではそろそろ時間ですし女王様のところへ説得に行きましょうか」


タクトはルーシーに対しお礼を言った。


「あの、ありがとうございました」

「お礼なら2人にいって頂戴。元々私は助ける気なんてなかったんだから」

「それでも最終的に決断してくださったのはルーシー様です」

「そ、ならありがたく受け取っておくわ」


さらに二人に対してもお礼を言った。


「助けていただきありがとうございました」

「いえいえ、こちらこそ興味を持っていただきありがとうございました。メイドになるかどうかは分からないけど、もしよければこれからも仲良くしてくださいね」

「多分女王様もお許しくださると思うから心配すんな」

「ありがとうございます」


ルーシーが勘定を終えたようだ。


「さあ、アマゾネスに帰るわよ!」

「はい!」

「調子の良い返事ね」

「す、すみません」


タクトたちはアマゾネス王国へ向けて出発した。

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