これからの話し合いでもしようか
ある日の放課後、校門でシャルナが待っていた。
ユキはシャルナに連れられ、街中のカフェへとやってきた。
外の席にひとりの男が座っていて、サングラスをかけて携帯ゲームをしていた。
「ねえ」
シャルナは男に声をかけた。
「ねえ!」
だが男は聞こえなかった。耳にイヤホンをはめこんでいたからだ。シャルナはそのイヤホンを背後から無理やり、外す。
「ちょっと!」
「おい!」
男は怒った。
背後を振りかえり、シャルナを見て、
「あ」
と声を漏らす。
「しゃ、シャルナちゃん……」
そう、その男はこの国の王、ダランだった。つまりシャルナの父親だ。
「なにやってんの?」
シャルナは若干、怒っていた。無理もない。王は一か月ものあいだ、行方をくらましていたのだから。
「生きてるなら連絡ちょうだいよ」
「嫌われてるかと思って……」
「生きてるってひと言くらいくれてもよかったじゃん」
「そうか、ごめんな……」
「もういい」
シャルナは椅子に座った。ユキも座る。
「あ、ユキ、ありがとね」
ダランは能天気にそう礼を言った。
「あ、はい……」
ユキは緊張していた。
「まさかあのヤマトが犯人だったとはね!」
「知ってたんじゃないの?」
シャルナが怪訝に睨んだ。ダランはニコリと笑って、
「うん、知ってた!」
と白状した。
「なんでとめなかったの?」
「うーん、なんだかよくわからないけれど、これは仲間への思いやりみたいなものだったのかなあ」
「ウソつかないでいいけど?」
「ん?」
「知ってるから、わたし」
「なにをかな、シャルナたん?」
「たん付けやめて……。というかシャルナでいい」
「たん付けカワイイのにい」
「パパ?」
と睨み、それからシャルナは推測を口にした。
「ほんとはただ、そのよくわからないゲームがやりたくて、王をやめる方法を探していただけじゃないの?」
「ぎくっ!」
どうやら図星だったらしい……。
ダランはいま、元地球の初期のゲームボーイのようなものをあそんでいた。
「さすがに長いあいだやってたから、そろそろ交代してもいいかなって思ったんだ」
「だれにするの?」
「つぎの王さまかい?」
「うん」
「もうジェイクにたのんだよ」
「え」
「だいじょうぶ、ジェイクならきっと!」
「できるの、あの人に……?」
「だいじょうぶ!」
ダランは笑顔を絶やさない。シャルナは肩を落とした。
「こんなにおもしろいゲームがたくさんあるのに、それをやらない理由はないだろう!?」
「ゲームなんてやってないで、王を続けてよ!」
「シャルナたんが言ってたんじゃないか、ゲームのどこがわるいの、って!」
「い、言ったけど……。というか、どうしてそれを知ってるの!?」
「聞いてたもん」
「聞いてた!?」
「無線で」
「いつから盗聴してたわけ……」
「ずっと。シャルナたんがユキと出会った日から、ずっと」
「殺す……」
「ひどいよ、シャルナたん……!」
「ぜったい殺す!」
「たすけて、ユキ!」
とダランはユキを盾にした。シャルナがダランを殺すような目で睨みつける。
「そんなことより」
ユキは気になっていることをダランにたずねた。
「どうしてゲームボーイがあるんですか?」
「あ、それはね」
ダランは両手をあげて降参をしめしながら椅子にもどる。
「きみの世界から持ってきたんだ」
「ぼくの世界から……!?」
ユキはおどろいた。
ダランは笑顔で言った。
「おれがきみをこっちの世界に連れてきたんだぞ?」
「な、なんだって!?」
ユキは驚愕する。
神による転生じゃなかったのか!?
「神なんてこの世界には存在しないぞ、ユキ。すべておれが仕組んだことだったんだ」
「神の演技をしていたってことですか!?」
ダランはうなずいた。「まったくそのとおりだっ」
「な、なんてこった……」
「だけどね、ユキ。きみのその異能力はきみ自身のものだぞ。おれはそれを感じ取ったからこそ、きみにはできると思いこませたんだ。けっしてこのおれがきみにその異能力をあたえたわけではないんだぞ?」
「ぼくの才能……?」
「そのとおりだっ」
「まあそれは知ってたけど」とシャルナは言った。
「おれの魔法はきみの世界と行き来するだけの魔法でね、だから自由に帰ることもできるわけだが。まあ、いまのきみはそんなことはかんがえていないだろうな」
ダランは話を続けた。
「というわけで、レジ街は平和を取りもどしたし、おれもゲームができるようになった。こんなにもたくさんのすばらしいゲームを、だ」
ダランは自慢げにカバンの中身をふたりに見せてきた。そこにはゲームボーイのカセットが大量に詰まっていた。
「きみたちは、これから自由に生きたまえ。あ、ちなみにユキと結婚するなら早めに言ってくれよ?」
「だけど、ぼくはこどもをつくれない身体に……」
ダランは大笑いした。
「そんなのウソに決まっているじゃあないか!」
そうか。
ぜんぶこのダランさんの演技だったのか。
ユキはなんだかすこし笑いがこみあげた。
でも、いいことをした気持ちがあった。
きっと自分は、いいことをしたにちがいない。
いいことができたにちがいない。
すくなくとも、シャルナのことをすくいだすことはできたんだから。
そう、ぼくはきっと――。
「シャルナに種付けして、早くおれに孫の顔を見せてくれ!」
「「ありえない!」」
ぼくはきっと、
生まれ変わったんだ。
この話で一時、終了です。学園モノに仕上がっていないので、修正するか、付け足すかをかんがえます。キャラクター過多になってしまいました、申し訳ないです。まあ、修正するにしても、それはここではない場所での話になるかと思われます。修正せずに、過多となったキャラのそれぞれの話を描くことが優先かもと思っております。




