前へ目次 次へ 28/30 真っ赤な花のなかで眠る たくさんの真っ赤な花のなかでふたりのこどもがねむっていた。 タイロはことばをうしなっていた。 たったふたりのこのちいさなこどもが、あの仮面の人間をたおしてしまったことをおどろいていた。 「タイロ、貴様……」 仮面が花のなかでタイロを見あげて睨んできた。 この人間にはもう用はなかった。 すでにこの人間にちからはない。 「もうおわりだな」 タイロは仮面を放ったままその場を離れはじめた。 仮面がゆっくりと眠りにつくのが背中でわかった。 タイロは闇に消えた。